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わたしが惹かれたひとりの男について

まだ、まっさらで幼かった頃、
わたしが心惹かれた男は、
浮世に溢れたうつくしいものたちのひとつひとつを丁寧に摘み上げ、
もぎたての果実のような新鮮さと、
付着物の細々を濾したような高潔さと、
そのどちらにも共通する純な清潔感を持ちあわせ、
また、先天性(生まれつきの才能)と、後天性(後付けの努力)、
その両方からくる、極上の純粋さ、可憐さ、華やかさ、翳り、繊細さ、強さ、嫋やかさ、しなやかさ、柔らかさ、硬質さ、器用さ、不器用さ、いじらしさ、脆弱さ、輝やかしさ、真摯さ、反骨心、高級感、親しみやすさ、人間らしさ、したたかさ、爽やかさ、甘美さ、妖艶さ、ずるさ、稀有さ、斬新さ、淑やかさ、謙虚さ、厳しさ、礼儀正しさ、美麗さ、寛大さ、やさしさ、賢さ、痛々しさ、そして、無数のきらめき・・・・・

私の乏しい語彙では表しきれないほどのうつくしさに、
揺るぎなく誰も真似することの出来ない「彼」だけのエッセンスを加え、
長い時間をかけて、丁寧に丁寧に煮詰めて出来上がった温かいジャムを、
割れやすい硝子のつめたい瓶に詰めたような不可解な人だった。

彼はその魅力の数々を、
決して自らひけらかすことなく、
息を呑むような完璧な顔面と雰囲気に内包し、
颯爽と滲み出るように香らせている。
その姿に人々は図らずも目も心もなにもかも奪われてしまう。

そう、彼は甘い香りのする花々のように、人々を惹きつけるのだが、
その強い香りの中心部をわたしたちが匂うことはきっと不可能なのだろう。
しかし、彼は人々を置き去りになどせず、
ひとりひとりに寄り添おうと試み、
彼の最大限の繊細さと理解力とやさしさで包み込み、
一緒に行こう、と声をかけたり、一緒に休んでくれたりする。
彼自身、やさしくしているつもりなどないのかもしれないが、
そのやさしさにわたしは何度も救われている。

飴と鞭というのとは違う気がするが、
彼はとにかく器用な人で厳しさとやさしさの操り方に非常に長けていて、
その落差というか、
万華鏡のようにめまぐるしく移ろいゆく彼の魅力に、
人々はさらに深く明るい闇へと墜ちてゆくのだろう。

わたしは彼の生涯の中で通りすがりの人、
いや、
すれ違うことさえも、
彼の視界に入ることすらも、
きっとないのだと思うが、
それでも、
彼をこれからも愛していきたいと思うし、
愛していけたらと、願う。

彼に狂わされても、
彼に惑わされても、
彼に苦しめられても、

彼に生涯を捧げて、

彼を、なぞり、求め、拝む、ことに、

触れたいし、触れたくない、

その矛盾したアンビバレントに、

わたしは最大の幸福を感じるのだから。

#平野紫耀
#アイドル
#わたしが惹かれた男について


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