【論文読了】リーダーのための成長論
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2023年9月号のテーマはリーダーのための成長論でした。
マネジメントをやっている方にとっては参考になることが多いと思います。キャリア的な話もあれば、意外なリーダーシップ論もあります。リーダーシップを学びたい方は是非読んでみてください。
それでは振り返ってみます。
リーダーが真のリーダーへと飛躍するために必要なこと
今月号の特集論文の1つ目は、CEOのようなトップになるのに必要な切り替えについての論文です。
管理職として活躍して順調に出世しCEOになった人が、意外にも何をすればいいか、どうすればいいかが解らないようです。実は経験やスキルではなく、マインドセットが重要なのだそうです。
いくつか必要なことが挙げられています。
目指すリーダー像を明確にする
意思決定力を身に付ける
配下のチームのパフォーマンス基準を定める
線引きの技術を習得する
自己認識を養う
パーソナルナラティブを作る
目指すリーダー像は私の場合はかなり固まっていると思います。意思決定力も経験を積めば高まります。
私の場合、できていないのは後ろ3つですね。線引きの技術に関しては欲をかいてあれもこれもになりやすいので、上手く絞りたいものです。
また自己認識とかキャリアの勉強を長年疎かにしていたので、今更勉強している有様です。自分の怒りのトリガーを把握し、ナラティブを作れるようにしたいものです。
自己成長を求めるリーダーは遥かなる旅路を歩み続ける
今日では英雄的な個人が先頭に立つ時代は過去のものになった…つまり俺について来いスタイルは時代遅れになったという話から始まります。
リーダーに最も必要とされるスキルはソフトスキルと呼ばれる対人スキルだそうです。おお、なんと私得!
さて専門性を磨いてキャリアを築いてきた人に、対人スキルを中心に据えたスタイルへと変われと言っても、無理難題です。
本稿ではスタイルの変革を出発、航海、帰還の3ステージに分けています。
出発は現状の上手く行っていないことに気付くことです。どうもメンバーとの関係が上手く行っていないなどです。
航海では新たに必要なことを学びます。
アウトサイド・イン・ラーニングのような直接采配を振るえない状況に身を置いたり(私は不安でできなそうですが、必要なことですね)、インサイド・アウト・ラーニングのような社外で自分に権限や評判がない状況で活動するなどを通して学ぶことができるようです。
最後の帰還は権限委譲に長けたリーダーシップスタイルを身に付け、なおかつ実感できたときのようです。
注意点として、対人スキルに関しては自分を過大評価するダニング・クルーガー効果が発生しやすいそうです。これは怖いですね。そういう意味でも自己認識とか相談相手が必要そうです。対人スキルは自己評価より他者評価がよさそうですね。
日常的な内省が大事とのことですが、これは毎日書くことでやっています。気付くとか考える習慣を付ける上で、日記もいいかもしれませんね。
優れたリーダーは相反するアプローチを巧みに使い分ける
優れたリーダーは、昔ながらの指揮命令型か、それとも最近のフォロワー・サーバント型かという話はあると思いますが、本稿によると相反する両者を使い分けているとのことです。
状況によってどちらのリーダーシップが適するかは違います。アイディアを出すときはみんなの意見を集め、決めるべきときやスピーディーに決断するときはトップダウンで進めるのが定石です。
続いての課題はどうやって切り替えるかです。リーダーがどちらの人なのかをメンバーは窺うでしょう。このタイミングで意見を自由に言う、このタイミングではリーダーがキッチリ決めて進めてくれると解ると、メンバーもやりやすそうですね。
私の場合、マネジメント歴は長くなりましたが、メンバー視点がよく解らないことに気付きました。また昔ながらの指揮命令型や俺について来いスタイルは苦手です。
本稿で言う儀式、つまりこの打ち合わせの時間になったらとか、リーダーがこういうセリフを言い出したら、こういうことをし出したらというものを決めればいいのかもしれません。
シグナルを送ることも必要です。そしてメンバーにとって解りやすいことも大事です。
自分の思い描くパーソナルブランドを構築する方法
今度はパーソナルブランドの確立方法です。最近は副業も増え、プロボノもあり、独立もハードルが下がり、会社だけに勤めることが全てではない時代になってきました。
人によってはSNSでインフルエンサーを目指したり、YouTuberやブロガーを目指したりする人もいるでしょう。
そうなると個人のブランドを確立する方法も必要になってきます。本稿では7つのステップを紹介しています。
