論68.元気が出る、気分が晴れる、免疫力アップ、認知症にならない 快活「カラオケ熱唱法」&ベストソング40~週刊現代(6月11・18日号)取材記事に関する補足分

カラオケと健康

◯歌唱と筋肉

声は声帯で生じます。それを調節するのは、のどの筋肉です。筋肉は、使わないと衰えます。弱くなるとたるんで、きびきびした声を発することができなくなります。野太く低くなり、かすれて、緊張感のない、しゃがれて老けた声になるのです。

 ・呼吸運動に関係する筋肉

・声帯に関係する内喉頭筋肉群

・口、舌、あごに関係する筋肉

 これらが弱くなると、食べ物がのどにひっかかる、高い声や大きい声が出ない、滑舌が悪くなる、話すスピードが落ちる、などが起きます。

 声は身体のいろいろな部分と関わっているので、それぞれの部位が衰えると、加齢したような声になってくるのです。声は呼吸ともストレートに結びついているだけに、声の弱さ=息の弱さ、呼吸の浅さとなり、それは、命の危険につながるのです。

◯歌唱と免疫力向上

 カラオケで歌ったり、落語などで笑うことが、NK(ナチュラルキラー)細胞の働きを活性化させること、たとえばガン細胞をやっつけることは、よく知られています。

メタボリック症候群(高血圧症、脂質代謝異常症、動脈硬化、肥満など)は、生活習慣病と重なっているのですが、歌うことや声を出すことは、その予防やダイエットになります。

歌うと、血流もリンパの流れもよくなるので、風邪もひきにくくなります。ホルモンが出て、肌つやがよくなります。呼吸も深くなり、肩こりや腰痛の解消、腸の蠕動運動で便秘解消にもつながります。

◯メタボ解消

 カラオケ1曲で10kcalほど使うのですから1時間で10曲ほど歌えば、ごはん1杯分くらいにはなります。これは、1時間早歩きするときと同じくらいのカロリー消費量です。

ちなみに、スポーツ省の出しているデータで、40分ほど歩くと、メタボなども含め、多くの病気の予防になるそうです。ですから、 歌うときも、立ったほうがよいし、動きもつけたほうがよいでしょう。

◯アンチエイジング

アンチエイジングに、歌唱は効果的です。

歌うときに立って動くと、ウォーキング、ジョギングの効果があります。

リズムを体全体で表しましょう。ダンサブルに振りをつけましょう。五感も働きます。

◯ホルモン

 歌うと、ドーパミンという快楽物質、エンドルフィンという脳内麻薬が出て、快感となるのです。

デュエットするとさらによいでしょう。

歌でも集中して、三昧境地になると、ランナーズハイと同じようなシンガーズハイで心地よさが味わえます。一度スポットライトを浴びると、やめられない理由がここにあります。

〇表情筋

 お年寄りが口をもぐもぐするのは、顔面筋、舌筋、咀嚼筋にみられる随意運動のためです。

咀嚼筋は、主に下あごを動かします。

噛むときには、頬にある「咬筋」のほか、頭の横にある「側頭筋」「外側翼突筋」「内側翼突筋」を使います。

口を開けるには、外側翼突筋のほか、下あごを引き上げる「顎舌骨筋」「オトガイ舌骨筋」「顎二腹筋」も関係します。

口輪筋が口を閉じなければ咀嚼はできませんし、頬筋も、ほっぺたを歯に押しつけて咀嚼を助けています。


(1) 脳トレ 記憶力~など保持のために

 ◯歌うのは最大のボケ防止

歌を聞くこと、覚えること、口ずさむこと、さらに人前で歌うことは、脳を刺激します。

新曲を覚えることで、脳トレになります。

1.聞く

2.歌詞を読む。覚える 暗誦する

3.歌を歌う、繰り返す (あご、口、舌を動かす 骨振動 耳)

4.人前で歌う

5.人のを聞く、自分の録音したのを聞く

 痴呆を防ぐには、趣味とコミュニケーションがよいといわれています。趣味をもつなら、一人で静かに嗜む芸ごとより、声を出せるカラオケやコーラス、朗読、ヴォイトレをお勧めします。コミュニケーションとは、おしゃべりのことですから、カラオケにいけばよいのです。

 歌詞や芝居や朗読のせりふを声を出して読んでみましょう。読みながらできる範囲内で、暗記していきます。歌うときにできるだけテロップを見ないのです。適当に言葉を書いて歌ってみても構いません。
呼吸、舌、唇、表情、身体、そして、心が動きます。

