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映画「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」を観て

9月14日、「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」という映画を観た。2023年のアメリカ映画で、原題は「The Holdovers」。アレクサンダー・ペイン監督の作品だ。

キャストは、ポール・ハナム役のポール・ジアマッティ、アンガス・タリードミニク・セッサ、メアリー・ラム役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフなどである。

1970年12月のクリスマスシーズン、寄宿制のバートン校でも、この時期はみな学校から離れて家族と過ごすのが大半だが、家庭の事情により学校で過ごさねばならない生徒も数名いた。偏屈で嫌われ者の古代史の教師・ハナムは、学校に多額の献金をした議員の息子を落第させた罰として、元教え子でもある校長に居残り役を命じられる。またベトナム戦争で愛する息子を亡くしたばかりの料理長のメアリーも、息子の母校である学校にいたいという思いもあって残ることとなる。そしていつも憎まれ口を叩いて友達のいないアンガスは、休暇中に母親とセント・キッツ島へ行く予定だったが、母親が再婚した夫と急に新婚旅行に行くことが決定し、運悪く学校に残ることになってしまう。
休暇シーズンにも関わらず、教師のハナムは残った生徒たちに勉学と運動と規則正しい生活を課す。文句を垂れながら渋々従う生徒たち。そんな中、居残り組の一人・スミスの父親がヘリコプターでバートン校を訪れ、生徒たちをスキー旅行に連れていくことに。バートン校から逃れることができて喜ぶ生徒たちだが、アンガスの母親だけ連絡がつかず、アンガスのみ学校に残ることになってしまう。こうして、教師ハナム、生徒アンガス、料理長メアリーの奇妙な共同生活が始まる。
アンガスは監獄のような生活から抜け出したい一心で、学校の電話からホテルを予約しようとするが、ハナムに見つかり計画は頓挫する。アンガスはハナムの制止を無視して校内を走り回る。ハナムがアンガスを追いかけるものの、若者の体力にはついていけず息も絶え絶え。そしてアンガスは入館禁止の体育館に入ろうとする。ハナムが止めるが、調子に乗ったアンガスはニヤリと笑い、勢いよく館内へと走り出す。そのままジャンプ台を使って大ジャンプし、マットに沈むアンガス。呆れるハナムだったが、アンガスの悲鳴が響き渡り、慌てて駆け寄る。アンガスは肩を脱臼してしまっていた。ハナムは病院に連れて行き、アンガスは治療してもらう。生徒の安全と健康管理を任されていたハナムは「これでクビだ」と嘆くが、アンガスの機転によって保険の適用を回避され、監督不行届の露呈は防がれる。
そしてやってきたクリスマスイヴの日。学校の事務職員であるミス・クレインにクリスマスパーティーに誘われた3人は、ブラウニーを持参してクレインの家へと赴く。そこでハナムはクレインといい雰囲気になるが、クレインのボーイフレンドが現れて淡い夢は消え失せる。一方アンガスはクレインの姪といい雰囲気になり、そのままキスをする。音楽係を買って出たメアリーは、学校の掃除夫ダニーにクリスマスプレゼントをもらって喜ぶが、亡くした息子のことを思い出して感情が溢れ、泣き出してしまう。情緒の乱れたメアリーをそのままにしてにしておくわけにもいかず、ハナムとアンガスはメアリーを学校まで連れ帰る。クレインの姪と楽しい時間を過ごしていたアンガスは、「メアリーを送り届けたら戻ろう」と訴えるが、結局聞き入れてもらえなかった。
明けてクリスマスの夜。食堂のテーブルには、メアリー手作りの家庭的な料理が並んでいた。ハナム、アンガス、メアリーの三人で食卓を囲む姿は、まさに家族のようだった。「こんな家庭的なクリスマスは初めてだ」と喜ぶアンガス。ハナムが2人にクリスマスプレゼントを渡し、やりたいことがあったらなんでも言うよう伝えると、アンガスが「ボストンに行きたい」と告げる。学外への外出は禁じられているためハナムは断るが、メアリーに説得され、仕方なく「社会授業」ということでボストン行きを許すハナム。
翌朝、ハナムの運転でボストンへ向かう三人。メアリーは妊娠中の妹の家にお邪魔することになり、車を降りる。二人になったハナムとアンガスは、美術館、古本市、ボウリングとボストンをめぐる。そして映画を観ていた時、アンガスがトイレに行くフリをして劇場を抜け出し、タクシーに乗ろうとする。ギリギリのところでアンガスを捕まえたハナムは、「これが狙いだったのか!」と激昂するが、アンガスが父親に会おうとしての行動だったことを知り、気を鎮める。そしてたどり着いたのはとある施設だった。アンガスは父親に面会し、学校でのことを嬉々として話すが、父親は「食べ物に何か入れられている」とアンガスに返す。ショックを受けて施設から出るアンガス。アンガスはハナムに、実は父親が4年前からおかしくなってしまい、母と離婚して施設送りになったことを打ち明ける。いずれ自分もそうなるのではないかと不安を吐露するアンガスに対し、ハナムは「君の過去が人生の方向を決めたりしない」「父親と君は違う」と否定し、このことは2人だけの秘密だとして絆を深めるのだった。
年が明けて1971年。2週間のハナム、アンガス、メアリーの共同生活が終わり、他の教師や生徒たちが戻ってくる。バートン校の学校生活が再開するや否や、校長に呼び出されるハナム。校長室に向かうと、そこにはアンガスの母親と継父の姿があった。二人はクリスマス休暇中にアンガスがボストンの実の父親に会いに行ったことを知り怒っていた。アンガスの父親がアンガスに会ったことで、また家族と一緒に暮らしたいという気持ちが昂まり、施設の職員に暴力を振ったため、アンガスの母親はようやく見つけた施設から別の施設に移らないといけないと怒る。アンガスの両親はアンガスの性根を叩き直すためにバートン校を退学させ、陸軍学校に転校させようとする。しかしハナムは反対し、"嘘をつかない"というバートン校の掟を破って「自分が会いにいくことを勧めたんだ」とアンガスの両親に伝える。結果的にアンガスの転校は取りやめとなるが、ハナムは責任を取ってバートン校を退職させられることとなる。
アンガスはハナムに転校しなくて済んだことを告げる。ハナムはアンガスに「君は大丈夫だ」と励まし、固く握手を交わす二人。そしてハナムは自分の全てだったバートン校を去り、新しい人生を始めるのだった。

