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【自伝】生と死を見つめて【全16話】

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自分の半生を描きました。自伝を書くのは昔からの夢でした。「note創作大賞2024」の「オールカテゴリ部門」に応募しています。一人でも多くの方に読んで頂ければ幸いです。
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記事一覧

【自伝】生と死を見つめて(1)プロローグ〜死〜

月だけが、私を見ていた。 満月の夜、森の中。まだ寒い北国の3月。私は凍えながら服を脱いで…

【自伝】生と死を見つめて(2)毒親

「死ね!死んで償え!」ビール瓶をテーブルに叩きつけ、私は絶叫していた。 29歳の時、祖父…

【自伝】生と死を見つめて(3)足の病気

小学校2年生の頃、走り方がおかしいと周りから言われるようになった。自分では普通に走ってい…

【自伝】生と死を見つめて(4)小・中・高

小学校低学年の頃の私は、ものすごくきかん坊だった。 男子と喧嘩をすることもしょっちゅうだ…

【自伝】生と死を見つめて(5)障害者

私が10代の頃は、障害者に対する世間の理解があまり進んでおらず、あからさまに差別を受ける…

【自伝】生と死を見つめて(6)東京

20歳の頃、国立高専を卒業後、上京して音楽の専門学校に入学することを考えていた。 両親に…

【自伝】生と死を見つめて(7)留学

25歳の夏、私は留学のために渡米した。9月から始まる音楽大学の新学期に向けて、事前に語学研修を受けることになっていたのだ。 そこの語学研修では、私よりも若い学生が多く、東京で音楽の仕事をしていた頃は、周りがみんな目上の人ばかりだったので、非常に新鮮な感覚を覚えた。 英語の授業の他に、週に一度ジャムセッションの時間があって、それが楽しみで仕方がなかった。英会話が全然出来なくて苦労していた私にとって、唯一の楽しいひと時だった。 仲間のアパートで皆と一緒に料理をしたり、学生寮

【自伝】生と死を見つめて(8)アメリカでの手術

「1000万円…とてもじゃないけど払える金額ではない…」手術費の明細を見せられて、諦めに…

【自伝】生と死を見つめて(9)自殺未遂

異変が起きたのは27歳の頃。留学中に住んでいたシェアハウスで、死ぬことばかり考えるように…

【自伝】生と死を見つめて(10)精神病棟

A病院に入院していた頃、色々なことがあった。 まず、この病院の基本方針が「グループミーテ…

【自伝】生と死を見つめて(11)大震災

2011年3月11日14時46分。その時は突然やってきた。 ゴゴゴという巨大な地鳴と共に…

【自伝】生と死を見つめて(12)復興応援キャラクター

37歳の頃、夫と二人で試行錯誤しながら、あるキャラクターを作り上げた。 夫がデザインを担…

【自伝】生と死を見つめて(13)生活保護

二人の出会いは、精神病棟だった。 その頃の私は、何度も自殺未遂を繰り返し、閉鎖病棟や隔離…

【自伝】生と死を見つめて(14)健やかに暮らす

34歳の夏、たまたま宿泊した旅館で、温泉の素晴らしさに目覚めた。 その頃は、四六時中抑うつと怒りの感情に支配され、ひと時も心休まる暇がなかった。どんなリラクゼーション方法を試しても、効果が表れることはなかった。常に不眠気味で、ぐっすりと眠ることも出来なかった。 ところが、そこの温泉に入ってみると、心の中の雑念が消えて、頭が空っぽになったのだ。心身がすごく楽になり、夜も熟睡することが出来た。あんなにつらかった抑うつや怒りの症状から、解放されたのである。 そこの温泉は「源泉