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14歳アートフェスin直島2024~アート鑑賞を通して自分と未来について考える~

ベネッセアートサイト直島では、アート鑑賞を通じて自分にとっての「Benesse(よく生きる)」とは何かを考える機会を提供しています。
こちらの「14歳アートフェス」では、多感な時期を過ごす14歳を対象に、全国各地から集まった仲間と一緒に直島にあるベネッセハウス ミュージアムのアート作品を鑑賞しながら自分のことや未来のことを考えます。

今年で3年目となるこちらのイベント。毎回下記のようにレポートを配信していますが、今回は具体的なエピソードを交えながら、このイベントの魅力をお伝えしたいと思います。

初回の様子 
アート鑑賞を通して自分と未来について考える14歳アートフェス【直島アート便り】|ベネッセ教育情報サイト (benesse.jp) (出展:ベネッセ教育情報サイト)
前回の様子
アート鑑賞で自分や未来を考える「14歳アートフェス2023」|BASN Learning & Practice (note.com)

スケジュール

ベネッセハウス ミュージアム  集合
自己紹介① 30分
館内の作品を使って対話型鑑賞 1時間 
個人ワーク 30分
個人ワーク発表 30分
振り返り、自己紹介② 15分
現地解散

自己紹介 「私を構成するもの」

8月2日と3日に実施したこちらのイベントには、日本各地から合計5名の中学生が参加してくれました。参加動機は「アートと自己探求の機会にしたい」という方から、「コロナ以降狭まった活動範囲を広げたい」という方まで様々でした。

初めて会う者同士、まずは「私を構成するもの」というワークシートを使ってお互いのことを知る時間を取りました。
ワークシートには丸が書いてあり、その中に自分を構成している要素を書き出してもらいます。書き方はあまり指定せず、自由に書いてもらいました。
そうすると円の中にイラストで好きなものをいくつも書き込む方もいれば、写真のように円グラフにして自分の好きやこだわりの度合いまで表現してくれた方もいました。

今回はこの自己紹介の時間をできるだけ長めにとりました。そうすることでこのあとの対話型鑑賞のときに、参加者が発言しやすい雰囲気を作ることができ、他の人の意見も興味を持って聴くことができます。

対話型鑑賞 自分のことを知る

自己紹介が終わるとベネッセハウス ミュージアムの館内に移動し、ファシリテーターと一緒に対話型鑑賞を行いました。
参加者は対話をしながらアートを鑑賞するということが初めての経験で、自分の感じていることを言葉にするのが難しい場面もありました。
そんなときファシリテーターは「作品から受けた印象は〇〇な感じ?それとも✕✕のような感じ?」といった参加者が答えやすい選択肢を提示したり、時には参加者が話し出すまで粘り強く待ちます。するとぽつぽつと言葉が出始め、最後には問いかけに答えるスピードも速くなり、自分から考えを伝えてくれるようになりました。

こちらの作品では、写真に写っている2人の人物の関係性を想像しています。スキンシップの度合いや写るポーズから、この2人は「親子だと思う」「友達だと思う」と意見が分かれました。
ファシリテーターがなぜそう思ったのか理由を尋ねると、「友達とここまでのスキンシップはしない」「面白い顔で写真に写るのは友達だと思う」と参加者それぞれの思考の特徴や個性が見えてきました。

個人ワーク 未来に思考を飛ばす

じっくり1時間かけて対話型鑑賞をした後は、今度は参加者が1人でワークシートを使ってアートを鑑賞し、自分と向き合いました。
気になった作品を1つ選び、まずはスケッチをしながら作品をじっくり観察します。次にそこから何を感じたか、自分の考えを掘り下げていきます。そして最後に、作品鑑賞を通じて自分がこれからどうなりたいかについても考えてもらいました。
参加者が実際に書いたワークシートや、そのなかの「私の未来」に書かれていた言葉を紹介します。

参加者の書いたワークシートの例

死がいつくるかわからないからこそ、たくさんのことにチャレンジして精一杯生きようと思いました。

世界でもいろいろな困難があったりするけど、それでも楽しいことや美しいことがあったりするから自分もがんばろうと思った。

振り返り 

個人ワークのあと、それぞれが書いたワークシートの内容を発表し、最後に振り返りの時間を取りました。
この時間に「私を構成するもの」のワークシートにもう一度取り組んでもらいました。プログラム前と後で内容が変わらない方もいましたが、丸の中に小さく書いていた「勉強」という文字が、プログラム参加後にすこし大きくなっていた方がいました。理由を聞くと、「今回のプログラムに参加して将来のことを考えていたら、できることの選択肢を増やしたいと思ったのでもっと勉強をがんばりたい。」と話してくれました。

このイベントの魅力

イベント実施後に行ったアンケートでは、参加者の半数以上が、自分について、また未来について考えることができたと回答しています。

ベネッセアートサイト直島にある作品は、現代アートで自由な解釈ができ、生と死、戦争など自分や未来を考えるきっかけになるようなテーマを扱ったものが多くあります。
14歳の中学生が「あなたはこれからどうなりたい?」と直接聞かれて答えるのはかなり難しいですが、アート鑑賞を挟むことで、作品をみながら自然と自分について考え、言葉にできるのだと思います。

また中学生、特に14歳は家庭や学校という限られたコミュニティの中で、人間関係や進路などに悩みやすい年代と言われます。
普段いる場所を離れ、自分と異なる環境で育った同い年の参加者と交流したり、先生でも親でもないファシリテーターという第三者と話すことで、本来の自分と出会えるのではないでしょうか。

こちらのプログラムは今後も継続的に実施していく予定です。14歳のみなさんのご参加をお待ちしています。(髙田)



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