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【エッセイ】蛾か蝶か、蝶か蛾か。

 どっちに優位があるかなんて僕にはわからないし、どちらにも優位な部分があるとわかっていて、僕はMacが好きです。というか、いまはMac持ってなくて、iPad iPhoneを使っているだけ、なんですが。わりとiPadで充分な気すらしています。ぶらっとバッグに入れて、そのへんの居酒屋で書き物できるし(カフェと言えないところがなんとも僕らしい)
 一年ほど前、パソコンの購入を考えている人とあちらこちら見学に行ってたんですね。
 家電量販店で見かけたiPadMacは鮮やかで華やかで、そして自由に見えた。こんなこと言ったらWindows派の人はきっと気分を悪くされるでしょうから先に謝っておきます。ごめんなさい。でも、Windowsは僕にはコピー機やファックスのような、事務用品に見えてしまった。そのぶんきっと実用性が高いはずで、以前、失業時に通った職業訓練校の講師さんたちはMacを「実用性の低いおもちゃ」と嫌っていた。
 感覚と創造のMac。論理と実用のWindows
 MacWindowsの間に広がる溝は深く広く、おそらく橋はかからないのではないかとさえ思う。そしてその川を挟んだ両平野では、それぞれが優位性を訴え、対岸にて動く最先端への不理解を募らせ続けてしまうのだ。

 僕が最初にパソコンを使ったのが、専門学校でのMacだった。いわゆる、芸術性の高い学校だったので、校内のパソコンは多くがMacで、事務所で事務職にあたる職員のデスクにだけWindowsが置かれていた。僕はその学校でイラストレーターを使い、フォトショップを教わった。
 卒業後、僕は広告を制作する小さな会社に就職した。広告ポスターやチラシなどを制作している会社だった。DTPを使っている人もいたが、そこもやはりずらっとMacが並んでいた。不具合の発生を防ぐためということで、室内は恐ろしく冷えていたことを記憶している、真夏に外出すると、その気温に安心するほど冷やされていた。カーディガンどころか厚手のスウェットを羽織り、あたたかいお茶を飲んでいるスタッフもいるほどだった。女性陣は誰もがひざかけを使っていた。
 初めて購入したのもMacだった。長く使ったことを覚えている。そのMacで制作したポスターは何度も表彰を受け、表彰状の入った黒い筒がクローゼットに10本以上並んでいた。
 のち、Windowsのオフィスの資格も取っているので、使えなくはないと思う。けれど、なにせ相性が悪いらしく、長持ちしてくれなかった。

 電化製品を使うのは子供のときから苦手でした。ゲーム機の設定も誰かに頼んでしまうし、大人になってからは各家電の設置ができない。置くだけならできる。けれど、使えるようにならない。近年はもはや諦めの心境になり、冷蔵庫は冷えていればいい、洗濯機は洗濯してくれたらいい、エアコンは部屋が涼しくなればそれで充分。視聴予約や録画もやりたくない。サブスクなんて最初から見にも行かない。
……DAZNに加入していたんだけど、プロ野球のシーズンオフに退会してしまった。
 そんな人間なので、直感、感覚で操作できるiPadは本当にありがたかった。Windowsのような設定の必要がなく、iPhoneと同期すればすぐに動作し、キーボードで原稿は書ける、写真の編集はできる、アプリとペンを使ってイラストも描ける。他にも多くのことができるんだと知ってはいるけど、これ以上は求めない。これだけできればいい。あとはYouTubeでもなんでも、好きなものを観てればいい。
 そう思って、iPadを持ってでかける、太平洋の海岸。それから居酒屋。ファミレスの昼飲み。どこか、コーヒーの美味しい喫茶店(カフェではなくて喫茶店)があればいいのに。コーヒーの味なんてわかんないけど。甘くなくて、渋くて、苦ければいい。酸味だって欲しい。カフェなんて行かない。人が多いと騒々しいし、落ち着けない。人様がどうであれ、僕は甘いものを食べなくても済む人間なので、なるべく静かなところがいい。

 さてさて。
 どのあたりでこの備忘録を閉じようかと独り言が多くなってしまいまして。よく話す人だと思うでしょう。全然です。聞かれたら答えるけれど、自分から話すことなんてない。話したいこともない。支持政党も政治的思想もない。
 じゃあ、また、明日。

photograph and words by billy.

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