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サプリメントによる肝臓のダメージ

アスリートやトレーニングに励む人たちは、体重を減らしたり
エネルギーやパフォーマンスのレベルを向上させるために、
市販のサプリメントをよく使用します。

しかし、
『ハーブやサプリメントの大部分は、
 製造、生産、含有量が食品医薬品局によって厳密に規制されてないため、
 正式な有効性や安全性のテストを受けることはない』と、

ミシガン大学の肝移植メディカルディレクターであるRobert Fontana医学  
博士と、UM肝臓学研究員の卒業生Amar Hassan医学博士は、肝臓損傷に関
連するいくつかの市販のサプリメントの調査を行いました。

米国では、消費者が入手できるサプリメントの数が増え続け、
8万を超える市販製品が販売されており、成人の約50%が少なくとも1種類のサプリメントを常用すると報告されています。

Drug-Induced Liver Injury Networkによると、
肝毒性、すなわち化学的に誘発された肝臓障害を含む、
多くの有害作用がサプリメントの摂取に関連しているとされています。

肝障害に関連するいくつかの市販のサプリメントが調査されました。

筋肥大を目的としたサプリメントの弊害

筋肥大を目的としたサプリメントの中で、
肝障害につながる可能性が示唆されているものの大半は、
アンドロゲン同化ステロイド(AAS)を含むか、その他の化学物質で汚染されているようです。

AASは、テストステロンの合成誘導体です。
性腺機能低下症や遺伝性血管神経性浮腫など、
治療のために、AAS製品の使用を必要とする特定の症状もありますが、
アスリートはパフォーマンス向上や筋肉増強のために、
これらのステロイドの多くを医師の指導や、専門家による指示なしに使用しています。

薬物による肝障害の厄介な傾向

Fontana氏によると
『これらの製品の使用は、多くのアマチュアおよびプロのアスリートの間で 
 一般的である。
 データによると、これらの人々の69%が少なくとも1種類のサプリメント
 を使用しており、22%が1日に3種類以上使用すると報告しています。』

これらの製品は、健康食品店やオンラインでの購入が一般的でしょう。
過去20年間で、AASの不正使用に関連した肝障害の発生率が大幅に増加したことが報告されています。

AASを含む急激な筋肥大を目的としたサプリメントは、
重度の胆汁性肝炎を含む肝障害を引き起こす可能性があり、
その解決には数ヶ月かかることがあります。

さらに、
エネルギーを強化し、パフォーマンスを高め、体重減少を促進するために摂取される様々な多成分のサプリメントは、潜在的に深刻な、あるいは致命的な肝臓障害につながる可能性があります。

筋肥大を目的としないサプリメントの肝障害

肝毒性に関連する、筋肥大を目的としないサプリメントで
最も頻繁に使用されるものには、
緑茶エキスや、植物と他の化合物の両方を含む複数の成分を含むサプリメントがあります。

緑茶エキス(GTE)は、
中国茶の木であるCamellia sinensisの未発酵の葉から抽出されます。

GTEの有効成分の一つはエピガロカテキンガレートです。
これはカテキンの一種で、お茶やカカオ製品、特定のベリー類に多く含まれる化合物です。

脂肪の原因となる脂肪生成酵素を阻害することでダイエット効果を発揮すると言われています。

これらの製品は、植物などの「自然由来」であるため、
一般的には従来の薬よりも安全だと思われがちですが、
必ずしもそうとは言えないと指摘されています。

様々な動物実験で、GTEの肝毒性(死に至る可能性もある)の可能性が示されています。

極端なレベルのGTEは、マウスのアミノトランスフェラーゼ(酵素)の上昇を招き、生存率を著しく低下させたとの研究報告があります。

さらに、
GTEを含む減量剤Slimquickを服用した6人の患者が肝細胞障害を起こし、
6人のうち4人は重度の黄疸にもなったという研究結果を報告しています。
このグループから3人の患者が入院し、1人は肝移植を余儀なくされました。

ハイドロキシカット肝障害

エフェドラを含むHydroxycutに起因する肝毒性が最初に報告されたのは、
サプリメントを摂取した後に重度の肝炎を発症した米国内の12名の患者さんでした。
患者の75%は女性で、平均年齢は38歳でした。

Reference 

University of Michigan


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