秋本そら

小説の執筆、読書、絵を描くこと、音楽、ゲーム実況やTRPGが好きです。稀に写真も。 T…

秋本そら

小説の執筆、読書、絵を描くこと、音楽、ゲーム実況やTRPGが好きです。稀に写真も。 Twitterに書くには長いこと、ちょっとした創作小説、本の感想を載せていきます。 Twitter→@book_sonority(趣味垢)/@write_sonority(小説投稿関連)

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  • そらの下歩いた記録

    日記のようななにかを、つらつらと書き残した記事です。

  • 瓶詰めの世界

    ちょっとした物語を集めています。 「夢の世界を」/「哀の歌は夜響く」全3話/「今日の光に」/「法則《ルール》」全2話/「私からあなたへ」全3話/「影のように、呪いのように」/「似た者どうし」/「こんな夜更けに二階から花束を」/「誰が為の世界で希う」全27話

  • 長編小説「誰が為の世界で希う」

    魔法を使える者――魔術師のいる現代日本を舞台とした、ヒューマンファンタジー小説「誰が為の世界で希う」をまとめました。全27話です。

  • 栞語り

    読んだ本の感想や、本について語った記事をまとめました。 本の感想に関してはネタバレが含まれている可能性があるので、ご注意ください。

  • Remember Me

    「そらの小話集」「瓶詰めの世界」「栞語り」「隠し本棚」に分類できないものたちです。 これらに埋もれて忘れ去られないように。

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誰が為の世界で希う-1

 魔法の使える人間――魔術師が存在すると公に認められている現代日本。  大学二年生の清水亮は自分が魔術師であることを知り、二人の魔術師に導かれながら魔法を学んでいくことになる。才能も魔力も十分にあったためか、清水亮はすぐに魔法を使いこなせるようになるが、そんな彼を利用しようとする人物も現れて――?  魔法の師である二人や旧友たち、さらには魔法で人々を幸せにすることを理念に掲げる組織「魔術師協会」の職員たちまで。様々な人に支えられながら、清川亮は魔法を自分のものにできるのか。そ

    • そらの下歩いた記録-2024/06/27

       こんばんは、秋本そらです。  今日でなんとnoteの連続投稿31日目らしいですよ。ほぼ27日間連載していた小説のおかげではあるのですがね。びっくりです。  さて、昨日は23時台に就寝した私。  目覚ましは7時に設定していましたが、初めに目が覚めたのは、なんと5:20ごろ。流石に早すぎるのですぐに二度寝しました。  そして7時の目覚ましで起きるものの、冷房を効かせすぎたせいで少しお腹が痛く、エアコンを切り1時間ほど布団の中へ。結局8時起床となりました。  起きる時、まず驚い

      • そらの下歩いた記録-2024/06/26

         こんばんは、秋本そらです。そろそろnoteでうっかり前の名義を名乗りそうになるのをやめたいです。  さて、本日も色々あったので、さっそくまとめていこうと思います。  昨日、私にしては珍しく22時台には就寝しました。眠りに落ちるのもかなり早かった気がします。普段であれば夕食を食べている時間なのですが、なにせ昨日は行動開始時間が早くて、約5時間歩き回ったせいで疲労していたので……。  目覚ましは朝の7時に設定していたのですが、なんと6時に目が覚めました。びっくり。二度寝して7

        • そらの下歩いた記録-2024/06/25

           こんばんは、秋本そらです。  今日は、書きたいことがたくさんあるんです! なので、お酒を飲んでほろ酔い状態ではありますがこうして筆を執っています。  ちなみに私は結構お酒が好きで、よく飲むんです。特にウイスキーが好きですが、ビールも日本酒もワインもチューハイも、大体はおいしくいける口です。ちょっと意外に思われそうですが。  さて。昨夜の記事の続きからにはなってしまうのですが。  私は、夜行バスに乗って旅をしに来ました。その、夜行バスの話からさせてください。  私は、チケ

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        誰が為の世界で希う-1

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          そらの下歩いた記録-2024/06/24

