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『じゃがいも うえたら…』──わたしたちの隣にある世界

じゃがいも うえたら…』作/ユリ・リトケイ

じゃがいも植えたら……どうなると思いますか?
おいしいじゃがいもができるし、ジャガバターとか、カレーライスとか、ポテトチップスとか、おいしい料理がたくさんつくれます!
自然界ではどうでしょうか。じゃがいもが植えられるその場所に住んでいる生きものたちは? 驚くかも。見守るかも。ちょっと味見してみるかもしれません。
そんな、あるかもしれないひとときを描いた作品『じゃがいも うえたら…』の作者 ユリ・リトケイさんのコメントをご紹介します!


ユリ・リトケイ
イラストレーター、デザイナー。ヴァランドアカデミー・オブ・アートアンドデザインを児童文化デザイナーとして卒業。Chut, ça pousse…(邦題『じゃがいも うえたら…』)で、2023ボローニャ国際絵本原画展に入選。スウェーデン在住。

Instagram @juli_litkei
WEB SITE https://julilitkei.com/work 


Something's Growing On...──ユリ・リトケイ

「ことばのない子どもの本──児童文化デザイン専攻修士課程プロジェクト/2022年」

『じゃがいも うえたら…』では、子ども向けの絵本が、自然や、目に見えない小宇宙の複雑な美しさをどのように称え、際立たせることができるかを探求しています。
そしてこれは、わたしたち人間以外の世界に気づき、理解をうながし、それを通じて、現代の人間中心主義的な見方に対処していくための、デザイン主導のプロジェクトです。

この絵本『じゃがいも うえたら…』は、たくさんの生きものたちでにぎわうレジデンスで起こる「いつもとちがう出来事」を絵だけで描いた、ことばのない物語です。
この「いつもとちがう出来事」が、たまたま「ジャガイモの発芽」だったので、登場人物たち──さまざまな昆虫、小型哺乳類、ミミズなどの雑多な生きものたち──は、絵本のページを通して、このおなじみの作物の成長を見守り、祝っています。

この物語では、描かれた生きものたちの視点と自然界の本質を、つつましく、正しく、それでいて魅力的で親しみやすく表現することを目指しています。読者が、自ら考え、このすばらしくも複雑にからみあう世界に対し責任や慈しみを覚えるきっかけになってほしいと願っています。
この絵本で私が表現しようとしたことは、不変と変化、喜びと悲しみ、慈愛と残酷さ、成長と衰退です。

絵本は、Les Editions La Joie de Lireより出版予定です。(※2024.4刊行)

英語版表紙

地面の上にも地面の下にも空中にも、大小さまざまな生きものが住んでいて、それぞれの生活を送っている。誰もがするべきことをことをしながら、忙しい毎日を過ごしている。しかし、あるねむたい朝、「いつもとちがう出来事」が起こる……。「いつもとちがう出来事」とは何なのか、そしてその後、生きものたちはどうなるのか? 本のページをめくって、その秘密を探ろう。

日本語版『じゃがいも うえたら…』装丁

にぎやかな百科事典

絵本の巻末には、物語に登場する生きものたちの簡単な紹介があり、それぞれの主な特徴や習性を説明しています。読者に、生きものについて知ってもらい、絵本の内容をより深く楽しむのに役立ててもらいたいです。

天然の顔料

顔料は、木炭、コーヒー、紅茶、ほうれん草、ビーツの根、草、タマネギの皮、ターメリックなど、天然素材のみで作られたものを使用し、そのアナログのベースとデジタルの手法をミックスして絵を描いています。

画材
天然素材の顔料で描く色
文字、画像引用元 https://julilitkei.com/somethings-growing-on



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