書き上手は聞き上手、よきものはそれだけである。本日は、お日柄もよく…
ほぼ寝たきりから徐々に快方に向かい、もう眠れないと4時過ぎに起きて読み始めて、朝5時ごろに押し寄せた最後の爽快な涙を思い出します。
読もうと思えば1日とかからず読めるこの本を、一感泣をしおりにして、何日かで読み終えました。
体調不良だったことも感泣を誘った要因だと思いますが、それを抜きにしてもあたたかい本でした。
原田マハ『本日は、お日柄もよく』
内容紹介
スピーチの前提を超えたマハパワー
スピーチとは、特定の場所で、誰かに向けられるものだと思います。
その聴衆に向けて、選び抜かれてそれを発するに最もふさわしいスピーカーによって放たれた言葉が聴衆にズバズバ刺さることにはある種の必然性があります。
この本のすごいところは、それを場外の(読んでいるだけの)読者がそのスピーチ会場に引きずり込まれて、聴衆と一体化できることです。
それこそマハさんの言葉の力だと思います。なんというか四次元的な技法にうならされました。
書き上手は聞き上手
書くことに目覚めたわたしにとって、大変勉強になる本でもありました。
・自分の体験を入れること
・キーワードを織り込むこと
・答えてほしいことと真逆のことをわざと問いかける
・話し上手は聞き上手
書く技法にもまして、わたしに響いたのは聞く技術でした。
今読み進めている古賀史健さんの『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』でも書く前の取材(インプット)の重要さを説いていらっしゃいました。
もしかして書き上手も聞き上手なんではないかな?
作中に出てくるリスニングボランティアはスピーチライターに劣らず興味深い仕事です。本の中ではボランティアでしたが、最近ではエールのように傾聴により組織開発や人材育成コンサルティングをする会社もあります。
https://www.yell4u.jp/company-profile
同社の取締役で、元ほぼ日CFOの篠田真貴子さんが監修した『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』も読もうよもうと思って読めていない1冊ですが、これがいい機会かもしれないなと思っています。
ちょうど先日コーチングの第3回目(最終回)を受けたところで、聴く力、言葉の力を重く楽しく受け止めていたところです。
書くことと傾聴を基本とするコーチングに引き寄せられているわたしにとって、聴くことと書くことがつながる瞬間を与えてくれた原田マハ『本日は、お日柄もよく』でした。