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第2章#14 授業力up①校内研究は誰のため?

もくじRemake『ホワイトな学校へ』

(約2700字)

校内研究は、自分の学校の子供たちに身に付けさせたい力を付けるために、どのような授業をしたらよいか研究するもの。
子供たちのためになるのはもちろんだが、先生方の授業力アップの近道である
先生方の工夫や努力が、すぐに、目の前にいる子供たちの成長となって見えてくることが多いからだ。


校内研究の進め方の基本

まずは、子供たちの実態を分析する。
例えば、体力がない、すすんで学習に取り組もうとしないなど先生方が普段感じていることや、子供たちへのアンケート結果、体力テスト、学力テスト等の分析結果から、課題をまとめる。

それをもとに、研究主題を決め、研究内容を決めていく。
小学校では各担任が複数の教科を指導するので、「国語」「算数」など教科を決めることも多いが、他にも、教育課題(例えば「主体的、対話的で深い学び」等)をテーマにして、いろいろな教科・領域で取り組むことも増えている。

研究授業は、その時だけ授業を公開すればよいわけではなく、研究授業までの準備、研究授業後は協議会や講師からの意見をもとに、日々の授業改善に生かすことが大切
1年間、校内研究の主題を柱にして授業に取り組むことで、その教科・領域だけでなく、全体の授業改善が期待できる

私が、校内研究って、こういうことなんだと理解できたのは、初任のときに取り組んだ初めての研究授業を通してである。


初任のときの校内研究

この時は体育を研究していて、各学年一人が研究授業を行うことになっていた。私は、1年生の担任で、初任の宿命、私が研究授業をすることになった。
確か2学期に、「平均台遊び」を扱ったと思う。

私が教員を始めた年に、自治体の初任者研修制度が本格的に始まったようで、私ともう一人の初任者に、T先生が一人指導担当としてついていた。
T先生は、前年度までその学校で働いていて退職した、ベテラン。
1日のうちの何時間か、教室の後ろの椅子に座って私の授業を見ている。

私は、T先生から何か教えてもらった記憶が全くない。
困ったときは学年主任に聞いていたが、学年主任が私の授業を見に来て、何かアドバイスをしてもらった記憶もない。
今思えば、たぶん、学年主任は、ベテランのT先生が指導担当として私の教室に張り付いているので、T先生を超えての指導はしにくかったのだと思う。(因みに現在の初任者の研修制度は違う。)

私が担任していた学級は、よく言えば元気な子が多く、こちらを押さえればあちらで騒ぎと、日々モグラたたきのようだった。
私が、騒ぎの収集に苦労している時も、T先生は、教室の後ろで静かに座っていた。

さて、校内研究の指導案の作成に当たっては、私は主に、指導計画の素案と本時案(研究授業当日に行う授業の詳細)とワークシートを考えた。
授業者一人に任せるのではなく、指導案前半の理論的な部分は低学年の先生方で話し合い、考えを出し合って、分担して作成した。
初任の学校は、校内研究の体制がしっかりできていたと思う。
「へいきんだいカード」と名付けたワークシートは、動物たちのかわいい絵をかいたりして楽しみながら作成した。

事前授業は何とかなり、いよいよ、研究授業当日。
外部から講師の先生が来て、全校の先生方が参観する中で、私の緊張が伝わったのか、いつも元気な子供たちがいつも以上に張りきった。
「静かに!」と言う私の声も空しく、しまいには音楽に乗って踊りだす子までいた。
とにかく、子供たちは、大騒ぎで元気よく楽しそうに動物になりきって、平均台を使って遊び、私の初の研究授業は終わった。(文字通り、終わった…(T_T)

協議会や講評の内容はよく覚えていないが、嫌な感じとしては残っていないので、私個人というよりも、運動量の確保とか、内容が研究主題に即していたかとか、そんな話だったと思う。

そんな中、一つだけ心に残っているのが、協議会の中でT先生が、
「子供たちがうるさい時、静かに、と言って注意する以外の方法を身に付けるといいですね。」
と発言したことだ。
私は、その時は、「なるほどそうだな。」と納得したのだが、研究会が終わった後、学年主任がなぜかT先生の発言に憤慨していた。
これまでT先生から指導を受けていないのか聞かれたので、特に指導されていないと答えると、「あんなこと、協議会で言わなくたって、普段教えてくれればいいことじゃない!」と言う。

そこで初めて私は、研究授業以前に、授業の基本的なことをもっときちんと準備しておく必要があったのではないかということに気付いた。
学年主任が怒ったのは、研究授業後の協議会では研究主題に沿った授業の在り方というようなレベルの話し合いがなされるべきなのに、授業規律云々という普段の授業で改善できる極々基本的な低レベルの指摘をされた私を、気の毒に思ったからだと思う。

私は、自分が困っていても、自分からT先生には何も聞かなかった。
T先生としては、教えてくださいと聞きに行かない私を、生意気と感じていたのかもしれない。
低レベルなのは私なのだから、仕方ない…。


全員参加の校内研究を

最初にも言いましたが、校内研究は、自分の学校の子供たちに合わせてできる、最も意義のある研究である。
当然のことながら、全教員で取り組む。

学校規模によっては、講師の先生に来ていただく授業は、学年一人程度しかできないかもしれないが、事前授業を他の学級で行うなど、全員参加を工夫したい。

因みに私の勤務していた学校では、5,6時間目に授業を行ったり、2学級同時に行ったりして、とにかく全員が講師の先生に見てもらえるようにしていた。
また、「主体的、対話的で深い学び」について研究するようになってからは、管理職による授業観察も、同じ視点で行うよう努め、年間をとおして研究テーマに沿った授業改善ができるようにした。
(授業観察について、詳しくは別の機会に)。


講師の選定も重要

そして、管理職としては、講師の選定が重要です。
先生方の希望がある場合はそれを尊重することもありますが、まずは子供や先生方の状況、目指す方向性を理解してくれる人が一番です。
大学の先生でもいいのですが、ともするとハイレベル過ぎて、自分の学校ではとても実践できないなんてこともあります。
ですから、私は、地区の校長先生や同じ地区で退職した校長先生、地区の指導主事にお願いすることが多かったです。

実は、校長先生方は、それぞれに得意分野をもっていて、日々自校の先生方に指導しているので、指導も上手です。そして、同じ地区の子供たちのことをよくわかっていて、先生方にとって取り組みやすい具体的なアドバイスをもらえます。
この方々を活用しない手はありませんよね。


次回は、「授業力up②研究授業は誰のため?」です。


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