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伸びた鼻をへし折る男

猛牛・天山広吉と剛腕・小島聡の「天コジ」は、プロレス史上に残る名タッグチームです。

私の部屋の壁には、彼らがIWGPタッグ王座を東京ドームで防衛したとき(2000年秋)のポスターが貼られています。真っ直ぐで熱い試合運びもさることながら、ふたりの飾らないキャラクターも魅力的でした。

小島選手の「1足す1は2じゃないぞ。俺たちは1足す1で200だ。10倍だぞ10倍!」という珍発言は有名ですが、天山選手にも様々な伝説があります。

たとえば、とある試合後のコメントで「俺たちがチャンピオンだ! ベルト持ってるからな!」と叫んでいました。これが私なら「俺は書店員だ! 本屋で働いてるからな!」でしょうか。柳広司「ジョーカー・ゲーム」の三好もびっくりの見事なトートロジー(同意語反復)です。

他にも道場でラーメンを作っていた故・橋本真也選手に「レンゲを持ってきてくれ」と言われて外へ飛び出し、やがて「すいません。レンゲソウはどこにも生えていませんでした」と報告したとか、同期の西村修選手に「西村さん、ムラサコ行きましょうよ!」と言って「あれはむらさきと読むんだよ(居酒屋チェーン・村さ来のこと)」と呆れられたとか。

そんな天山選手ですが、もちろんリング上の実績は一級品。デビューからわずか4年でIWGPヘビー級王座に初挑戦し、真夏の祭典・G1クライマックスでは優勝3回(2006年は全勝)。IWGPヘビーは4度戴冠しました。キレたら怖いことでも知られています。試合中にしつこくバカにしてきた鈴木みのる選手の鼻へ頭突きを叩き込んで骨折させたこともあるのです。

今回の一戦、若いグレート‐O‐カーン選手が有利なのは間違いありません。と同時に、久し振りに暴走する猛牛が見られるのではという期待もあります。もうすぐ50歳とはいえ、まだまだ元気な天山選手。対戦相手は文字通り「鼻を折られないように」用心した方がいいでしょう。


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