すべて
全ての野原に降りたてないかしら
全ての海原に住めないかしら
全ての夜空に在ることができるかしら
全ての川辺に挨拶できるかしら
赤い南天の実がこころを癒してくれるまで
待って待って待って
さぁ、ゆくよ、と手を伸ばす
燃える朝日に近付いて
鳥の囀りを拾い集め
月の香りのする引き出しに蔵い
獣たちの鼓動で眠ると決めたけれど
それらは何を意するのか
それらは何を遺するのか
全てとは何かしら?
全てとは何かしら?
李を手に取りゆうくりと齧りつく
全ては無駄なく全てを彩る
さぁ、ゆこうか、
全てを掴めるようにと
手のひらに抱えられるものだけが微笑み
それが君の真実になったとしても
その木の実さえ
君は変えてゆけるから
さぁ、掴みに、収穫をしに、
指の隙間から別れを告げるのは悲しいだろう?
よければ投げ銭をお願いします。