出典:Wikipedia

といった内容。

で、観終わっての感想。

教員のハナムと生徒のアンガスの間にできた友情

クリスマスシーズンにどこも出かけることもできない生徒”アンガス”。
そしてその彼を、学校命令で見守ることになった”ハナム”。
言ってみれば、混じることのない2人。それぞれの立場だけの関係で終わるはずだった。
ところが、他の生徒たちが皆いなくなってから、アンガスの鬱憤はたまり、その場から逃げようとする。
立場が見守りのハナムからすれば、そんなことをされたら首になる可能性さえある。だから、2人の間はいわゆる対立関係になることは必至である。
ところが、アンガスが怪我をしたあたりから、少しずつ2人の関係が変わりだす。そして持ちつ持たれつの関係から、お互いを知るようになりそこに友情が芽生え始めるのだ。

アンガスは一つ大人になり、ハナムは一つの呪縛から逃れる

映画の結末は、アンガスが転校を逃れ、ハナムはバートン校を去ることになる。
アンガスは、ハナムの行動をみて一つ大人になり、
そしてハナムは、ある意味アンガスのおかげで、一つの呪縛が解け、バートン校を去る選択肢を選ぶことになる。
たった2週間の出来事であったが、大きく人生を変えることとなるのである。

人は皆それぞれ、悲しみを抱えている

この映画には、他にもバートン校の料理長のメアリーが出てくる。
彼女は一人息子をベトナム戦争で亡くし、悲しみに明け暮れていた。
このメアリーも含め、主人公たちは何らかの悲しみを抱えて生きている。
生きていると誰もが、何かしら心には悲しみを抱えていたりする。
人生は人それぞれだが、そのような人々が集まって毎日が過ぎ去る。
そんなものだったりする。

時代背景が興味深い

そう、この時代は1970年。
アメリカは、ベトナム戦争真っただ中にある時代である。
また、ボストンでのボーリングのシーンも明らかに現在のものとは違うボールの大きさである。
また、アンガスの実父が精神病院に入っており、アメリカの精神医療がテーマの映画が多かった時代でもある。

そう考えると、今のようにネットも何もなかった時代背景だからこその、ストーリーなのかもしれない。

では、この2024年の方が人は幸せなのだろうか。
ボクには、まだ1970年の方社会的な発展はないが、ある意味”人として”生きる幸せを、今より感じたりしてしまうのである。

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