 歌うときは、音楽―右脳、言語―左脳が、働きます。

身振り手振りもつけると、さらに心身を使い、全身運動となります。

声を出して、いつでも、よい声の出る心身を保つことは、脳トレ、痴呆予防に最適です。

 
◯歌い方とお勧め曲

 例えば、記憶力が落ちたと思う人は、できるだけ新曲に挑戦して、少しずつでも新しいことを覚えていく機会として利用しましょう。

歳をとっていくにつれ、新しい物事を記憶するという機会が少なくなります。スマホで検索するとすぐに調べられる現在においては、人の名前や電話番号さえ覚える必要がありません。これでは記憶力を保つのも難しいことです。

カラオケは、テロップを見て歌うのですが、本来、歌は、自分で歌詞を覚えて、歌うものです。ですから、そのように使うようにすればよいのです。

それも面倒だという人は、これまでに覚えたつもりの歌を、片っ端から歌ってみてください。フルコーラスでは、なかなか歌えないと思うので、ワンコーラスで構いません。そして歌えなかったところを見ておいて、次回に来たときに歌ってみるのです。

歌謡曲や演歌でも構いません。私のお勧めは、童謡や唱歌など、幼い頃に覚えた歌です。

 英語など外国語の歌であれば、さらに頭や感覚を鍛えることになるでしょう。韓国や中国の歌なども面白いでしょう。ヴォーカル入りのものを聞いて、ただ真似ているだけでも、頭の体操や口の運動になります。

昔、耳だけで聞き覚え口ずさんでいたものを、テロップで見て、意味を把握するというのも楽しいことだと思います。スタンダードな曲がお勧めです。

 カラオケとなると、10代の頃からの同じレパートリーだけをずっと歌っている人がいますが、それでは頭の活性化によくありません。

どんどん新しい歌に挑戦してみてください。うまく歌うことが目的ではないのですから、これまで歌わなかった歌にこそ触れてください。

 脳の活性化ということであれば、テンポの速い曲やリズムの複雑な曲、最近のヒット曲などに挑戦してみるといいと思います。ミュージカルやボーカロイドの曲、アニメの曲など、もはやどこまでついていけるかですが、とても刺激的な体験になるでしょう。

最近の歌なら、YOASOBI、BTS、LiSA、Ado、Eve、優里などで検索して挑戦を。

 本気で挑戦するのであれば、とても長い曲もお勧めです。

さだまさし「親父の一番長い日」12分33秒、

X JAPAN「Tears」 10分30秒

歌を歌うときに、イントロで自分なりのMCをつけてみるのもよいでしょう。


(2)体力、筋力のトレーニング

 
◯アンチエイジング

 「声からのアンチエイジング」とは、老けた声を若返らせれば、その人まで若々しく変わることができるという私の考え方です。

発声法や呼吸法は、体を若々しく保つため、古来からの有効な健康法です。宗教、武道や健康法にも取り入れられ、広くトレーニングとして認知されています。

 
◯歌い方とお勧め曲

できるだけ、体力や筋力や呼吸を使う曲が、よいでしょう。つまり大曲です。長い曲や声量のいる曲、声域の広い曲、しっかり歌わなくては伝わらないような曲です。

うまく歌うことが目的ではありませんから、どんな曲でも好きに選べばよいと思います。

サビのところだけとか出だしのところだけでもよいのです。自分の歌いたいところだけを切り取って、自分のキイとテンポで設定すれば歌えない曲はありません。

 しっかりと歌うためには、テンポが速く口先で歌いあげてしまうようなものよりは、昭和歌謡のような、じっくりと声を伸ばして歌うようなものが向いているでしょう。バラード系です。

どの曲でも、1曲歌ってヘトヘトになるような使い方をすればよいのです。ただし休みをとらず何曲も続けて歌うのは、喉によくないのでやめましょう。休み中も座らず、立っているとかステップを踏んで体を動かすとかすると有意義なトレーニング時間になるでしょう。喉が疲れるのではなく、心身が疲れるようにしましょう。水分補給も欠かせません。

振りを付けてダンサブルな歌唱で、体力を使いましょう。

「UFO」「Young Man」から「USA」のような曲をお勧めします。

誰かの応援でマラカスでも持って、全身を動かしてみてはいかがでしょう。


(3)体調不良、内臓の調子を整える

 腹式呼吸は、横隔膜を動かして内臓を大きく動かし刺激します。声を出すことで、その音の振動は、身体へのマッサージ効果となります。

 介護の現場では、音楽療法士などによって、童謡、唱歌がよく使われてきました。手足や体を動かしながら、口ずさむことで、リハビリ効果があるのです。名曲のもつなつかしさや親しみやすさ、歌詞の素晴らしさ、オノマトペなどが楽しいものも多いからです。

