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旅の記憶 1994・夏 トルファンからカシュガルへ バス旅2日目 #4


30年前の夏
 僕は中華人民共和国 新疆ウイグル自治区
トルファンからカシュガルへ向かう
バスに乗っていた


バス旅2日目
僕たちの乗ったバスは
砂漠の真ん中で大渋滞に遭遇
立ち往生した僕らを阻むのは
大きな川だった

前回の記事はこちら↓からどうぞ


砂漠の真ん中に
突如現れたこの川の水は
いったいどこから現れたのだろうか

川の水が無くなるまで
現地の人たちも時間を潰す


コレはあくまでも
僕の想像なのだが
思い当たる事がひとつあった


僕たちはただ待つだけ
流石に待ちくたびれてしょんぼり


前の晩予定を大幅に遅れて
真夜中まで走り続ける
バスの中から見た光景

その時遥か北にある天山山脈は
分厚い雲に覆われていた

カメラを向けると照れくさそうに笑った


その雲の中
数秒に一度のタイミングで
複数の雷が光る
それはとても
幻想的な光景で
遥か彼方で光る雷の
音は聞こえず
ただ雷の閃光だけが見えるのだ


いつも元気なイサクも疲れ気味



おそらくあの雷の下では
大量の雨が降っていだのだと思う
それが昨日の夜中のことで
この川に遭遇したのは
それから約半日後


天山山脈までの距離はわからないが
もしかしたらその雨水が
ここまで流れてきたのではないだろうか


他のみんなも川を見に行ったり来たり


他の車の運転手たちも
この川がいずれは消えることが
わかっているようで
誰も引き返そうとはしない


待ちくたびれる少年


タクラマカン砂漠には
過去にはオアシスを潤す
川が流れていたようだ


もしかするとこの川は
かつて流れていた水道を
山で降った大量の雨水が
流れてきてできたのかもしれない


結局日が沈むまで待つことになった


結局川の水位が
車が渡れるほど浅くなったのは
日もとっぷりくれた
夜になってからだった

突然現れた砂漠の大河
それがわずか半日で姿を消す不思議

僕の知らない世界がここにはあった


2日目のバス旅はこうして終わりを迎える
この日もホテルに着いたのは
真夜中過ぎだった




タクラマカン砂漠の川について
NHKのドキュメンタリー映像を見つけたので
気になる人はこちらからどうぞ
(59分もありますが)


このバス旅を最初から読みたくなった方は
こちらから↓


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