見出し画像

すべて

全ての野原に降りたてないかしら
全ての海原に住めないかしら

全ての夜空に在ることができるかしら
全ての川辺に挨拶できるかしら

赤い南天の実がこころを癒してくれるまで

待って待って待って
さぁ、ゆくよ、と手を伸ばす 



燃える朝日に近付いて
鳥の囀りを拾い集め

月の香りのする引き出しに蔵い
獣たちの鼓動で眠ると決めたけれど

それらは何を意するのか
それらは何を遺するのか

全てとは何かしら?
全てとは何かしら?

李を手に取りゆうくりと齧りつく
全ては無駄なく全てを彩る

さぁ、ゆこうか、
全てを掴めるようにと



手のひらに抱えられるものだけが微笑み
それが君の真実になったとしても

その木の実さえ
君は変えてゆけるから

さぁ、掴みに、収穫をしに、
指の隙間から別れを告げるのは悲しいだろう?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?