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「予定調和」をぶち壊したベストバウト

どんなジャンルでも、長く見ていると先が読めてきます。

この映画はこんな展開で終わるはず、この小説のあれは伏線だろう、このプロレスは○分ぐらいでこのレスラーが勝つに違いないなど。

予定調和。マンネリ。必ずしも悪いことではありません。たとえば「ドラえもん」は時代を超え、あらゆる世代のお客さんを楽しませてきました。だからこそいまも続いている。いわゆる「クラシック」や「レジェンド」の境地へ辿り着けるのは、マンネリとの我慢比べを制した者だけとすら感じます。

ただ時には、こちらの小賢しい予測を一蹴する圧倒的な何かに触れたい。斬新な可能性を目の当たりにしたい。先日おこなわれた鷹木信悟選手とアーロン・ヘナーレ選手のKOPW王座戦は、まさにそんな死闘でした。

時間無制限で3カウントフォール、ギブアップ、10カウントダウンすべてを奪った選手が勝者。通常の三本勝負よりも過酷です。しかも会場は日本武道館や東京ドームではなく後楽園ホール。

多くのファンが想定していたであろう「だいたいこれぐらいで終わるかな」をはるかに凌駕する真っ向勝負の削り合いが続きました。試合時間はなんと38分15秒。間違いなく2023年・ベストバウトのひとつです。

「なんでこの規模の大会でこんなきついことやらせるんだよ」と考えるレスラーもいるかもしれない。むしろそれが普通の感覚でしょう。でも両者は違いました。

どうですか? このわかり合うために闘う「キン肉マン」みたいな結末。応援せずにはいられません。

202○年の東京ドーム大会・1日目のメインは「鷹木信悟 vs アーロン・ヘナーレ」のIWGP世界ヘビー級王座戦。2日目のメインは「高橋ヒロム vs エル・デスペラード」のIWGPジュニアヘビー級選手権。予定調和をぶち壊したそんな未来が来ることを信じています。

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