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忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる映画【川っぺりムコリッタ】


久々に映画の感想を書く。
大抵、書きたくなる時は良い映画・本を見た時だ。
「かもめ食堂」で脚光を浴びた荻上直子監督の最新作「川っぺりムコリッタ」を観て衝動的に思いを残したくなった。

ストーリー
北陸の塩辛工場に勤める山田は、古い安アパートの“ハイツムコリッタ”で暮らし始める。誰とも関わらずに生きていきたいと願っていた山田にとって、アパートの生活は理想的な環境だった。だがある日、隣人の島田が上がり込んできたことで、日常が一変する。

情報提供:ぴあ

ちなみにタイトルにも入っているムコリッタは仏教における時間の単位の1つで1/30日を表すそうです。

本当に大切な事とは?

「生きるうえで大切な事って何だろう?」と本作を見ながら考えていた。

仕事をしているとどうしても、売上やら生産性やら人間関係ばかりに目がいき本当に大切な事を見失いがちになってしまう。

平日、有給をとった中で観にいった事もあり、実際この映画を観ている最中も頭の中では「連絡溜まるから返信がめんどうだな・・・」と映画に没入できず仕事のことが頭の片隅にずっとあった。

何故ここまで仕事に支配されるのか?
責任感?
それとも自分が無能と思われたくないから?

この手の問いは簡単に答えがでないんだよ・・・わかっている。
ただ、言えることは大切な人達と一緒に温かいご飯を食べることが、ささやかながらも幸せを感じる瞬間であるということ。

食べるは尊い

映画の中で松山ケンイチ演じる田中が白飯を美味しそうに食べる
シーンを見て「あ、食べるって行為は尊いんだ。」と感じてしまった。

白飯・味噌汁・浅漬けを無心で口にかきこんでる様は、不思議と人間としての原点に立ち返る感覚になった。

食べられることが当たり前だと、その有難さや大切さに気付くことがとても難しい。ただ、食べるものがあることは間違いなく有難いことであるし、そのことに感謝しなくてはならない。

孤独は怖い

本作は「食」「人との繋がり」「死」の3つがメインテーマと個人的に思う。

吉岡秀隆さん演じる墓石を売り歩く男、溝口の
「死は間違いなく訪れる」というセリフが心に残る。

生活している中で「死」について考えることって正直殆どない。
身近な人が亡くなったり自然災害があれば考えてしまうが
、今生きていることが当たり前だと思っている。

でも、死ぬときはあっけなく死ぬ。
その瞬間は平等に訪れる。

物語のなかで松山ケンイチ演じる田中の父親は孤独死する。

誰にも気づかれず亡くなる孤独死。
私自身、1人でいることはあまり苦ではないがそれでも孤独死は辛い。

会社や学校、生きていると嫌でも誰かと関わりを持たなければならなく、
そのことが疎ましいと感じる人も少なからずいるだろう。

友達でも、家族でなくても良い。
何気ない会話をできる関係性の人がいれば、きっとその人の存在が心の拠り所になり孤独を感じずにすむだろう。

本作のキャッチコピーにもなっている「心をほぐす 幸せがある」鑑賞後この言葉を噛みしめながら穏やかな気持ちで映画館をあとにしました。

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