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掌編ファンタジー小説「異世界伝聞録」その5

星月夜の空の下で小さな宴を、太陽と共に目覚め1日を生きる。

すべては輝くあの鳥が一声鳴いてはじまった。

この世界の神官は次元流と共にある。

それは次元間の“流れ(ストリーム)“によるもの。
高いものは必ず下に。
エネルギーあるものは高いところへ。
それこそがバイオリズムの妙。

遠いものはゆっくりと、近いものほど早く。

走る距離が長いほど、相対的な時間は伸びる。

脳は時間を補正するゆえ感覚は伸び縮みする。

私は酒はあまり飲まないが、嗜むのは好きだ。

女性も好きだが不特定多数に好かれたいとはあまり思わない。

女性の幻影を追っているだけなのだ、きっと。

そう、バイオリズムを整えられる、気兼ねなく相対できる異性。

私は神官戦士としては、もう引退を考えてもいる。

楽しみを生に求めるのが人生の本懐。

できれば皆で分かち合いたい。

生き方はひとつだけでなくてもいい。

そんなつまらないやつには、なりたくないのだ。

無論、ひとつを突き詰める人も居るだろう。

だが、それが人生のすべてではないはずだ。

それは、“すべて“からはほど遠い。

善とは全に程近く。それは万民に与えられるもの。
 
それぞれの正義。それは時間に他ならぬ。

悪は負けることではない。

時間の許す限りを、まず楽しむことが大切だ。

私の弟子の聖女も、立派な神官になった。

彼女は戦士として逸材だが、聖女としては天才だ。

彼女が育てたものは皆一様に笑顔になる……。

私はまだ、この星月夜と明日の朝日に幻想を追っていたいだけなのだろう。

ーーー異世界伝聞録。
   聖王の懐刀セルナークの晩餐。


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