【本105】『エンド・オブ・ライフ』
著者:佐々涼子 出版社:集英社
在宅医療を選択した患者の最期とその家族を取材したノンフィクション。そのなかには、200人を超える患者を看取った友人の看護師も含まれています。人は死をどのように受け入れていくのか、友人を通して、渡辺西賀茂診療所の患者を通して、描かれています。
「死」は突如として現れるのもではなく「生」の先にあり、その人が大切にしてきたもの、守ってきたもの、信じてきたものが色濃く現れるんだなと思いました。死の直前に家族で潮干狩りに行ったお母さん、ディズニーランドで素敵な思い出を作る家族。残される者たちにしなやかに「生きる」強さと喜びを最後の力を使って伝える人々。生き抜くって、こういうことなんだと、思います。
42歳で幼い子どもをおいて亡くなった敬子さん。どこまでも気丈で明るく、最後の瞬間まで一生懸命生き、亡くなった瞬間、看取った家族から自然に出たのは「拍手」でした。「パチパチパチパチ...」。拍手で送られるって、なんだか素敵で、そこに死を超えた生の豊かさを感じました。
全ての人が平等に与えられているのが「死」です。私たちは「死」に向かって毎日を生きているといっても過言ではありません。長い、短い様々ですが、でも、短いからといって「かわいそうとか、大変だ。」というのではなく「そこには長さでは測れない、命の質」というのがあるはずです。生きているものに何を伝えられるか、その生き様を「死」が伝えてくれるのだと思いました。
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