年配の人なら、歌声喫茶でなじんだ曲もよいでしょう。皆で歌える曲がお勧めです。

 柔軟体操をして呼吸なども整えてから歌うことをお勧めします。

最初に、姿勢をつま先立ちで背伸びをして体を伸ばし、踵を下ろし整えます。

 仰向けに寝転がって上を向いて歌うなどというのもよいでしょう。うまく歌おうとするよりは、お腹を抱えて転げ回って笑っている方が、効果的です。

例えば、声を単に大きく出す、長く出す、響かせてみる、裏声にしてみる、そんなことを楽しんでみてもいいと思います。

歌がないとやりにくいという人は、変わった歌を選ぶとか、ヨーデルやエスニックな音楽を探してみるとよいでしょう。

キーを低くし、テンポを落としてみてください。男性なら1オクターブ下で女性の歌を、女性も男性の歌を歌ってみるといいと思います。


◯歌い方とお勧め曲

 声を出すことで、どこまで内臓に働きかけられるのかは、わからないのですが、試してみてください。

まずは、低く太い声の出せるような曲がお勧めです。ムード歌謡や低音の魅力と呼ばれた人たちの歌をじっくりと歌ってみるとよいでしょう。

石原裕次郎、フランク永井、菅原洋一、水原弘

今陽子、弘田三枝子、中尾ミエ、欧陽菲菲、キムヨンジャ。

ビブラートがかかりやすいような曲やこぶしが効くような曲がよいでしょう。

(4)ストレス解消に

 カラオケで気持ちよく声が出ると、体も気分も不思議なくらいすっきりしませんか。

声はとてもナイーブなものです。音楽はことばよりも、脳の深いところにあります。メンタルケアのためのミュージックセラピーは、それを利用しています。

ストレスの発散の仕方というのは、いきなり楽しい歌を歌うよりは、暗くて悲しい歌から入った方がよいでしょう。急に気分を上げようとしても無理が来るからです。

これを同質の原理といいます。暗い曲から少しずつ明るい曲へ持っていくということです。

 歌の場合は、歌っているどころか聞いているだけでも、気が晴れることもあります。カタルシスになるわけです。涙を流してスッキリするのと同じ効果です。

 仲間とのコミュニケーションは、よい刺激でしょう。

ほめられたり、拍手されると、気分よくなり、意欲的になり、姿勢や外見にも気をつかうようになるでしょう。

発表会やレコーディング(ユーチューブなどSNSにアップ)をすれば、目標となり前向きになれるでしょう。「歌ってみた」でアップすればよいのです。


◯歌い方とお勧め曲

 あなたの思い出のある懐かしい曲を歌ってみるとよいでしょう。その曲を歌うと、その頃のことや人間関係などが思い出されるような曲です。


手っ取り早くなら、ものまねをしまくると、今の自分を忘れられます。映画やアニメの主題歌などもお勧めです。

「宇宙戦艦ヤマト」「あしたのジョー」などから、「踊るポンポコリン」みたいな軽いものもよいでしょう。

できるだけアホな表情、変顔、抜け顔で、気持ちも解放して歌い、リラックスしましょう。

 悲しくて泣きたくなるような歌というのもあります。
中島みゆきの歌に多いです。

雪村いづみ「約束」、沢田知可子「会いたい」、クミコ「わが麗しき恋物語」、美輪明宏「ヨイトマケの唄」などです。


◯日常生活での練習法

準備として、呼吸を深くしておき、表情を豊かにしましょう。力を抜き、胸をややもちあげ、あごをひきます。お腹の底から息を吐き切り、しぜんにお腹に戻します。

しっかりと吐くことです。そして、胸の下の方の肋骨と横隔膜を広げます。

最初は、前屈する姿勢で行うとわかりやすいでしょう。

ドッグブレスやフェイストレーニングも有効です。

 日常でもできるだけ、、声を出す、息を出す、体を動しているとよいと思ってください。

うまく歌うことよりも、健康のための運動と思い、運動量を増やすことを目的としてください。声をたくさん出すことを目指しましょう。

マイクを使わないで大きな声で歌うのもお勧めです。

振りをつけるとさらによいでしょう。

愛嬌を出し、刺激とテンションを求めましょう。

