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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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#連載長編小説

「月の砂漠のかぐや姫」登場人物等紹介

「月の砂漠のかぐや姫」登場人物等紹介

「月の砂漠のかぐや姫」は、今でない時、ここでない場所、人と精霊の距離がいまよりももっと近かった頃の物語です。「月から来たもの」が自らの始祖であると信じる遊牧民族「月の民」の少年少女が、ゴビと呼ばれる荒れ地を舞台に、一生懸命に頑張ります。
 物語世界の下敷きとなっている時代や場所はあります。時代で言えば遊牧民族が活躍していた紀元前3世紀ごろ、場所で言えば中国の内陸部、現在では河西回廊と呼ばれる祁連(

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月の砂漠のかぐや姫 第182話

月の砂漠のかぐや姫 第182話

「ハァ、どこか、どこかに隙はないか・・・・・・。ハァ、ハァ」
 冒頓ほどの強者であっても、視界が狭くなるということがあるのでしょうか。母を待つ少女の奇岩の隙を探す、そのことに意識を集中していた彼の体の動きが僅かに鈍ったのを、母を待つ少女の奇岩は見逃しませんでした。
 パシィイン・・・・・・。
 母を待つ少女の奇岩の左腕が下から上へ跳ねあがり、冒頓が握っていた短剣を上空へ跳ね飛ばしました。
 短剣は

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月の砂漠のかぐや姫 第159話

月の砂漠のかぐや姫 第159話

「マエ・・・・・・ダ。アイツラ、ノ、マエニマワリ、コメッ」
 それは、母を待つ少女の奇岩がサバクオオカミの奇岩に対して発した指示でした。その声が出たとたんに、サバクオオカミの奇岩は、ザッと進む向きを左手に変えました。これまでのように一直線に騎馬隊の方へ向かうのではなく、その前へ回り込むように走る方向を変えたのでした。

「くそっ。やっぱり、あいつらの中でも、あの奇岩だけは違うなっ」
 騎馬隊の先頭

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月の砂漠のかぐや姫 第151話

月の砂漠のかぐや姫 第151話

 現実的に考えれば、このような緊急の時ですから、冒頓が羽磋の愛馬を誰かにあてがったとしても、それがそのまま、彼が羽磋の死を認めたということにはならないでしょう。たとえ羽磋がこの場にいたとしても、自分が怪我をして馬に乗れないような場合には、他の誰かに愛馬を託したことでしょうから。
 でも、冒頓には、苑の言葉が自分の考えを、端的に言えば、羽磋が生きていると思うか死んでいると思うかを、遠回しに聞いてきて

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月の砂漠のかぐや姫 第143話

月の砂漠のかぐや姫 第143話

 冒頓たちが集まっていたのは広場の真ん中に当たるところでした。ここであれば、落石にあった岩壁からは離れていますし、反対側の崖下に落ちる心配も要りません。また、踏独が立てた見張りのお陰で、岩陰からの不意打ちの警戒もできています。もう夜のとばりも落ちてきていることですし、冒頓はこの場所を野営の場所と決めて、その準備をするのと同時に、隊の被害の状況の確認や怪我をした者への治療などを行うつもりでした。
 

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