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知られざる皇室外交

#知られざる皇室外交 #西川恵
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ゴシップネタばかりが取り上げられがちな印象のある皇室。
恥ずかしながら、ご公務の内容や意義はなんなのか、はっきりとわかっておらず。
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この本には、各国の王室や政治のトップを向かえた際のエピソード、
そして、天皇や皇太子が諸外国を訪れた際のエピソードや、訪問前後の二国間の政治的・国民感情的な変化について、わかりやすくまとまっていた。
戦後、昭和天皇から平成天皇に繋がる各国トップとの交流の数々。
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戦後、捕虜の扱いにより反日感情の大きかったオランダ。
その流れを変え、平和な未来を築いてくため両国の王室が交わしあうスピーチ。
オランダで皇室が静養された背景にあった、オランダ女王に嫁いだドイツ外交官。
などなど、オランダとの歴史はかなり読みごたえあり。
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戦後の難しい状況(日本は敵国だったから…)で渡欧した皇太子に対し、気遣いを見せる各国首脳陣たち。
ミッテラン大統領との交流。
チャーチル首相のスピーチ。
昭和天皇崩御の際の、事前の予定にはなかったはずの国際会議における黙祷。
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そして平成天皇の慰霊の旅。
サイパン、ペリリューでのエピソード。
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諸外国にとって、特に新興国において日本の天皇を迎えること、そこに
国として国際的に認められる、一目置かれる、という意味合いがあったとは知らなかった。
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いちばん印象的だったのは、美智子妃と当時仏大統領と事実婚関係にあったヴァレリーさんとの頬擦りに関するエピソード。
事実婚のパートナーを正式な訪問者として送り出すフランス、進んでるな。
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政治的な発言はしない、政治的な立場をとることができない、
制限があるなかでの、一国の象徴である天皇によるスピーチでのお言葉選びは、
当時の政治的背景を踏まえると大変勉強になった。
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ぜひ令和天皇の時代についても執筆していただきたい。
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#皇室 #天皇 #外交 #歴史 #おとなの読書

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