大げさにおどけて、笑ったり、だらしなく楽しみましょう。

いい加減に鼻歌まじりに楽しむことが大切です。よい気分のなかで声を使うことです

散歩するくらいのつもりで行うのがコツです。

たくさん歌うこと、思い切って歌うこと、楽しむことが大切です。

発声は、たくさんの筋肉を使って、全身で行うものです。だからこそ、日常的に親しむことで、いつまでも活き活きした声を出すことができます。

少しだけ実力以上のことを負荷をかけて、行うのです。

今までよりも少し、大きく長く声を使うことです。

声を使わないような日がないようにすることです。

人に対して声を使いつつ、相手のいないときは、声を出す機会として使いましょう。

会話よりも歌の方が、しっかり歌えば喉に負担になりません。

健康のためにもそういうことを踏まえて、毎日を送ってください。

 カラオケでの選曲で迷うのは、時間の無駄です。最初に10曲くらい入れておきましょう。

前に歌った人たちの履歴から、ランダムに選んだり、メドレー曲を入れて、ムチャクチャに歌いましょう。

カラオケでも、歌以外に、朗読、読経、落語などの材料を持ち込んでもよいでしょう。

歌でなくとも、声を出したいものならなんでもよいのです。

ラジオでかかる曲やパーソナリティのことばをくり返すなど、どう利用しても構いません。

 カラオケのヴォーカル入り、本人歌唱などの曲やYouTubeなどの音源から、歌を聞きながらまねして歌ってもよいでしょう。


〇お勧めのカラオケ曲 上記の(1)~(4)に相当する曲

必ずしもきちんとわけられるわけではありません。

(1)
「少年時代」井上陽水
「勝手にシンドバッド」サザンオールスターズ
「I LOVE YOU」尾崎豊
「愛は勝つ」KAN
「硝子の少年」KinKi Kids

「時の流れに身をまかせ」テレサ・テン
「異邦人」久保田早紀
「オリビアを聴きながら」杏里
「ジョニーへの伝言」高橋真梨子
「Butterfly」木村カエラ

 
(2)
「季節の中で」松山千春
「雪国」吉幾三
「熱き心に」小林旭
「北国の春」千昌夫
「シクラメンのかほり」布施明
「さよならをもう一度」尾崎紀世彦
「ワインレッドの心」安全地帯
「ブルースカイブルー」西城秀樹

「恋の季節」ピンキーとキラーズ
「二人でお酒を」梓みちよ
「みだれ髪」美空ひばり
「魅せられて」ジュディ・オング
「津軽海峡・冬景色」石川さゆり
「また君に恋してる」坂本冬美
「ら・ら・ら」大黒摩季

 (3)
「黒い花びら」水原弘
「王将」村田英雄
「昴(すばる)」谷村新司
「もしもピアノが弾けたなら」西田敏行
「桜坂」福山雅治
「千の風になって」秋川雅史
「海の声」桐谷健太

 「アカシアの雨がやむとき」西田佐知子
「卒業写真」荒井由実
「知床旅情」加藤登紀子
「時代」中島みゆき
「舟唄」八代亜紀
「あの鐘を鳴らすのはあなた」和田アキ子
「ハナミズキ」一青窈

 
(4)
「見上げてごらん夜の星を」坂本九
「あの素晴らしい愛をもう一度」加藤和彦・北山修
「時の過ぎゆくままに」沢田研二
「夢の途中」来生たかお
「島唄」THE BOOM
「ひまわりの約束」秦基博
「夜空ノムコウ」SMAP「大きな古時計」平井堅

「翼をください」赤い鳥
「三百六十五歩のマーチ」水前寺清子
「フレンズ」レベッカ
「PRIDE」今井美樹
「ありがとう」いきものがかり
「涙そうそう」夏川りみ


その他

「君恋し」「スーダラ節」「いつでも夢を」「遠くへ行きたい」「若者たち」「ブルーシャトー」「銀色の道」「影を慕いて」「函館の女」「襟裳岬」「酒と泪と男と女」「乾杯」「愛のメモリー」「さよなら」「いとしのエリー」「贈る言葉」「花」「北酒場」

「ここに幸あり」「コーヒー・ルンバ」「夜明けの歌」「ブルーライトヨコハマ」「別れの朝」「誰もいない海」「フィーリング」「恋人よ」「いい日旅立ち」「赤いスイートピー」。

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