           こんにちは。秋本そらです。  ふと思い立って、1日の記録のようなものをつけてみることにしました。日記みたいなものに近いのかもしれません。毎日書くかもしれないし、きまぐれにしばらく書かない日もあるかもしれません。気長にお付き合いいただけると嬉しいです。  今日は、いつも通り仕事です。  私の職場は、周囲の人間から「拘束時間が長い」と言われがちな、まぁよくある小売店です。チェーンでもなんでもない、小さな、でも地元ではそれなりに名の知れた、そんなお店。  素敵なものに、個性的な

          そらの下歩いた記録-2024/06/24

          誰が為の世界で希う-27

           風が吹く。街路樹の枝葉の音がビルに反響し、人々のざわめきが響き渡る。足音が、乗り物が地を揺らし、老若男女が一つ所に集う。  今日も池袋駅でバスを降りた亮は、学び舎に向かって歩を進めた。  駅の花壇の縁、将棋に精を出す者がいるかと思えば、その横を忙しなく通り過ぎていく会社員がいる。道の端でうずくまり眠るものもいれば、派手な服で身を包み横断歩道を渡っていくものもいる。制服を着こなした子どもたちは転げそうな勢いで駆けて行き、喫茶店では学生が談笑している。  本当にたくさんの人がこ

          誰が為の世界で希う-27

          誰が為の世界で希う-26

           七月も終わりを迎えようとしているある日。 「笹原、ジャケット着てないけど忘れてねえか?」  帰り支度を済ませ、役所を出ようとしていた笹原は、不意に同僚に呼び止められて振り返った。 「ああ、大丈夫だよ。今日は着てきてないんだ」 「へえ、珍しい。でも、たしかに最近、ジャケット羽織ってるところ見てないかも。着るのやめたのか?」 「まあ……暑くなってきたし」  そうかあ、と納得しているのかしていないのかよく分からない声をあげている同僚を置いて、お疲れさまでした、と建物をあとにする。

          誰が為の世界で希う-26

          誰が為の世界で希う-25

           亮と海弥が涼しい室内で談笑している頃、蓮人は区立中央図書館を出て大学へと行こうとしているところだった。腕には今しがた図書館で借りた、心理学や魔法に関する様々な本を数冊抱えている。フードで隠れて見えづらいが何か考え込んでいる様子で、けれどその割には駆け足で横断歩道の方へと歩を進め、やがて大学の校門前にある信号を確認して、道を渡り始める。  しかし、次の瞬間。 「――っ!」  足首からぐきりと嫌な音がして、蓮人はバランスを崩し、抱えていた本を車道に撒き散らして、その場に頽れた。

          誰が為の世界で希う-25

          誰が為の世界で希う-24

           大学の夏季休業もすぐ近くになった、ある日の私立東池袋学芸大学。 校門をくぐる、ひとつの人影があった。  誰かを探すようにその高い背で辺りを見渡し、大学構内の中心部にある広場でカメラやマイクといった撮影機材を運んでいる集団を見つけると、口元に笑みを浮かべる。  軽やかに、しっかりと。地を蹴り走り出した彼は燃えそうなほどに熱い夏の空気を吸い込んで、目の前を進んでいく集団の中にいるはずの、友人の名を呼んだ。 「――犬童!」  秋の行事に向けたドラマ撮影集団の中、名を呼ばれた海弥は

          誰が為の世界で希う-24

          誰が為の世界で希う-23

           幻が、消えた。  巷一はひとつ息をつくと、隣で煙草を消す笹原をちらりと見る。  荷田が吸っていたものと同じ銘柄だという煙草。季節外れにもかかわらず、羽織であるかのように身につけているジャケット。そして、幅広とまではいかないが、ゆったりとしたストレートパンツ。 「その煙草も、恐らくは服装も。……荷田さんに自分を重ねるため、ですか?」  その言葉に巷一の方を振り返った笹原だったが、驚いた様子はない。 「よく分かりましたね。どうやって知ったんですか?」 「魔術師らしく、魔法を使い

