いつか消滅するとしても EP.6
「――弘子が心療内科にかかるようになったのって、いつだっけ」
身体に合わないカーディガンを羽織った優は、袖から見せる小さな指でどんぶりを支えながら、食べている。顎についた米粒も気にせずに、僕の問いに視線を宙に浮かす。
「卒業して就職してからだった」
「何年前になる?」
「……さあ。弘子が手首の写真を送ってきたのが、俺が研究所に入所した年だったのは覚えている」
「……もう5年は経っているんだな」
「それよりも、多い時間を俺らは弘子とつきあっているんだよ」
だから、チャラだ