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過保護と過干渉について 佐々木正美先生の「育てにくい子と感じたときに読む本」 読書感想文

この本を信じて子育てして来て10年以上経ちました。あのとき、この本に出会えてよかった。

長男は国語の学習障害があります。こないだのテストも、理科のテストを95点取ったと思えば国語のテストは24点。得意なことと不得意なことの差が激しい。まだまだ手がかかる。でも、優しくて思いやりのある中学生になりました。


2歳の頃の長男はまるで悪魔のような激しさがありました。嫌なことは全身で嫌がり、暴れるし走っていくし、大泣きして絶対こちらが折れるまで諦めない、そんな子でした。言葉も遅かった。言い聞かせたって通じない。

はじめに通っていた認可外保育園の入り口の長い階段。一段登ってまた一段降りる。なかなか保育園まで辿り着けない。朝だけ来てくれているおじいちゃん先生が一緒に手を持ってピョーンっと上まで連れてもらえたときは喜んですんなり登園できました。

実家にて2人目を出産したとき、両親は、男の子ってこんなに手がかかるのか!!!と驚いていました。2人がかりで何とか散歩。全力で向き合わないと公園にすら行けないし、家にも帰れない。古い家特有のガラスの玄関だった実家で、玄関に突進してガラスが割れて頬を何針も縫う怪我もしました。

発達グレーの子向けに自治体がやっている親子教室にも通いました。駐車場降りてから入り口まで気を抜くと車道でもお構いなく走っていってしまう。必死で手を掴んで決死の覚悟で通いました。ここでは、切り替えを練習するコツを教えてもらえた。次々と楽しいイベントがあり、今やってることから離れられるように。声をかけても入りにくいから図や絵や写真で伝える技術も身につけました。この頃から、お出かけのとき帰りたがらない息子対策が上手になりました。小さなおもちゃ、お菓子、ご褒美のガチャガチャ。ちょっと手で隠してなーにかなっとチラッと見せて気を引いたりして。終わる10分前ぐらいにあともうちょっとで帰る時間だよとあらかじめアナウンスして心の準備をさせて(ちょっと大きくなったら、あの時計の長い針が12になったらとか)、帰る時間になったら好きなりんごジュースを見せながらジュース欲しい人!で釣り、飲みながら楽しかったねぇ、よし帰ろっか。そんな技です。

佐々木正美先生によると、過保護は本人がやって欲しいことを出来る限りやってあげること。過干渉は本人が望んでいないことを親がやらせたいことを、やってあげることさせること。過保護がいいんです。完璧に過保護にはできないけど、でも本人が望んでいることを叶え続けたら、今度は周りにも愛情を与えられる、人の言うことを聞いてあげられる子に育つ。先にもらわないと、あげられない。本人のあるがままを出来うる限り叶えてあげられると、その分ここにいていいんだという自己肯定感が育つ。

もちろん車道に向かって1人で走ってもいいわけじゃないから、全部は叶えられないんだけど。子ども園の中までチョコレート持っていきたい、そんな要求もあったけど、それはダメなんだよと諭すことになる。園で給食全部食べられるようになっても、家では食べたくないものは食べない。それでもいい、外で頑張ってるんだから家ではできるだけ甘やかした。でも、要求の強い子は、手がかかる分手をかけられる分、愛情に溢れた子になる。

子ども園の3歳の頃の親子遠足は、夫が担当してくれました。朝から集合して、皆で遊んでお弁当食べてお昼過ぎに解散。そんな予定でしたが、息子は解散後も遊びたい、とごねた。うちの夫はとことん付き合ってあげる体力ある良き父親なので、帰るというまで遊んであげようと思ったらしい。結局その施設で5時に閉まるとアナウンスがあるまで帰ろうとせず、もうおしまいだから帰ろうと言うとようやくうなづいた。帰りはさすがに疲れて歩きたがらず、全て肩車で。電車の中も肩車で。なんてエネルギーに満ち溢れた子どもなんだ。私だったら小さなおもちゃを用意してたと思うけど、こんなにとことん付き合ってあげられるのもいいなと思った。

子ども園の3歳のときの運動会は、皆がちゃんと座って観ている間、息子だけが走り回ってた。私は母としては恥ずかしさとか、みじめさを感じていたのだけれど、それはそれとして、それも全て受け止めてくれる愛情溢れるベテラン先生が面倒を見てくれているのを、救われる思いで見守っていた。この先生はいつも息子のことを純粋ないい子だと言ってくれた。

4歳5歳小学校低学年と成長するにつれ、周りのママ友から、成長したね、と声をかけてもらえるようになった。皆、……あの子……。……頑張れ!って見守ってくれてたんだ。

小学校高学年の頃には、懇談のときに先生から激褒めされるくらいになった。荒れてる子もいるんだけど、息子といるとなんだか落ち着くみたいです。クラスが騒がしいとき、ちょっと静かにしようと息子が声をかけたら、皆もああそうしようと素直に思ってもらえるような存在なんです、助かってるんですと言ってもらえるくらいに。

今は、あの激しさは一体なんだったのかと思うくらい。静かで穏やかで動じない。ちょっとぼーっとしてるけど。のんびりだけど粘り強い。小さな子に慕われる。遊びに行く先々で、必ずちょっと年下の子どもが付いてきてた。3兄弟も仲良い。下2人はよく喧嘩してるけど、長男はよっぽどじゃないと怒らないし喧嘩にもならない。おおらかなオーラがある。佐々木正美先生が言うように、過保護に育てて良かったんだなっていつも思う。


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