          誰が為の世界で希う-23

          誰が為の世界で希う-22

           どんな出来事が起きようとも、時間は待ってくれない。日曜日は終わり、また、素知らぬ顔で平日がやってくる。 「柏木君」  ゼミの教室から大学構内を眺めていた蓮人は、聞き慣れた声に振り返った。 「あ……本間さん」 「この間の土日で、なんかあった?」  風花の声は、腫れ物に触れているかのようにぎこちない。 「どうして?」 「なんか普段よりも疲れてそうだし、それに……」  いったんそこで言葉を切り、少し考えていた風花だったが、思い切ったかのように口を開く。 「探してるんでしょ、清水君

          誰が為の世界で希う-22

          誰が為の世界で希う-21

          「――お前は亮のことになると冷静さを欠くな。前にも言っただろう。『魔術師は冷静であれ』。思考を放棄しやすくなるし、感情任せになって正しい判断を下せなくなる。魔法が暴走することだってあるんだ。お前は冷静さを欠きそうなときには足を突っ込まないという判断が必要だということを覚えるべきだな」 「……すみません」  豊島区立中央図書館のある建物の、だだっ広い一階ホール。その隅で、二人はガラス張りの壁に背を預けながら話していた。ひとけのない空間に、二人の声が反響する。 「で、笹原はなにを

          誰が為の世界で希う-21

          誰が為の世界で希う-20

           日曜日。  亮のもとに、一本の電話がかかってきた。 『やあ、少年。今日の予定はどうかな』 「……名乗りもしないんですね、笹原さん」  ため息交じりに応じると、電話口の向こうにいる笹原はニッと笑った、ような気がした。 『どうせ声で分かるだろう? それよりも、今日の午後だよ。予定は空いているかな』 「空いていますけど……どうしたんですか、急に」  本当のことを言えば、もう笹原と一緒にいたくなかった。先日も『困りごとがあるから手伝ってくれ』と頼まれたが、その内容が『不慮の事故に見

          誰が為の世界で希う-20

          誰が為の世界で希う-19

           ――笹原と、会う。  そう考えると、どうしても気持ちが落ち着かなくなる。まだ日曜日にもなっていないのに、と蓮人は一人、頭を抱えた。ゼミの前、講義開始十分前のことだ。 「どうしたの? さっきからずっと悩んでるみたいだけど」  いつの間にやってきたのだろう。蓮人の様子を見かねたらしい風花が声をかけてきた。 「あ、いや……別に。なんでもない」 「そう? あ、そういえば、この間言ってた後輩とはどうなの?」  軽い調子で図星をつかれて、思わず「うっ」と声を漏らしていた。そのままなにも

          誰が為の世界で希う-19

          誰が為の世界で希う-18

           数日後、黄昏時も過ぎて暗くなった時間。  蓮人と巷一は、魔法の練習によく使っていた公園の、すぐ近くにある喫茶店で顔を合わせていた。夏場にもかかわらず長袖のパーカーを着ている蓮人はまだしも、半そでの服を着た巷一には随分と寒く感じられるほどに、冷房のよく効いた店内だったからか、二人ともホットの飲み物を注文し、手元に置いている。  飴色の照明が二人の髪を艶やかに照らす中、蓮人がコーヒーに口をつけて話を切り出す。 「すみません、急に呼び出してしまって」 「いや、別にそれは構わないよ

          誰が為の世界で希う-18

          誰が為の世界で希う-17

           人の波に紛れて、駆ける、駆ける。  頭が痛い。耳元でどくどくと音がする。喉元まで心臓がせりあがってきているような気がする。  今さっき蘇った記憶のせいだ、と亮は思った。記憶に関する魔法は、精神にひどく負担がかかる。術者にとっても、魔法をかけられる側にも。 「――っ」  息を切らしながら、声をかすれさせながら、亮は逃げた。なにかから、逃げていた。  胸にあるネックレスを摑んだ。思い出した記憶をもう一度忘れてしまおうかと、そんな思いが一瞬脳裏をよぎる。 「お久しぶりですね、清水

          誰が為の世界で希う-17