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【図解読書】嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えのレビュー

この図解レビューでは、筆者が価値高く感じたビジネス書を中心に、図解による概念化と引用を用いながら重要なエッセンスをレビューしております。

過酷な労働環境や、複雑な人間関係によるストレス社会大国ニッポン。
国連が出している「世界幸福度ランキング2019年」では前年から4つランキングを落として58位となりました。

このランキングには法律、教育、GDP、自由度など、様々な指標が絡み合っていますが、そもそも「幸福」とは一体何なのでしょうか?

今回図解レビューする「嫌われる勇気」は、世界三大巨頭と呼ばれる心理学者アドラーが提唱する人間の幸福の定義幸福になるための方法論について、青年と哲学者の対話形式で解説している著書です。

・自分の人生にモヤモヤしてる方
対人関係がうまくいかず悩んでいる方
・なんだか気力が湧かないという方
にオススメしたい1冊です。

まずアドラー心理学で前提となる考え方が現在の姿を「目的論」で考えること。
アドラー心理学ではトラウマの存在を否定し、本人が目的を達成するために現在の姿があると考えます。
過去にいじめの経験がある方が心の傷を負っているのは確かですが、それ自体によっては現在の姿は決定されず、これ以上傷つかないようにする目的達成のために自ら不安という気持ちを作り出しているというのです。

実際に辛い経験がある方からすると、そんな単純な問題ではないと言いたくなるかもしれませんが、それは目的を持つ勇気が不足しているということ。
過去に何があろうと、現在の目的をどう持つかによって現在の姿はコントロール可能であることを認識させる「目的論」は、人生を幸福へ導くための第一歩となる素晴らしい捉え方です。

次にアドラー心理学が定義することは全ての悩みは対人関係によるものであるとすること。
誰かと比べてしまったり、相手にどう思われるかに臆病になってしまったり、様々な悩みがありますよね。

逆に他者の存在が一切なく、宇宙空間に自分一人のみしか存在しない場合には対人関係はないために悩みも存在しません。
ただし現実にそんな状況が発生することはなく、孤独による悩みですら対人関係の存在を前提として発生するものです。

ということは、悩みのタネが対人関係によるものとすると、幸福への起点も対人関係にあるのです。

もうひとつアドラー心理学で重視している考え方が「承認欲求の否定」。
相手にどう思われるかどうかは、自分がコントロールできない範囲であり、そこに集中しても消耗してしまうだけ。
仮にうまく相手の気持ちを把握して承認欲求を満たせたとしても、自分の自由意思によって生きることができず、自分の人生を相手のために生きていることになってしまいます。
そんな生き方は決して幸福とは言えませんよね。

そこでアドラー心理学では、自分でコントロール可能な課題に集中して自分の人生を生きるべきであると説きます。
自分でコントロール可能な課題とは、自分がどう世界を見るか、自分がどう行動するかという、主語が全て自分になることです。

自分の課題に集中して承認欲求を否定することをができれば、なんだかとても自由になれるような気がしませんか?
人間が本能的に持っている承認欲求からの解放を説く考え方は新しく、かつとても本質的で素晴らしいですよね。

アドラー心理学における幸福の最終目的地が「共同体感覚」
悩みの根源である対人関係の課題を解決するには、「自分はここにいてもいいのだ」という所属感を感じることが唯一の手段と説いています。
そして、所属感を感じるためには、仲間(共同体)にとって自分は有益な存在であるという貢献感を感じることが必要であるとのこと。

ただ、本当に幸福の根源は所属の欲求なのか?と疑問をもたれる方も多いと思います。
実際、この考え方を100%腹落ちさせるには十分な時間が必要です。
自分の悩みや自分のやりたい事の本質を、目的論、対人関係、共同体感覚という概念を照らし合わせて考えてみてください。
だんだんとクリアに見えてきて、人生はとてもシンプルな原則で幸福になれる事に気づくことができますよ。

いかがでしたでしょうか?

この本は幸福の定義とその方法論について説いてくれました。
ただ、本著はとても奥が深く、100%理解しきるためには何度も読み直す必要があるかと思いますので、ぜひ手に取ってみてくださいね。


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