目的を明確にする
パーソナルブランドの資産価値を査定する
パーソナルナラティブを構築する
ブランドを体現する
自分のブランドストーリーを発信する
ブランドを社会化する
ブランドを再評価し調整する
私は1は割とできてるかなと思いますが、2で社会関係資本を整理した方がいいかなと感じました。文化資本に関しては、趣味をやっていると充実しそうですね。2に関してはブログやnoteで整理するのもよさそうです。
3は自然と出てきそうですね。得意なことや思い入れのあることを整理しておいて、話題に事欠かないようにしておきましょう。4も日頃から自分のキャリアを振り返っていれば自然と出てきそうです。
5は自分のメディアを持つことですね。noteなどは長文に向いているので最適でしょう。
6は5までをしっかりやった上で協力者を探すことです。ここまでくれば独立とか副業をやってそうですね。私はまだここまでたどり着いていません。
7は6までを振り返りながら修正していくことでしょう。これは6までできたら継続的にやっていくことですね。
自分のメディアはやっぱり使えると思いますし、私もnoteやブログを多くの方に読んでいただいています。会社とは別に個人を確立するということは、長い道のりですが、いずれ役立つと思います。地道にやって行きましょう。
「来た時よりも美しく」をモットーに、組織や社会を少しずつ変えていく
デジタル化推進は少しずつ便利さを感じてもらうことから
まずは都庁に入ってデジタル化を推進した話が気になりました。今までの紙中心のやり方をデジタルに変えようと頭ごなしに言っても上手く行かないという話です。
業務のやり方が昔ながらの場合、「ダメだ」とか「なってない」と否定する声は多いです。しかしそれを言っても反発されるだけですぐには変わりません。反発するなんておかしいと腹を立てるだけです。これじゃ徒労です。
私の考えでは試作品でも作って利便性を実感してもらい、小さな成功体験を積んで徐々に広げていけばいいと思います。宮坂氏の場合は、少しずつでも使ってもらい、意外と便利だなと感じる人を増やして行ったそうです。
やはり少しずつ認めてもらうのがいいのですね。
リーダーシップは道具
宮坂氏は自身ではリーダーシップが取れるタイプではないと感じているそうです。それゆえリーダーシップを適性ではなく道具と考えているようです。先天的にリーダーシップを取れるタイプの人もいるだろうけど、そうでない人は道具として使えばいいという考えのようです。
私はリーダーシップには向き不向きがあるという考えです。しかし勉強や経験によってやり方を身に付けることも確かに可能です。
幸いにもリーダーシップの本は学者が様々なリーダーを研究して得た知見をまとめたものもあれば、歴史上の偉人のリーダーシップを解説したもの、有名経営者の著者などもあります。勉強する手段は沢山あるのです。
宮坂氏がリーダーシップの勉強をするきっかけになった出来事が恐ろしいですね。ある日出勤したら机の上に「こんな上司が部下を潰す」という内容の本が置いてあったそうです。
それまではハードワークを続けてチームを引っ張っていたそうですが、ある日突然怖いタイトルの本が机の上にあったのです。それから様々な本を読み漁り始めたそうです。
来た時よりも美しく
行政は企業よりもはるかに長く続く組織です。
人は自分の任期中に何を成せるかを意識するものだと思います。しかし行政のような長期運営の組織では、少しずつの成長でもいいというのです。毎年3%でも、複利効果で24年後には2倍になるからだそうです。
私は行政の仕事をしたことがないので考えもしませんでした。企業の寿命はドンドン短くなっており、15年とも言われています。自分が現役で仕事をできる期間も、今の時代でもせいぜい40数年程度です。
しかし企業の成長にかかった時間を見ると、20~30年なんて当たり前です。5~10年で急成長して大企業になったベンチャーもありますが、それは一握りで、多くの企業は何十年もかけて成長します。
そう考えると、短期間で成果を上げることは難しいです。だから世代を超えて前に進んで行くという考えも必要でしょうね。私はまだそういうことを考える段階には達していませんが。
終わりに
今月号はリーダーシップについて、学び方もスタイルも考え方も、さらには個人ブランドの構築方法も解説されていました。
リーダー、マネージャーという立場で仕事をしている方や、将来そういう仕事をしたい方にはおススメです。
私も生涯マネジメントの仕事を続けていきたいので、勉強になりましたし、これからももっともっと勉強が必要だなと感じました。
頑張りましょう!
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