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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その4)


Nao Kudoさん撮影

大抵の情報は、さまざまなツールによって、インターネットを通じて得られるようになった現代社会。

古き良き時代の名残か。

かしこまって便箋を広げて。

頂いたご厚意に対してのお礼を書き連ね。

封をして切手を選び。

近所のポストまで投函しに行かなくても・・・

キーボードをタタタとボタンを何度か打つ。

それだけで、お礼のメッセージが相手の手の中に届いてしまう便利な世の中。

どちらも同じ言葉だったとしたら、そこには、一体どんな意味があるのかを、考えてみる。

コミュニケーションの基本には、もともと言語化できないことを前提としたアナログとしての感情や思想がある。

それを、便宜上、デジタル化した言語で相手に伝えているに過ぎないことを、ついつい忘れてしまう。

言葉だけだと、なかなか現実との間を埋めきれない事実があり、その前提条件を忘れていることに気づかないで、情報交換すると大変なことになる。

伝えられた方は、単にデジタル情報として読み取るのではなくて、デジタル情報の峡間から漏れたしまったはずの相手の思いや感情を、自分の内部に再現する努力(この形のない行為を「愛」と呼ぶ)をして、はじめてコミュニケーションが成立することになる。

真のコミュニケーションとは、ついに相手が言語化しきれなかった「間」を読み取ろうとする努力以外のものではないはず。

それがデジタル表現のアナログ化であり、別名、相手をわかろうとして努力する行為である「愛」を経て生じる「思いやり」とも呼ばれるものであると思う。

その様なアナログ信号は、きっと、言葉にしてはいなくても、人は、ずっと何かしらを発しているのではないだろうか。

笑い声の弾み方。

考え込むような表情(横顔とか)。

よく動く手や腕。

相槌を返す間合い。

話す言葉の抑揚。

きく(聴く・聞く)時の表情。

などなど。

話を聞くとき。

人はいろんな表情をする。

微笑んだり

困ったり。

「えっ」と驚いたり。

目を見張ったり。

頭を傾げたり。

小さく頷いたり。

話を聞いてくれている人たちの。

色んな表情(おかしげな顔や、納得の面持ち、など)を。

ついつい観察してしまう。

そして。

会話のキャッチボールをしている。

ふたりの間に春風の香り。

ふと目をあげれば。

冬は去り。

春は闌け。

胸の奥にしまった笑顔を。

春風に飛ばしてみると。

山が笑った(^^)

そのことを、ほんの一瞬で分かちあえたりする。

そんな感じで、発し合う、見えない信号のようなものを。

それらは、空間の中で、無数に起きては、消えていくのだろうけども。

碧落一洗の後に、春信を知り、春風を歩き、言葉が集うとき。

こころの中に積もり。

記憶となる。

それは、静かなエネルギーとなって、人の心に、少しだけ触れてくるのだろうと、そう思っている。

そうであれば、人びとは皆。

それを知らずのうちに、何某かの見えないメッセージを受け取っているのだと思う。

日々、ことば✖思考✖学びだね(^^)/

苦しみばかりが続くもんじゃない。

そんな一歩先のあなたへ。

悲しみが続くもんじゃない。

そんな一歩先の私へ。

つなげていきたい。

さて、人が言語化しきれなかった「間」を、読み取ろうとする努力しているのと同じように。

俳句においても、五七五の17拍(音)が全部言葉で埋まっているように見えるけど。

句の前後と、その句の中には、膨大な空白、言い換えれば、「間」がある。

その「間」を、生み出すのが「切れ」であると知る^^;

「切れ」によって、言葉を切断して、涼しげに作っていく。

そして、「これだけ言えば、あとはわかりますよね」と。

これが、俳句の基本的な考え方だと知る^^;

これって、短い文字数で、適切に伝える勉強にもなりますね(^^)

例えば、有名な句である「古池や」と、ここで刻むことで、「蛙飛び込む水の音」との間に「間」が生まれます。

その深い「間」によって、単に「古池に蛙が飛び込んで水の音がした」というのではなくて。

蛙が飛び込む音によって、芭蕉の心に浮かんだ「想像上の古池」と「現実の水音」という次元の違う二つのものが響きあって。

詩の世界が立ち上がってくるのだと教えられますね(^^♪

そんな俳句における「間」を、楽しんでみて下さいね(^^)

【百人一句(俳句)】そこに面白味を見ようとしてみると(その4)

「ねたきりのわがつかみたし銀河の尾」
(秋元不死男『甘露集』より)

「フィボナッチ指数のごとく蝌蚪生まる」
(矢野玲奈『森を離れて』より)

「へうへうとして水を味ふ」
(種田山頭火『山頭火著作集Ⅳ 草木塔』より)

「またの世は青磁双魚として逢はむ」
(恩田侑布子『振り返る馬』より)

「またの名は螢この世を夢と言ふ」
(照屋眞理子『猫も天使も』より)

「まなうらの虹崩るるや鳥曇」
(大道寺将司『棺一基』より)

「ゆきかうロボットもまた旅人なり」
(川名つぎお『頂点』243号より)

「わが影とわれと月下に睦み合ふ」
(林翔『あるがまま』より)

「一つの屍茫々霧をへだてけり」
(鈴木しづ子『しづ子 娼婦と呼ばれた俳人を追って』より)

「黄金週間畢(おは)る高嶺に一墜死」
(馬場駿吉『夢中夢』より)

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【参考記事】
趣味として初心者でも気軽に楽しめる俳句の魅力
https://www.homes.co.jp/life/cl-hobby/cm-literature/27207/

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