「自分自身」でいてください
最近の私はこういうシンプルなデザインが好みです。YOH選手のプロデュースとか。まあ「プロデュース」という言葉はシチュエーションに応じて意味に幅が生じるので、どこまで関与しているかはわかりませんが。
そのYOH選手、先日の復帰戦でいきなりタッグ王座を奪取。その勢いでシングル王座にも挑戦を表明しました。
動きも技も決してキレてはいませんでした。でも個人的には以前のチャラさや鼻につくアピールが消え、真摯なレスリングをしていたことが好印象。誰の真似でもないオリジナルのフィニッシュを用意していたことも含め、やっと「彼自身」に帰れたのかな、と。
WWEにジョン・シナというトップスターがいます。彼はラッパーキャラでブレイクしたのですが、実際ヒップホップが好きでした。それで移動中の車だか控え室だかで自作のラップを披露したら、会社の人が「それリングでやらない?」と後押ししてくれたのがキッカケとか。
よくヒールの選手は「実はいい人」「プライベートでは親切」と言われます。彼らにもそういう一面はあるでしょう。でもヒールで成功しているということは、やはり揺るがぬ「悪」の素養があるはず。プロレスは一発勝負の生モノで年間百試合以上。肉体的にも精神的にも過酷な状況下で自分以外の誰かになろうとしても、絶対にボロが出ます。出さないためには「自分自身」を認め、受け入れ、そこへ帰るしかない。
YOH選手のパートナー・SHO選手は会社に与えられた「パリピ」キャラを早々に拒絶しました。「ムリをしていた」と。YOH選手もたぶん同じ気持ちだったのですが、彼は年長者ですし、会社が良かれと与えてくれた役を全否定することに申し訳なさを感じたのでしょう。その後も「準パリピ」みたいな微妙なキャラを続け、デスペラード選手に「おまえの試合からは何も感じねえ!」と言われてしまいました。
もうそんな気遣いはいい。己を解放してあげて。シックなコスチュームや新しい入場曲から感じるセンスは、明らかにYOH選手自身のものです。いまの彼なら応援できます。世間の声が厳しくても自分自身のために戦ってください。Be Yourself.