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むずかしい平凡 自句自解 第一章「むずかしい平凡」

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拙句集「むずかしい平凡」の自解を行っています。もしよければ俳句を楽しみつつ、お付き合いください。
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#金子兜太

46 鎖をなして星潤むなり多喜二の忌

 句集「むずかしい平凡」自解その46。

 多喜二とはプロレタリア文学作家小林多喜二のこと。亡くなったのは1933年2月20日。

 貧しい家庭に生まれ、しかしその中でよく学び、優秀な成績で学校を卒業した。けれども、あまりにもひどい資本主義体制により、貧しい人たちが人間性を奪われて日々を暮らしているのを目の当たりにし、共産党に入党。非合法活動をしながら、社会を告発する作品を書き、当然、特高警察に追

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39 雪つむ木々書体も文体も肉体

39 雪つむ木々書体も文体も肉体

 句集「むずかしい平凡」自解その39。

 雪が降っている。

 木々に雪が降り積もっている。

 それを見ながら、書体とか、文体とか、そういう文字とか言葉に関するスタイルというものが、いかにその人間のもつ肉体と深くかかわっているか。

 そんなことを考えている。

 と、読んでもらえれば作者としてはうれしいわけですが。

 木々に雪が降り積もっているのを見て、書体とか文体とか、そんなことを考えて

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