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バーテンダー社会学

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夜の飲食で働く人々の生態系と日常の社会生活のギャップを考察。そこから見えてくる様々な問題を考える。
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2020年5月の記事一覧

「バーテンダーは、ねずみ男である」

「バーテンダーは、ねずみ男である」

「早く人間になりたい」というセリフがあった。妖怪人間ベムだったか。
ある科学者が人造人間の研究に失敗した時、壺の中で奇跡的に産まれた生物とあった。
彼らは人間の心で産まれたが、その姿は妖怪だった。ムゴイ設定だ。だが、気持ちはわかる。僕も人間に憧れている一人だからだ。
この妖怪人間ベムを、マイルドにしたのがねずみ男ではないだろうか。
ゲゲゲの鬼太郎に登場する半妖怪だ。
姑息でお調子モンの上にお金が大

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「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

僕はニューヨークに行ったことがない。

だが、日本に居住しながらおよそ27年あまり、ニューヨーク時間を過ごしているのである。
断っておきたいが、これはドヤ自慢が言いたいわけではない。むしろその逆さまで、愚痴や泣き言に限りなく近い話である。

まず、僕のタイムスケジュールを聞いていただきたい。僕の仕事の就業時間は20:00〜05:00である。店の買い物や準備などを考慮すると、動き出すのは18時ごろ。

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「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

当たり前だが、酒は気のおけない仲間と屈託なく飲むのが一番楽しい。
「飲み仲間」という造語はいつ誕生したのかはわからないが、この関係の繋がりはまさに「飲む」に限定されているようだ。相手の仕事や立場も一切関係ないし、年齢も関係ない。大切なのは三つ。時間感覚、金銭感覚、ノリである。
この三種の感覚が飲み仲間の絶対条件であると常々僕は考えている。
時間感覚は、飲食における満足時間と言い換えてもいい。朝の早

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