苺潰しのプレザーブジャム

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𝑪𝒐𝒐𝒍 𝒘𝒊𝒕𝒉 𝒚𝒐𝒖

11月5日午前0時。わりと泣けなかった。わりと私は今まででいられた。わりとふつうっぽくわりといつもの堕落した登校拒否児のようにいられた。涙は流れているようで流れているのはべとついたつめたい汗で、感情というものは敷き詰められた皮の重なりの一番下で窒息していたけれど、たしかに泣いていたし、全身に青い血が巡るように身体は燃え、冷めていた。泣いてしまいたいのにうまく涙も流せず、ただ模範的な笑みを浮かべるばかりで、時々、ショック…とワイドショーの街頭インタビューに出てくる都会の女のよう

    • STARDOM

      わたしが彼らを「アイドル」と認識して、 はじめて目にしたのは、彼らがデビューする直前に出演していた、 「CDTVスペシャル卒業音楽祭2018」だった。 まだ10歳だったわたしは、光の粒の集合体のような強大な眩しさに圧倒され、壊れかけのテレビの前に茫然とすくんでしまったのを鮮烈に憶えている。 彼らがジャニーズということくらいしか知識がなく、 6人がどんな人達なのかも全くの無知だったが、 瞬間的に心と頭を奪われ、その輝きにひどく困惑した。 デビュー前のはずなのに恐ろしいほどに完成

      • わたしが惹かれたひとりの男についてⅱ

        今日も沸き上がるような熱は冷めることなく、 また、胸を焦がすような愛情も薄れることなく、 わたしは彼を希求し、 彼のすべてを教えてほしいと夜毎思いながら、 円やかな明け方に眠りにつく。 そんな退廃的でせつなく静かな毎日がこれからも続いていくのだと思うと、 絶望とともに安堵もしてしまう。 彼と出逢ってから、 わたしが彼と出逢えなかったら、 生涯見ることの叶わない多くの景色を、 見ることができました。 そして、感じることのなかった色とりどりの気持を、 胸に抱くことができました。

        • わたしが惹かれたひとりの男について

          まだ、まっさらで幼かった頃、 わたしが心惹かれた男は、 浮世に溢れたうつくしいものたちのひとつひとつを丁寧に摘み上げ、 もぎたての果実のような新鮮さと、 付着物の細々を濾したような高潔さと、 そのどちらにも共通する純な清潔感を持ちあわせ、 また、先天性(生まれつきの才能)と、後天性(後付けの努力)、 その両方からくる、極上の純粋さ、可憐さ、華やかさ、翳り、繊細さ、強さ、嫋やかさ、しなやかさ、柔らかさ、硬質さ、器用さ、不器用さ、いじらしさ、脆弱さ、輝やかしさ、真摯さ、反骨心、高

        𝑪𝒐𝒐𝒍 𝒘𝒊𝒕𝒉 𝒚𝒐𝒖