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感覚統合 前庭系の働き編

感覚統合の前庭覚が発達の中でも始めに発達をします。そして、土台となって目と手の協調性が発達したり、言葉の発達や就学に大切な能力を身につけていきます。

読んだことがない方は、過去のブログを参考にしてくれると嬉しいです。

今回は、前庭覚についてまとめました。
インスタグラムにも載せていますが、ここではより詳しく説明しをしていきます。
アメリカの作業療法士のAyres博士が書いた本の1部をまとめています。

さっそく本題に入ります。上の問題では、1つだけ正常発達の子がいます。何番でしょうか。

頭の位置が変化するたびに前庭受容器のどこかが刺激されます。前庭核は、前庭入力と同時に筋肉、関節、皮膚、視覚および聴覚受容器からの情報を処理する「事務センター」のような働きをします。さらに、脳幹部や小脳や大脳皮質の多くを含め、他の脳の多くの部分からインパルスを組織している。

インパルス:神経繊維を伝わる活動電位のこと

受胎後約9週間で前庭核が働きだします。そして、筋肉、関節、皮膚および視覚からの情報に対して適応反応を行う。視覚や聴覚が発達するために、前庭系が建築の土台のような役割をはたします。

ラジオの音量を調節するように、他の神経活動に合わせて増減させています。

目と頸(くび)の筋肉は、前庭系を組織するうえで特に重要な役割を果たします。眼筋と頸筋の反応は、最初の感覚-運動機能の一部であり、そしてこれらは身体の残りの部分の感覚-運動発達のための下地を作ります。

前庭感覚の処理がわるいために学習上の問題を示す子どもは、目の前を動いている物体を追うことに困難を示すことが多いです。また、ある点から別の点へ正確に目を動かすことを難しくします。

アメリカ、オーストラリアおよび南アメリカの多くの研究は、学習または言語に問題を持つ50%は眼振の持続時間が短すぎる事を示している。

小脳の仕事は、私たちが滑らかに、正確に、適切なタイミングで動けるように援助をしてくれます。もし、前庭核と小脳が筋および関節覚の処理や統合をできなければ、子どもは遊びの最中にしばしばよろめいたり、ぎこちなかったりします。身体全体を使う遊びを多量に行わないかぎり、子どもは脳全体を発達させるのに必要な感覚入力を得ることはありません。さらに、正常な人格発達に必要な統御の経験を持つこともありません。

統御(とうぎょ):全体をまとめて支配すること


前庭の情報は、大脳皮質の中で固有覚および視覚とともに処理され、私たちが空間の中のどこにいるのかを教えてくれます。この知識は次に大脳皮質の運動領へ伝達され、私たちが体を動かしたり物体を操作したりするのを指揮します。

読み書きは基礎言われていますが、感覚統合的な考え方では基礎ではありません。これらを行うには脳が非常に詳細な感覚処理を行い、そして精密な運動および精神反応を引き受ける事を必要とします。

視覚系では、文字や数字や句読点の中の微妙な違いを見分けなければなりません。例えば、14と41の違いです。これを見分けるには、子供が空間知覚を持っていないと判断ができません。

書くことはさらに複雑で、脳は手と指の感覚を処理します。手や指がどのように感じるはずであるかという記憶と比較をし、次に鉛筆を動かす筋の収縮を組織することが必要です。

脳が運動や重力からの感覚を受け取り、処理することができなければ、脳機能は上記の内容を実施することが難しいです。

問題の4番目に出てきた子がこれにあたる。倒れる恐れが全くない場合でさえも前庭感覚に対して過度の情緒的反応を示す。この恐れは、身体がおかれている状況とはほとんど関係なく、脳の中の前庭処理の「まちがい」からきている。感覚統合では、これを重力不安という。

彼の動くことに対する気の進まなさは意識的なものではなく、何を言ってもその不安を変えることはできない。褒美で励ましてもなんら効果はありません。この恐れは、脳の奥深くからくるものなので、言葉も報酬も効果はないです。


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