形が心を変える
私たちが高級ブランドのスーツ、あるいは着物などで身を固めたとき、自然と「シャンとした、凛とした」自分がそこにいることに気付くはずだ。もちろん、私は高級ブランドのスーツなど一着も持ち合わせてはいないし、紋付袴などは結婚式以来無縁である。
しかし、私たちはいつでもどこでも「シャン、凛」することが可能である。
まずは、静坐である。
つまり正坐であり、または坐禅で行う結跏趺坐である。
(始めの頃、私は足の痛みから半跏趺坐、つまり片方の足だけを反対側に載せる形であったが、結跏趺坐、つまり両足を反対側に載せる形にチャレンジしてみると、意識を足の痛みから遠ざけるように工夫しているうちに全く苦痛ではなくなったのである。そして、半跏趺坐に比べ結跏趺坐のほうが「シャン、凛」効果が高いことに気付いた。)
安岡正篤曰く、(早朝、目が覚めると先ず冷水で頭を冷やし、眼を洗う)
『それから書斎に帰って、窓を開け放して、しばらく正坐をする。正坐の秘訣は脊柱を正しく、肩や肘を張らぬようにして、丹田を充実することです。』(安岡正篤「人間としての成長」PHP文庫)
佐藤一斎曰く、
『静坐の功は、気を定め神を凝らす。』(「言志後録」)
一斎先生がおっしゃられた。
「静かに坐ることで、気を落ちつけ、精神を集中することが出来るのです。」
静かな部屋で、静坐し深い呼吸を行っていると、「シャン、凛」とした感覚と同時に「坦らかにして蕩々たる」心境であることに気づきまっせと一斎先生。
しかし、静坐はいつでもどこでもという訳にはいかない。そこで次に森信三先生が全国各地で提唱された「立腰」(腰骨を立てる)の出番です!
森信三曰く、(中学生へ講演を行っている)
『弾力をもって跳ねあがっていくような人間にならなくてはだめだ。ではどうしたらそういう人間になれるだろうか。その秘訣はたった一つだけだ。それをここで教えておこう。それは「腰骨を立てる」ということだ。
(実演をしてくださる…壇上の講演机の上へ腰掛けを置いて、それへきちんと座られる)
「さあ、皆さんもいっしょにやってごらん」
「お尻をうしろへうんと突き出して」
「ここ(腰)をグッと前へ出す」
「そして下腹へちょっと力を入れると、肩の気張りがすっととれて、体の重心がおへその下におりる」
「これが人間として一番正しい姿勢なんだ」』(「真理は現実のただ中にあり」致知出版社)
仕事中や電車などでの移動中で、椅子に腰掛ける際は、この「立腰」である。「シャン、凛」効果、抜群である。
次に、静坐、椅子に座って「立腰」が出来ない場合、つまり立っている場合は、中村天風先生の「クンバハカ」である。
天風先生に師事し、天風会常任顧問の山田務名氏は次のように説明する。
『クンバハカは完全充実体勢の神聖な状態を意味します。そのポイントはまず肛門を締め同時に肩の力を抜き、下腹に気をこめるところにあり、肝腎な時には息をグッと止めるのです。』(月刊「致知」平成十六年十月号)
「クンバハカ」も「シャン、凛」効果、抜群です☺
形は心を変えてくれる。
だからこそ、古より武道や芸道では形を重んじてきたのである。
仏教では、「調身」「調息」「調心」の大切さを説く。つまり、身体の形を調え、呼吸を調えることで、心が調うのである。
道元禅師は弟子たちに次のように語っている。
『身儀をおさむれば、心地も随て整なり。』(「正法眼蔵随聞記」)
☆☆☆☆☆😊
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※ヘッダーのデジタル画は(第1回目の緊急事態宣言下で登園出来なかったため)幼稚園年長さんだった娘が僕の古いPCで遊んでいて描いたもの。ちびっ子画伯と呼んでいまして、このnoteのいろんなところに載せています。ちびっ子画伯展もよければどうぞ(^_-)-☆
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