見出し画像

身体感覚から考える~夏のなごりに

先日、帰郷しお墓参りにいってきました。今年の夏は、長雨でえらいこっちゃでしたが、いかがお過ごしでしたか?

うちの墓は、小山の中腹にありましてね。道中の土の匂いが、雨とあいまってすごく濃くなっていて、身体が嬉々としてる感覚に色々な記憶が廻りました。古巣、故郷ってそんな感じでしょうか。

記憶は、場に宿りますね。五感がそれらを呼び覚ますきっかけになる。

そうそう。目新しいところでは一年以上ぶりに、姪っ子に会いましてね。その別人っぷりに、思わず緊張してしまいました。その場だから立ち現れてくる、自分自身の別の顔と出逢ったりもする。ひとって変わりますね。変わっていくんですよ。

さて。このご時世にくっちゃねくっちゃね、なまぐさはなまぐさなりに、人の身体と心についての整体って何か、あれこれ思索しとるんですが。

与える(与えられる)という一方通行のものから、循環させる(している)ものの見方という風に、実感を伴って理解も変わってきています。

しかし、ここ2年あたりの覆面生活を鑑みるに、どのような状況下であっても、ひとは順応する能力が高いんやなあと、感心したりもする。

整うって、いいとかわるいとかじゃなくて(それでもいいんだろうけど)人それぞれありますね。人それぞれの適当なバランス、ですね。

稚拙ながら言うなれば、どんな環境下にあっても、佳いということは、やっぱり個々それぞれにあって、それぞれ違うんやろねえと思い至る。

それを日常生活の枠内で、精神(こころ)の問題としたり、人間の関係性の問題だとしてみたり、個性(身体)の問題だとしてみたり。あるいは、いのちって何だろうかと、宇宙的に思索を巡らしたりする。答えが出ても出なくても、ですね。

それを一般化しては、世間の常識だとか、そうでないとかやって過ごしている。専門家だの権威だのどこか誰かの、社会構造では自分の立場に都合よく機能しているだけの言葉を耳にしては、わかったような気になり、安心という程で思考停止していたり。わからないままの心地わるさを感覚しないように、観ざる言わざる聞かざるなんてお澄ましでござるを決め込み、その実、怯えてたり。

つまりは、一番身近な自分自身の五感を誤魔化している。その誤魔化しが、方便となっていたりもする。そこまでくると、残念至極な感じがする。そういうのを、邪魔臭いと言うんじゃないか。

そんなこんなで結局、世間に流され、そういうもんだからねなんて過ごしていたりする。そのしょうがないの尺度の所在自体、あやふやなままに。

要は、誰の人生を生きているんでしょうかということです。

ぼくは、生活ということを、自立している個の身体感覚から見直して、そこを礎に表現し(素直に生き)たいと思う、ひとりのヒトです。

そうすると、それらの個々の意識や社会通念が成り立つ土台自体、疑いたくなる。一律であるわけがないんでね。ヒトは社会的動物でありながらも、社会ありきで個人が存在しているわけじゃないでしょう。ぼくは、そんなスタンスに居ます。

なんだかとっても狭量な感じがずっとしているわけです。随分とものわかりのよい、簡単に割り切れる顔が罷り通る空間にいるとムズムズする。これも、ぼくにとっては疑いようのない感覚です。

例えば、人口の9割が病院で生まれ、同じく9割が病院で息を引き取る、という社会現実がある。

そんなの当然でしょうとばかりに、世間の常識、あたりまえが前提での生活循環に、個々の身体の要求がどれだけ順応してきたか。一方で抑制され無視されてきたのか。考えたことありますか。

昔はよかったとか、明るい未来とか、隣の芝は青い、なんてもののつまらない比較に終始したり、正誤を判断するんじゃなくて、現在進行形の状況下、どううまく自分自身のバランスをとっていくか。そこに関心がある。今を生きてますからね。これこそ、しょうがないってことでしょう。

しょうがないって、覚悟しているってことなんですよ。

どんな世界に、現実に地に足つけていようが、中庸(うまくバランスのとれた状態)でありたい私(の身体)が、主人公です。生きているんだから常に揺らいでいて、個々違います。

そしてまた時は移ろいます。だからこそ、一期一会という現実とともに、勿体ないという感覚をおぼえる。

世間でお役目を果たす自分自身の前提として、今を生きている、ぼくら個々にとってのバランス感覚って、どのあたりになってくるかしらと思う。

そこを踏まえた上で、関係性という循環を観ていきたいんです。二度と同じは無いからね。

なんてことを、コンクリートで固められた渋谷の街に行き交う雑踏の片隅で、見向きもされず、また、土にも還れないで横になる蝉の亡骸をつまみ上げては、わが身との循環を想ったりします。

そろそろと、秋の気配に身を浸しつつ。


この記事が参加している募集

#自己紹介

230,124件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?