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経営なるものをしていて身についた心構え3つ。その2.何をするかよりも何をしないかが重要。時間だけは万人に平等である。

サラリーマンから経営者になって仕事の内容は大きく変わった。調整から決断、人からやらされる事から人にやらせる事、金をもらう事から金をはらう事。会社を興してから早10ヶ月、日々色々な壁にぶつかる中で実際に経験した心構えを3つ紹介したい。今回はそのふたつ目。

1. 計画は計画通りには進まない。

  「ない」は「ない」のだから。

2. 何をするかよりも何をしないかが重要。

  時間だけは万人に平等である。

3. できると思ったらできる。

  できないと思ったら絶対にできない。


おいおい、結果を一切出していないお前が何を言っているんだというお叱りを受けそうだ。でも、結果の出ない苦労続きの零細企業だからこそ言えることもあると思ってお許し願いたい。これから何かを始めたい人や同じく苦労続きで眠れぬ夜を過ごす同志に少しでも届けば幸いである。

改めて言えば、この3つはどれも当たり前のこと。当たり前のことを大声で言える厚かましさこそ経営者に求められる素養のひとつではないかと錯覚するほどに。

2. 何をするかよりも何をしないかが重要。

  時間だけは万人に平等である。


同じ経営者としておこがましいが、イーロン・マスクと僕だと持っている資産が違う。ビル・ゲイツと僕だと社会に与える影響力が違う。柳井正と僕だと発するカリスマ性が違う。同じ経営者なはずなのに残酷だ。天と地よりもはるかに遠く高い壁と差を感じる。ただ、この4人に唯一同じく与えられているものがある。時間だ。

Time is Money.と言うけどお金より時間の方がずっと貴重。

この時間をいかに有効活用するかに零細企業の生き死にがかかっていると言っても過言じゃない気がする。まだ弊社は死んだわけではないけど。24時間をいかに使っていくかが大切だと思いきや、実は違うと僕は思っている。反対である。24時間をいかに使っていかないかが大切なのではないかと。要は24時間の中で何をしないかを見極めること。それこそが「持たざる者」の戦略ではなかろうか。

何をしないかは多岐にわたる。それは販売する商品の数からプロモーション手法から領収書処理含む日々の雑務まであらゆることに及ぶ。それでなくても経営者は忙しい。何かを決断して実行するを日々繰り返していく。その中で仕事が溢れてしまってはいけない。あれもこれもそれもどれもやっていたら時間がいくらあっても足りない。

ただでさえ零細企業は様々な会社から狙われやすい。歴戦の営業マンが何も知らないおぼこい零細企業の素人社長の骨の髄までしゃぶり尽くしてやろうと手ぐすね引いて猛烈営業活動を仕掛けてくる。「あぁ、このサービスがあればオートメーション化で全体の作業負担が半分で済むのか・・」とか「あぁ、このサービスがあればCVRがかなり下がって売上が3倍アップか・・」などと思ってあれやこれやのサービスをほいほい導入してはいけない。彼らは初期費用0円という甘い顔で近づいてくるが実は維持費用やらオプションやらでとんでもない金額を取られるのだ。あぁ、恐ろしい。そして、そのメンテナンスだけで1日が、1週間が、1ヶ月があっという間に過ぎていく。結果、何が達成されたか??答えは凄惨たるもので生産性のかけらもない。何をしないかの見極めはここでも重要だ。

特に社員の少ない会社なんて、ひとつトラブルが起きるとすべての労力と時間がそちらに向かわないといけない。そんなことを繰り返していたら倒産まっしぐらである。だから、やらないことはやらないとしっかり決めることが重要だと思う。

格好つけて言えば「選択と集中」

僕の会社では洗顔料だけを販売している。普通に考えたら、洗顔料に加えて化粧水や乳液もラインナップに加えたほうがお客様からしても選ぶバリエーションが増えるだろうし、同時にクロスセルすれば売上も増えるだろう。
でも、それは選択しなかった。
なぜか。まずスキンケアにおいて一番大切なのは最も基礎的な洗顔だと思った。洗顔が最も重要なスキンケアであるという確固たる想いがあった。そして時間の中で洗顔料の開発を最大化させたかったのだ。あれもこれもは結局、何も残らなくなる。全部あるは、何もないのと同意義語だ。だから化粧水も乳液もやらなかった。
自分が注ぎ込める時間をすべて洗顔料一本に振り切った。化粧水も乳液もやれば時間と開発費の濃度が3分の1になってしまう。短中期的な売上を考えればフルラインナップでやったほうが良かったのかもしれない。この決断がどうなるのか正直、誰にもわからない。必ず「正解だった!」と当時決断した自分に言えるように頑張る所存である。そして、このオーダーメイド洗顔料はまだまだ進化させるつもりだ。お客様が増えて色々な意見を伺いながら配合成分や洗顔料のタイプをどんどん良いものに改良していきたい。それこそ真の意味でのブラッシュアップをしていきたい(1.計画は計画通りには進まない。「ない」は「ない」のだから。ご参照)

ひとつひとつの施策でも、僕はやらないと決断したものは多々ある。例えば、通販系ならほとんどの会社がやっているであろうアフィリエイト。誰か他の人がオススメ記事をネットに書いて記事経由で売上があがるとアフィリエイト記者にマージンがいくプロモーション施策だ。
この商材はいかがですか?!とクライアントが大声で言って、あ、これなら儲かりそう!と思った記者がピックアップして趣向を凝らした記事を書く。記者からすれば売れることを最大限意識して記事を書く、つまり、こちらが提供したいブランドだったり価値が優先されない。時々、ウェブでニュースを読むと下のほうにギョッとするサムネイルがある。歯だったりダイエットが多い。これがアフィリエイト記事だ。そして、こんなエゲツないアフィリエイトが跋扈しているということは売れているということなのだろう。売れていなければ、こんなサムネイルがいつまでも存続しているわけがない。
売れることとブランディングのバランスをうまく取ることはとても難しいだろう。記者がどういう記事を書くかはある程度しかこちらはコントロールできない。あまり文句を言っているクライアントの商品に記者は手を挙げないだろう。僕はこのコントロールは困難と思いアフィリエイトはやらなかった。
そのかわりブランディングができて魅力的なコンテンツ提供ができるInstagramは全力でやろうと決めた。全然フォロワーがつかないのが目下の悩みだが・・まぁ根気よくやっていこうと思っている。

頭と人と金と勘。これで経営が決まると言っても過言ではない。でも、スタートしたばかりの会社はどれも足りないのではないか。そんな「持たざる会社」がすべきことは唯一平等な時を最大限活かすべく「やること」よりも「やらないこと」を大切にしようということを書かせていただいた。

残りはひとつ。これもまた後日に。