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『スラムダンク・ザ・ファースト』レビューと見どころ紹介!〜これは1つの文学作品だ〜

まず結論から申すとこの作品は絶対観るべきだ。
私はスラムダンクは幼少のときから大ファンだ!
そのスラムダンクが20年以上の時を経て帰ってきたとあれば観るしかない!
という背景はありつつも、一部では微妙や面白くないといった声も鑑賞前から聞いていた。
しかし、スラムダンクファンの熱気は凄かったし、絶対観るべきという声も大きかったので、鑑賞してみた。私も1スラムダンクファンとして絶対観るべきとおすすめしたい。

しかし、見どころはそこだけではない。
鑑賞してなぜ賛否両論なのかわかった。
それはこの作品に散りばめられる技法や構文、ストーリー構成は文学そのものであり、『スラムダンク』連載時の井上雄彦ではなく、『バガボンド』『リアル』の作者の井上雄彦によって制作されているからだ。
『スラムダンク』という国民的人気漫画をベースに、『リアル』や『バガボンド』の思想や人物描写といった文学的な要素を入れるので慣れない人がみると混乱するのだろう。

これはマーティン・スコセッシ監督のマーベル問題に起因するもので、映画とは何かという点でマーベルは映画という芸術のジャンルの定義では映画ではないという主張である。

しかし、現代では日本のツイッターに登場以降の文脈読めない論争に近しい。

この点で、『スラムダンク・ザ・ファースト』は賛否の否の声が挙がったと推測する。
まあそもそも昔馴染みのスラムダンクのイメージがあると思うのでその期待と外れたというガッカリもあるのかもしれない。

中国文学には西遊記の物語を沙悟浄の視点で構成する『悟浄出立』という作品がある。

この文学体系がわかると非常にチャレンジングで野心的であり、マスエンタメ作品を芸術にしようと試みたアーティスト井上雄彦の側面が見えてくる。

これから見る人、あるいはもう一度見る人は文学としてこの作品を意識してみてほしい。
きっと違う世界が見えてくるはずだ。


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