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「都内の大型書店」とそれ以外の違い

「八重洲ブックセンター本店」が3月31日で閉店します。

↑によると「同地に建設予定の超高層大規模複合ビル(2028年度竣工予定)への出店を計画している」とのこと。代替店舗に関する記載はありませんでした。

私は一介の本好きに過ぎませんが、同時に非正規雇用のイチ書店員でもあります。ゆえにどうしても内部目線というか、従業員のその後が気になります。

同じ会社でも勤める店の規模が変われば、仕事の進め方も変わってきます。ましてや同業他社へ移れば、これまでの常識が通用しないケースも出てくる。

たとえば都内の大型店では、雑誌と書籍の新刊は前日の午後に入ります。たぶん「八重洲ブックセンター本店」もそうでしょう。他の本屋を知らない従業員はそれが常識だと考えているかもしれない。私がそうだったように。

しかしほとんどの本屋では当日の朝入荷です。開店時間に間に合うように付録や特典を挟み、シュリンクし、棚に出す。慣れるまでは大変かも。

もうひとつ。前日入荷の書店は土曜の午後に来た月曜発売の新刊をすぐに販売できます(雑誌及び雑誌コードのあるムックやコミック、発売日厳守の協定品は別)。なので、大型店の習慣で「土曜に出せるだろう」と見込んでいたら入荷が月曜というケースが起こり得る。

発注&返品の要領も変わってきます。量もそうだし、あとはタイミング。ビジネス書に関しては、大型店で売れる最先端の本が小さな店では意外に動かない。ケース・バイ・ケースですが、トレンドが少し遅れてくる傾向が見られます。

実際、複数フロアの店では見掛けなくなった某書籍が、ウチでは「いまが旬」とばかりにフェア台に積まれています。立地や客層の違いまで頭に入れ、店に適した棚を作る。なかなか難しいけど、RPGの謎解きみたいな楽しみがあるのも事実です。

今回の閉店で職を失う方々が、また書店で働いてくれることを願っています。

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