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The happiest girl in the world  自傷する少女 (レベンクロン   小説)

The happiest girl in the world 自傷する少女 (レベンクロン 小説)

※一部、暴力的・グロテスクな内容が含まれます※

The happiest girl in the world、
邦題は、『自傷する少女』。
著者のレベンクロン氏は、臨床心理学者で小説家。
アメリカのティーンエイジャーが主人公。

ぶっちゃけてしまうと、原題の何がthe happiest なのか、読んでみて、まだ完全には分かってない。

そもそもの、この書籍の話を書こうと思った根本的な理由としての

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よい子への道(おかべりか 児童書)

よい子への道(おかべりか 児童書)

小学生の頃、図書館で読んで大好きになった児童書。

ぶっちゃけ真似したら大変なことになる。
大人が真似したら、ものによってはきっと捕まる。

面白すぎて年下の親戚の子にもプレゼントした。

Amazonの商品ページに数ページ程、本編が載っているが、癖が強くてセンスが最高である。

よい子になれるかは置いといて、読んだらきっと良い気分になれる。

大人も読んでみてほしい。
そして、決して真似はしない

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美男子と煙草(太宰治 短編小説)

(↑全編はこちら)

独りで何かと戦って、どうにも悲しくなったときにとてもよい、短編小説。たぶん十数分あれば読める。

主人公「私」は太宰治、著者本人。

そんなとき、雑誌社の若い記者が「上野の浮浪者と太宰が一緒に写っている写真を撮りたい」と妙な話を持ちかけたので、太宰は記者と共に上野へ向かった。

太宰は上野の地下道で、10歳前後の浮浪児達が煙草を吸っているのを見かけ、哀れみを感じ、咄嗟に焼鳥を

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女生徒(太宰治 短編小説)

女生徒(太宰治 短編小説)

(↑全編はこちら)

おそらく今までで読んだことがある短編小説の中で、一番好きだと思う。

時代背景は昭和の第二次世界大戦中、14歳の眼鏡をかけた女生徒「私」の一日を描いた短編小説。
別に何か大きな起承転結があるわけじゃない。

この小説の面白いところは、14歳の少女の多感な感性を、30歳頃の太宰治が描いている点。

人の思考ってその人のフィルターを通して送受信されると個人的に思ってるんだけど、1

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甘い蜜の部屋(森茉莉  小説)

甘い蜜の部屋(森茉莉 小説)

小説家・森茉莉の長編小説。
耽美的小説やエッセイで知られる彼女の傑作。

内容(「BOOK」データベースより)

少女モイラは美しい悪魔だ。生まれ持った天使の美貌、無意識の媚態、皮膚から放つ香気。薔薇の蜜で男達を次々と溺れ死なせながら、彼女自身は無垢な子供であり続ける。この恐るべき可憐なけものが棲むのは、父親と二人の濃密な愛の部屋だ―。大正時代を背景に、宝石のような言葉で紡がれたロマネスク。

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ロリータ(ナボコフ  小説)

ロリータ(ナボコフ 小説)

※センシティブな主題を取り扱いますが、
全ての性加害問題について反対です※

ロリコンの語源になった小説。
リンクは2005年新訳版、元々は英語で書かれていて、昭和から平成にかけて和訳されている。時代によって少女ロリータの若者言葉の口調の訳が違うのが興味深い。

↓すごく大まかなネタバレ避けまくったあらすじ

 主人公のハンバート(中年男性)は、幼くして亡くなった初恋の人にそっくりな少女ロリータに

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我を愛する歌(石川啄木『一握の砂』より 短歌)

我を愛する歌(石川啄木『一握の砂』より 短歌)

石川啄木の歌集『一握の砂』の一番最初のトピック、その名も  我を愛する歌。

初めてこのタイトル見たとき、何故かぞくっときた。自分の内面世界などを詠むにあたり、我を愛するって言えちゃうところが。この、ぞくっ の正体は 多分羨望なんだけど。

そのなかでも特に好きな数種を感想と共にご紹介。

一度でも我に頭を下げさせし
人みな死ねと
いのりてしこと

(現代語訳)
俺に一度でも頭を下げさせた奴   

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