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これからの「本屋」と「リアルタイムのお客さん」

出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、今年3月時点で書店ゼロの自治体は全国で27.7%。しかし、この数字は大手取次と契約している本屋に限った話らしいです。つまり出版社と直接取引している独立系書店やブックカフェ、古書店、シェア型書店が含まれていない。

全国レベルのデータを示してくれるのはありがたい。でも実態を正しく反映したものを出さないと逆効果なのも事実でしょう。もし私が他の業界で働いていたら「数字を盛って危機感を煽り、書店だけ国に助けてもらおうって寸法かよ」と疑念を抱きます。応援したいと思っていても気勢を削がれてしまう。

見方を変えると、既存の枠に囚われぬ「本屋」が増えている。他の商材がメインで書籍も一緒に置くお店とか。たとえばJR上野駅の構内にある↓は、文房具やキッチン用品などと併せて本も販売しています。

こういう空間も、広い意味での「本屋」でしょう。

そして「本が売れなくなった」といわれつつ、大手取次と契約している書店チェーンの現状は暇ではありません。むしろ以前より人手不足で荷物が多く、業務も多岐にわたっています。

そもそも「本が売れなくなった」というのは、いつの時代と比較したうえでなされた問題提起なのか? 80年代や90年代と比べ、根性論や懐古主義で非現実的な数字を追いかけても仕方ない。

それよりも令和のライフスタイルに即した「本屋」のあり方を模索する方が建設的です。シェア型や独立系が増えているのは、お客さんの求めるものが緩やかに変わってきたということ。ならば、チェーン展開している書店もその辺りを考慮する必要がある。

私は「一冊の棚差し」で他店との違いをアピールすることを掲げています。

売れない売れないと嘆くよりも、リアルタイムのお客さんが「本屋」に何を求めているか? そこを掘り下げていきたいです。

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