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今日の戯言

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ふと思いをよぎることを、メモのように気楽に書いています。
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#物語

ステートメント草稿

ステートメント草稿

「置き去りにされた鏡」

 今朝、鏡の前に立っていた。
「幕間」と「鏡」この二つのタイトルの間を行ったり来たりの日々が続き、私はほうっと息を吐く。
鏡の表面は少し曇り、寝ぼけた老女の顔が映っている。その背後には緑の引き出しと、描きかけの絵に洗濯物。
手にしたスマートフォンで反転した自分を撮影する。

 インスタレーションの作品から「picture」にスピンオフしてしばらく経つ。私は物語や記憶の

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「鏡に息を」

「鏡に息を」

「幕間」と「鏡」この二つの間で制作がとどこっている。

「幕間」は一昨年前から昨年にかけて、”picture”つまり私にとっての制作媒体である絵、写真、動画、それらを全て指し示す言葉の中に現れた空間だった。インスタレーションの作品からスピンオフしてしばらく経つ。私は物語や記憶の発生装置として、インスタレーションの構造を作っていたから、 記憶の瘡蓋を剥がし続け、物語=ナラティブの闘争が重苦しくのしか

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くるみ割り人形を巡る・その二

くるみ割り人形を巡る・その二

 その一の続き

 検索をしていると、「くるみ割り人形」の作曲にあたり、チャイコフスキーが行った音楽の調と色の関係について詳しく書かれた文献があった。

 バレエ音楽では、対立する物語の場面で調を補色関係、すなわち対角線に対立する場面の調を置くことで、物語る技法を作曲家は使っていたという。チャイコフスキーは、それをアドルフ・アダンの「ジゼル」から学び「白鳥の湖」のように対比で紡がれた作品では、顕著

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