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わたしが惹かれたひとりの男についてⅱ
今日も沸き上がるような熱は冷めることなく、
また、胸を焦がすような愛情も薄れることなく、
わたしは彼を希求し、
彼のすべてを教えてほしいと夜毎思いながら、
円やかな明け方に眠りにつく。
そんな退廃的でせつなく静かな毎日がこれからも続いていくのだと思うと、
絶望とともに安堵もしてしまう。
彼と出逢ってから、
わたしが彼と出逢えなかったら、
生涯見ることの叶わない多くの景色を、
見ることができました
わたしが惹かれたひとりの男について
まだ、まっさらで幼かった頃、
わたしが心惹かれた男は、
浮世に溢れたうつくしいものたちのひとつひとつを丁寧に摘み上げ、
もぎたての果実のような新鮮さと、
付着物の細々を濾したような高潔さと、
そのどちらにも共通する純な清潔感を持ちあわせ、
また、先天性(生まれつきの才能)と、後天性(後付けの努力)、
その両方からくる、極上の純粋さ、可憐さ、華やかさ、翳り、繊細さ、強さ、嫋やかさ、しなやかさ、柔らか