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サービスのビジョンをUXデザインに落としこむプロセスを分解してみた:CREEDOの場合

こんにちは!株式会社ブルーブレイズでサービスデザインを担当しているれん(@rrren1005)です。

CREEDO(クリード)というサービスを3月16日に正式リリースし、1ヶ月が経ちました!今回は、私たちがサービスをつくっていくにあたってどのような流れで方針を定め、それをどうUXデザインに落としこんだのかについて紹介します。

CREEDOとは?

CREEDOを知らない方もいると思うので、まずはかんたんに紹介させてください。

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CREEDOは、社会人でもOB訪問できるキャリアシェアサービスです。キャリア選択の参考になるリアルな情報を経験者から聞いたり、自分のキャリア経験談をほかの誰かに話したり。百人百様の経験をオープンにすることで、納得のキャリア選択をサポートします。

サービスサイト

サービスのビジョンをデザインに落としこんだプロセス

サービスのビジョン(サービスを通して実現したいこと)とUXデザインの方向性を合わせることは不可欠です。ビジョンから細部のデザインまでが一続きになるようにワンステップずつ分解していく必要があります。

CREEDOの場合は、会社のミッションからサービスのビジョンに落としこみ、こんな流れで個々のUXデザインまでブレイクダウンしていきました。

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具体的にどのように考えたのかを紹介します。

①[会社のミッション]→[サービスを通じて実現したいこと]へのブレイクダウン
CREEDOを運営している弊社、ブルーブレイズのミッションは「世界に100億の志を」です。

「すべての人が志を持って生きられる世界」を実現したい。しかし、志を持って生きたくても、自分の歩みたいキャリアを選択できず自己実現する場がなければ、その炎はやがて消えてしまいます。

そこで、CREEDOというサービスを通じて実現したいことは
「ひとりひとりが納得のキャリアを歩み、自己実現できている状態」
と定めました。

転職や起業といったキャリア選択において自分の進みたい道があっても、先が見えず一歩踏み出せない。現状では、そんな悩みを抱えている人が多いのではないかという課題意識がありました。「その道に進むには何から始めれば良いのか」「どんなギャップや苦労があるのか」といった、リアルな情報を得ることができるプラットフォームはまだ多くありません。経験者にリアルな情報を聞く手段として、学生なら「OB訪問」がありますが、社会人にはその習慣が定着していません。

キャリアの選択肢が多様になる社会人こそ「OB訪問」が必要なのではないか?ひとりひとり違う固有のキャリアを共有して役立て合う「キャリアシェア」文化を定着させたい。そんな思いから、CREEDOのコンセプトを「社会人でもOB訪問できるキャリアシェアサービス」にしました。

②[サービスを通じて実現したいこと]→[UXデザインの方針]へのブレイクダウン

次に、サービスを通じて実現したいことをUXデザインの方針にブレイクダウンしていきます。

CREEDOを通じて実現したいことは
「ひとりひとりが納得のキャリアを歩み、自己実現できている状態」
です。

CREEDOはOB訪問サービスなので、
・OBOGとなる話し手
・話し手のキャリア経験を参考にする聞き手
の二者に分けてUXの方針を定めることにしました。

まず、話し手について。
自分のキャリア経験談を話すという体験は、自分のキャリアに強い自信をつけることができる機会だと私たちは捉えました。これは、このサービスを始める前から運営していたキャリアインタビューメディアからの気付きです。インタビューさせていただいた方は、口を揃えて「取材されることで自分のキャリアに自信を持てた」とおっしゃっていました。その自信は、キャリアを通じて自己実現をしていく上での原動力になります。そこでUXの方針は、「自分のキャリアについて話すことで自信につながり、自己実現に前向きになれる体験」
を提供することと定めました。

次に聞き手について。
こちらはシンプルに、OB訪問サービスの使命として
「自分が気になるピンポイントなキャリア経験がちゃんと見つかり、キャリア選択のヒントが得られる体験」
を提供しようと考えました。

この2つをUXデザインの方針とし、個々のUXデザインを設計していきます。ここまでの流れをまとめるとこんな感じです。

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③[UXデザインの方針]→[個々のUXデザイン]へのブレイクダウン
UXデザインの方針を踏まえて、具体的にはこんな体験に落としこみました。

話し手となるユーザーさん対象の体験

・経験談の内容をかんたんに決められる
そもそも「キャリア経験談を話す」と言われても、慣れていないと何を話せばいいかわからないですよね。(作り手ながら私もわからなかったです...笑)「他の人の参考になるほど価値のある経験をしていないし...」と考え込んでしまう人もいるのではないかと思います。

内容を考えるハードルを下げるために作ったのが、経験談タイトルをおすすめする機能です。以下のようにタイトルの入力エリアを選択すると、経歴に基づいたおすすめタイトルが出てきます。

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・お互いのキャリアを承認し合える
ひとりひとりのキャリアには固有の価値があると私たちは信じています。でも、「自分のキャリアに自信がある!」という人は多くないのではないでしょうか。

「ひとりひとりが納得のキャリアを歩み、自己実現できている状態」にをかなえるためには、お互いのキャリアを承認し合う文化が必要だと思いました。そのため、ただの経験談ブックマーク機能としてだけでなく、キャリアにハートを送り合うという意味合いを持たせて「気になる」機能を設けました。

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CREEDOでは「気になる」機能を先行リリースしています。その経緯はこちらのnoteにまとめています。

・あえて無くしたもの
「キャリア経験談を話すことで他の人の役に立てた」という実感を得てもらいたいため、聞き手からのレビュー(感想)は必要だと考えていました。しかし、レビューは通常、★のレーティングが付いているサービスが多い印象ですが、CREEDOではあえてつけていません。

