地球の周りを人工衛星で取り囲む企業が日本にもあった

2024年8月19日 06:13

【要約】QPS研究所は、小型SAR衛星「QPS-SAR」で高精細画像を取得し、地球を準リアルタイムで観測するプロジェクトを進行中。最終的には36機の衛星で10分ごとにデータ提供を目指す。

【本文】ほぼ毎日のようにロケットを打ち上げ、数十基ずつ地球の周りに人工衛星を並べていき（コンステレーションという）、人工衛星の輪を作っているのが、

米スペースX社のスターリンクで年初時点で約6000基並んでおり、後でその数を42,000基に拡張する可能性を目指しているという

中国も負けてはならじと、中国民間ロケットベンチャーの藍箭航天空間科技（LandSpace Technology）は5月24日、

国際電気通信連合（ITU）に対して1万機規模の衛星コンステレーションの計画を提出した。

米中ともに毎日のようにロケットを打ち上げているので、そこに人工衛星を自由に搭載して宇宙に放っていくことができる。

しかし現時点では日本のロケットはまだまだ年に1-2回程度しか打上が出来ていないので、アメリカのスペースXに搭載の順番を待つしか無いのが現状だ

先日は、このスペースXに女性のアマチュア無線の団体コスモ女子が、初の人工衛星を今月8月5日に打ち上げたばかりだが、まだまだ認知度は低いのが残念だ

更に、日本でもコンステレーションを計画し、着実に人工衛星を打ち上げている企業がある。株式会社QPS研究所だ。

九州大学大学院航空宇宙工学専攻博士課程を修了。九州地区の大学・企業による50kg級小型衛星プロジェクト)の学生プロジェクトリーダーとして、

システム全般の指揮ならびに大学・企業のメンバーのマネジメントを行い、2014年11月に衛星打上げを成功に導く。

九州より世界の宇宙産業にインパクトを与えるべく、2013年10月有限会社QPS研究所に主任研究員として入社。

2014年4月に同社の代表取締役社長に就任し現在に至る。学生時代から現在までに十件超の小型人工衛星開発プロジェクトに従事してきた

大西は「九州に宇宙産業を根付かせる」ために、伝承されてきた小型衛星開発技術を生かし、世界でもまだ例のない魅力的な衛星プロジェクトを立ち上げることによって、

人材を九州に集めて盛り上げようと考え、SAR衛星の小型化に着手した。

そしてQPS研究所は小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発に成功。現在、この衛星を36機使って、地球を準リアルタイムに観測するプロジェクトを推し進めている

QPS研究所は北部九州を中心としたパートナー企業と共にビジネスを展開し、宇宙産業発展のために走り続けている

QPS-SARは日本の民間SAR衛星で最高精細となる46cm分解能の画像取得が可能だ。現在は商用機３機を運用しており、

2027年度には24機、そして最終的には36機の衛星コンステレーションで平均10分毎という準リアルタイム観測データ提供サービスを目指しているとしている。

ちなみにどんな役に立つのかはホームページの動画で説明されているが、空からの距離の差によって、鉄道線路のわずかな起伏の距離を測定したり、

輸出入の船の航路データを元に最適誘導をかのうにしたり、都市計画で渋滞回避するような道路計画をたてたり

個人のスマホでは、リアルタイムに交通渋滞を目視できたり、紅葉している山を目視で確認して、その場所に観光に行くことを決める時代がすぐそこにやってきている

そんな、大きな事から小さな事まで、宇宙からの観測だからこそ、今まで困難だったことが簡単にできて、便利になったり、楽しんだりが出来る

しかも国産の人工衛星だからこそ、海外の事情で通信を遮断されるリスクも避けられる

宇宙事業はまだまだ歴史的にも浅く、今後新規事業の可能性が広がっていくだろうから、今からでも日本発の事業化がどんどん増えていき、

こんなQPS研究所のような企業群もこれからどんどん増えていくのかも知れない

*SAR衛星：『SAR（合成開口レーダー、Synthetic Aperture Radar）衛星』は、電磁波（マイクロ波）を地表に向けて照射し、はね返ってきた電磁波を受信・解析することで、地表の状態を映像化します。

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