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経営なるものをしていて身についた心構え3つ。その1.計画は計画通りに進まない。「ない」は「ない」のだから。

サラリーマンから経営者になって仕事の内容は大きく変わった。調整から決断、人からやらされる事から人にやらせる事、金をもらう事から金をはらう事。簡単に言ってしまえば、そういう事だろうか。大学時代、経済学の授業でマルクスが資本家と労働者の違いみたいなことをうんちゃら言っていたけど、もっとミクロな話でもっと切実な話でもある。

サラリーマンを卒業して経営者になって10ヶ月が過ぎた。経営者と言っても超零細企業中の零細企業なわけだが、そんな僕でもいくつかわかってきたことがある。

自分で会社経営なるものをやってきて、そこで実際に経験した心構えを書いてみたが当たり前のことだらけになった。名言や格言の類も大半は当たり前のことだけどなかなか気がつかないことを指摘しているに過ぎない。実績十分な人が言っているからありがたいけど内容は至極当たり前なことだらけだ。

会社を経営してまだ一年も経っていないが大量の失敗を繰り返してきた。当然だ、アドバイスをくれるメンターはいないし、同僚もいない。毎日頭から湯気が出るぐらい考えて考え抜いて実行して失敗して学びを得る、、という非効率的なことを毎日繰り返している。AIでおなじみの機械学習とは真逆の流血学習だ。いつかこの失敗が財産となって会社が大きくなりより多くの方の毎日を少しでもより良いものにできたらと切に願う。


目の前の艱難苦難に思わず座り込んでしまうときがある。
でも、一歩で進まないと何も変わらないのだ。

前置きが長くなってしまったが、早速書いていきたい。全部で3つある。

1. 計画は計画通りには進まない。

  「ない」は「ない」のだから。


2. 何をするかよりも何をしないかが重要。

  時間だけは万人に平等である。


3. できると思ったらできる。

  できないと思ったら絶対にできない。


改めて書いてみて、我ながら当たり前のことしか書いていない。もしかすると経営というのは複雑なことなんて何もなくて「顧客を創造して売上を伸ばす」という唯一絶対の目的のもと当たり前のことを当たり前にすることだけなのかもしれない、と錯覚するほどだ。まずはひとつ目から解説していきたい。

1. 計画は計画通りには進まない。「ない」は「ない」のだから。

近い未来に向けてスケジュールを組み立てて進めていくことはサラリーマンでも経営者でも変わらないはずだ。ただ僕のような零細企業の場合はヘタをうつと会社が潰れるわけで計画力(とそれを実行する能力)がかなり重要になってくる。

その際に覚えておかないといけないのは、計画はその通りには進んでくれないということだ。必ず何かしらの艱難苦難が待ち構えている。それは大きな計画でも小さな計画でも変わらない。むしろ計画が計画通りに完遂してしまったとき、成し遂げたものは大したものではないのではないか。計画の途中で何度も方向転換を余儀なくされる。それを世では「ブラッシュアップ」と無理矢理ポジティブな意味を持たせて溜飲を下げる。でも、計画変更をポジティブに捉える力も経営者には大事な素養のひとつなのかもしれない。

計画が計画通りに阻害されるのは様々な理由が考えられる。誰かがミスったり急にスタッフが欠員したなど人的要因が原因かもしれない、円安や戦争など社会的要因かもしれない、キャッシュが不足した融資や投資が承認されなかったなど金銭的要因かもしれない。というより、計画阻害の理由はひとつではない。色々な理由が複雑に絡み合うのが大半だろう。そして、最も重要なのは、トラブルは続くということだ。
ひとつのトラブルを無事に乗り越えたときに「もうトラブルは起きないだろう」という「ない」など決して「ない」のだ。トラブルは次から次へと起こるもの。もうトラブルや失敗が起こら「ない」なんてことはありえ「ない」と思ったほうが良い。

僕なんて銀行口座開設という会社設立の第一歩かつ何もトラブルがおきなさそうなことですら計画通り進まなかった。小さい会社は銀行よりも地域に根ざしている信用金庫のほうが口座が作りやすく、さらに融資が引きやすいと聞いていた。だから城南信用金庫に口座開設の申込をしたのだ。融資ではない、単なる口座開設だ。ところが「お客様応援課」といういかにも中小企業に優しそうな部署の連中から執拗に質問をされまくったあげくばっさり断られた。まさかの事態だ。税理士に相談してオフィスに一番近い三井住友銀行の青山支店に口座開設を申し込んだ。ところが、1ヶ月もの間、何の音沙汰もなくようやく連絡がきたかと思ったら、申し込んだ支店の法人部は閉鎖されると言う。前から決まっていたけど今日ようやく情報解禁になりました。ひいては近所の支店で再度審査が行われますとのたまうではないか。要は申し込んだ支店では審査すら行われず1ヶ月間ただただ放っておかれたのだ。簡単だと言われている信用金庫の口座開設に失敗、税理士からここだったら問題ないでしょうと言われたメガバンクは審査すらしてもらえなかった。その後、さらに1ヶ月かけて審査がおこなわれ無事に口座開設ができた。やれやれだ。1円も振り込まれていない口座を作るだけでヘロヘロになってしまった。そのとき会社を設立してからすでに2ヶ月半が経っていた。

こんな初歩的なことですら「ない」は「ない」のだ。より難しいミッションに困難が続かないわけがない。事実、今も僕の目の前には幾多のトラブルが大きな口を開けて僕の会社を飲み込もうとしている。飲み込まれたら最後、倒産というエンディングしか待っていないので必死に抵抗している。そんな毎日だ。

曲がりくねった道の先にしか光は見えない。

トラブルや苦労は続く。どこまでも続く。終わりがない。そこをどう乗り越えて計画を計画通り、いや計画以上のものに進めていくかは経営者の腕にかかっている。そのためには予め計画を邪魔するトラブルが起きる、そしてそれには終わりがないという心構えが大事なのではないか。僕はそう思う。

残りの2つについてはまた後日、書きたい。