自分のキャリアに自信を持ってもらえるようにするためには、話のテクニックや経験談の価値を数的評価される場であるべきではないと考えたからです。経験談を聞いた感想や感謝を贈る機能として「レビュー」を位置付けました。

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聞き手となるユーザーさん対象の体験

・気になるテーマだけをピンポイントに聞ける
多くのOB訪問サービスは、学生が話を聞きたいOBOGを選ぶ際に会社名や職種をメイン情報として提供し、話すテーマは自由という形にしています。学生向けであれば、ある程度テーマが絞られるのでまったく問題ないと思うのですが、CREEDOは社会人向けOB訪問サービスゆえに、話す側も聞く側もキャリア経歴や興味のあるテーマは百人百様です。「大手とスタートアップの違い」や「未経験で人事にキャリアチェンジする方法」といったピンポイントなテーマが聞けるかどうかは、会社名や職種だけでは判断が難しいと思いました。

そのため、気になるテーマだけを探して聞ける「キャリア経験談」という切り口で聞くという設計にしました。このように、CREEDOでは話すテーマがメインで表示されます。

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自分にぴったりの経験談を探せる
先述の通り、キャリアのあり方は百人百様。キャリア経験談を話す人と聞きたい人にうまくマッチしてもらうことに課題がありました。

そこで、ハッシュタグを共通言語にすることにしました。話し手は、経験談登録の際にハッシュタグを設定できるように。聞き手は、検索画面で業種や職種、興味分野で気になるハッシュタグを選んで探せるようにしました。

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・自分の知らなかったキャリアに出会える
CREEDOのキャリアインタビューメディアで取材をたくさんしていく中で気づいたのが、偶然の出会いでキャリアの転機が訪れたというお話が多かったこと。

そこで提供しようと考えたのが、「経験談のピックアップ」です。そもそも、今の状態にモヤモヤしていたとしても、今後自分の進みたいキャリアが明確になっているとは限りません。そのため、検索だけではなく「偶然の出会い」も大切だと思いました。

ピックアップを見てもらうことで「あ、このキャリアは知らなかったけど聞いてみたい」という出会いを提供したいと考えました。

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デザインへの落としこみの全ステップをまとめるとこんな感じです。

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1ヶ月運営して見えてきたこと

1ヶ月運営してユーザーインタビューも実施させていただき、様々なことが分かってきました。

・ライティングに気を使ったつもりが裏目にでていた
経験談詳細ページにある、申し込みをするためのボタン。もともとボタン内の文言は「この経験談を聞く」にしていました。「申し込む」だと事務的で、人と人とがコミュニケーションしている空気感が薄れるのではと懸念していたからです。

事前登録の時点で約600名の方が登録してくださっていたので、「リリースしたら結構申し込みがあるかも?」とワクワクしていました。しかしそんな期待とは裏腹に、リリースして3日、申し込みはまったく入らず。

これはまずいと思い、何人かのユーザーさんにインタビューしたところ、
「【この経験談を聞く】だとボタンを押した後に何が起きるのか分からないから、不安で押していない」というご意見をいただきました。急遽、文言を【申し込み画面へ】に変更。押すと何が起こるのかをストレートに言い表すことにしました。

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そうすると、少しずつ申し込みが増え、今ではさまざまな経験談に申し込みがある状態になりました。マイクロコピーの重要性に気づいた経験です。

・経験談の内容は、ピンポイントすぎてもざっくりしすぎていても申し込みづらい
リリース当初は、経験談は具体的なほうが良いのではないかと考え、「株式会社〇〇 商品企画のやりがい・厳しさ」や「株式会社〇〇 商品企画の給与・報酬体系」のようにいくつか経験談のタイトルをおすすめを出す設計にしていました。

しかし、あまりにもピンポイントだとそれ以外のことを知りたいユーザーさんは申し込みに躊躇してしまうという課題が浮かび上がってきました。たとえば「株式会社〇〇 商品企画の給与・報酬体系について話します!」という内容だと、社風や業務内容を知りたい方は申し込みしづらいということです。

そこで、「株式会社〇〇 商品企画について話します!」のように、経歴の内容をカバーするタイトルをおすすめする設計に変更しました。具体的に何が話せるのかも詳細にあらかじめ入力しておき、カスタマイズできるように。

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すでにご登録いただいたユニークな経験談はそのままに、より間口の広い経験談もたくさんご用意することで、「気になる経歴の人はいるけど、聞きたい内容とマッチしていなくて申し込みづらい...」そんなもったいない状況が解決できればと思います。

その他にも、トライアンドエラーを繰り返しながらこの1ヶ月で大小さまざまなカイゼンを実施しました。

まとめ

サービスのビジョンをUXデザインに落としこむ作業に苦戦している人も多いのではないでしょうか?CREEDOも、何回も戻っては進んでを繰り返して今の形になったので、なにかの参考になればと思い、書き記してみました。

このnoteを読んでもしCREEDOに興味を持ってくださったら、ぜひサービスサイトを覗いてみていただけると嬉しいです!

今後は、さらにユーザーさんの声や行動をもとに新しい機能のリリース、カイゼンを続けていき、より良い「キャリアシェア」体験を提供していきます。その先に、ひとりひとりがが自分の進みたいキャリアに一歩踏み出すことができ、志を持って生きられる社会が待っていたら嬉しいです。

ちなみに私は、CREEDOでこんな経験談を出しています。

CREEDOに興味がある方、ちょっとしたご質問やご意見も受け付けていますので、お気軽に申し込んでいただければ嬉しいです!


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