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李晏
2024年7月1日 22:59
心地よい空間を探す。依存に騙されて酔えるくらいに、祈るような行為はもう出来なくて。選択肢をいくつも転がす。幾つも幾つも創り出しては掌から転がす。どれかひとつが残ればいいと。どれかひとつが進めばいいと。そしてどれかひとつが辿りつけばよいと。ゆっくりと優しく手放してやる。そしてあとは終わるまで進める。たったそれだけ。そう、それだけで。どんな道が消えて、ど
2024年6月18日 22:25
一夜かけて物語をひとつ呑み込む。まだ続く道は遠くて、内側はざわざわと騒いでいる。窮屈な膜から抜け出したように暴れそうになる王さまを一旦押し込めて謝罪を贈る。ひとつの世界を返却し、ふたつの世界をまた手に帰る散歩道はとても月が綺麗で、猫に幾匹も出逢う。伸び縮みを繰り返す造形はしなやかで、ただただ美しいと思うのだけれど、あの毛並みに触れにいくにはあまりにも違いすぎて近づけない。ほてりほてりと歩いては、進
2024年6月13日 23:23
細い月痛みの中で白いアイス最中を齧る酔うための酒とは別れたよ結局酔えない酔いたくなるほど現実を生きたけどそれはただの言い訳に成り下がるもう煙草の受動喫煙にも顔を顰めるようになって私はあの銘柄が好きだったのだと思い出す身体が壊れても愛してやるとそんな愛し方が今は出来ない蛙と鷺が叫ぶ夜はいつしか私の中で当たり前になった纏わりつく生温い空気の波は
2024年5月31日 21:30
音が聴こえる。以前、聴こえないふりをして忘れてしまった音楽が。私の周りは雪ばかりで、今ならその雪が全てを吸い込んで静かな世界を贈ってくれていたことがわかる。それでも、静かすぎるのは、ちょっとばかし怖くもあって、何も聴こえない。空っぽになったと淡く絶望のような感情を抱いたこともあった。私は紅で白を染めるしかなかったけれど、それでも雪は静かに優しく、しへ向かうやうに、私を誘った。雪
2024年5月17日 20:00
昔は自由に翔べてたんだ。檻の中でも空が見えていたからさ。白く輝く羽で力強く羽ばたいて、胸を張って。それで。それで。それで。ある日真っ黒に染まって、私はどうにもそれが赦せなくて、翔ぶことも忘れて俯いてとぼとぼと歩いた。『あら、綺麗だったのに。それはそれでいいと思うけれど、もう翔ばないの?』って。仲の良い隣人に話しかけられた。その時、私のよき隣人は青々と茂る駅の近くにある街路樹だけだった。わたしの羽が
2024年5月15日 21:11
何もかもが意味を成さなくなってから久しい。意味を見出さなくなったといっても同じことだろう。何もないから自由に生きられる。流れる血潮と暖かな夜明けはいつも私を空へと飛ばしてくれる。いつまで待てばいいのかと思ったけれど、いつまででも待とうと覚悟をしたほうが幾分か楽なことにも気づく。炎を吐く獣と、氷を紡ぐ娘。悲しみの淵に見るのは、井戸の中で自由に泳ぐ極彩色のさかなたち。今一度創り出そうとして、無味乾燥な
2024年5月9日 18:34
緑がいっそう深くなって、とある季節はおいていかれる。葉っぱは沢山降り積もっていくけれど、その一枚に染まる必要もなくて。他者を介在させず、自身が充足するナニカはきっと君が知る色をしていない。朝焼けと霧。底と頂き。こんなにも深く息のできる世界は美しい。山々が青く、くっきりと空との境界線をひく。葉桜と烏。海とヤシの木。斜めに日の光を取り込む、わたしのためだけの部屋。くるりくるりと回る椅子。くるりくるりと
2024年5月2日 03:26
ラテン語ってなんかかっこよさそうでいい感じじゃないですか。そんで英語と韓国語と中国語は私にとって身近な音楽でありまして、日本語は私に苦痛も併せてもたらします。なんて業が深いんだとか思いながら、接客中は英語が通じると笑顔になるくらいには意思疎通が出来ると嬉しいんです。実践。吹き替え。Google翻訳からのお勉強。そんな感じで言語を学んでいくほうが私には性に合ってましてね、それにようやく最近気づい
2024年4月30日 08:40
わたしの蒼ノ電燈は、未だ濃い闇の中でつなぐ場所を探るように明滅しているわけですが、なかなかどうして雨粒が、地に触れる音たちと、翼を持つ鳥が囀る音たちが密かにつながり合い続けて一つの雪原を創り出すわけでありまして。夢と現を行き来しますが、それは記憶でもありまして、過去と今とを行ったり来たりと旅をしますが、憎しみの中に微かに残った優しげな感情を、わたしは未だ宝箱に入れようと四苦八苦しているわけでし
2024年2月19日 22:17
何もかも意味がなくなって真っ白な存在に戻ってそんな感じでぶらぶらぶらと進んでゆきそれがいいんだよと自身に言葉を贈れたらそれはそれで私の中で意味がないという意味になってふわふわふわとどんなところへでも自由に跳んでいけるようなそんなカードを手に入れたとてよく配られた手札で闘うしかないとも聞くがその配られたカードを派生させるか進化させるかは努力でなんとかするとかしないとかして
2023年11月25日 16:53
全ての野原に降りたてないかしら全ての海原に住めないかしら全ての夜空に在ることができるかしら全ての川辺に挨拶できるかしら赤い南天の実がこころを癒してくれるまで待って待って待ってさぁ、ゆくよ、と手を伸ばす 燃える朝日に近付いて鳥の囀りを拾い集め月の香りのする引き出しに蔵い獣たちの鼓動で眠ると決めたけれどそれらは何を意するのかそれらは何を遺するのか全てとは何かしら
2023年9月18日 14:50
泣きたくなるような音がずっとずーっと鳴っているその音はポンと鳴るけども鳴ってほしくない時にポンと鳴るポンポンぽんといつもわたしを迎えにくる連れ去ろうとするまだ行けない大切な人にお別れを言っていないからまだ行けない大切な人が大切に思ってくれていなくてもそれが愛さない理由にはならないのだとわたしの翼に囁いてそれでも騙せず苦しくて折ってしまったよ森にあげてしまったよ
2023年8月22日 20:05
静かに静かに降り積もるまで白い吐息をゆうくり大切に吐き出してかじかんだ手の指先をやんわり掴む君は外套を纏っているのだろうかそれとも細く長く青白い手足を風に触れさせているのだろうかゆうくりゆうくりと落ちては溶けてゆく白いわたぼうしのゆき達は真っ赤に染まり果てた地面など知らずひとりひとりと落ちてゆく降るなとどれだけ願っても手を青空へ伸ばしても小さな小さなわたしの手は