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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 5 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

【詩①】

1:30に起きた
掛け値なしの1時半
何かする事あるんかな、己?
こんなに早く起きたつて
特に意味はないんだが..
たゞ疲労感の残る躰で
これもまた疲れた
詩を書いてゐる
掛け値なし、1時半
もうこれ以上安くならないよーと
池袋の家電スーパーの
をぢさんのやうに
頭の中心部は
僕と言ふ総合的存在を
バカにしてゐるのだ!
ぷんぷん
怒りでまた草臥れる僕
この現象に
抜け道はあるのかい?
グーグルマップ使つたつて
分かんなかつたよ。

©都築郷夫

【雑詠①】

ぬるまつた珈琲飲んで魂の籠らぬ歌を何となく詠む

沢山は要らない己には少しでいゝ痩せたと云へば老母怒るが

薬の時間帳尻合はせに少しばかり疲れたりもする日常茶飯

©都築郷夫 短歌 tanka

【雑詠②】

新涼と文字変換が何か主張

鳩吹の三船敏郎なる誤記憶

ミステリー·マン口ずさむ残暑端居かな

いゝ要素の出てくる頃は秋風か

秋雨の雰囲気もないまだ雷雨

犬の行ひ猫の行ひ秋・なのか

©都築郷夫 俳句 kigo

【詩②】

払暁の全てを知る男が
払暁の全てを語り
どうしてか聴衆は
魅了されてしまふ

私なぞに言はせれば
ナチス型インチキ
ちよび髭に似合はぬ
中性的発聲が

なんだか
もう巷から出てきた
貧乏人の伜
つー事 忘れさせる

私の出自と似て非なる
プロフィール
だが、触れるのもおぞましいと
誰が申し立てするのか!

それが昨今わが國の
像と重なる - あゝ
ブラジルから来た少年
映画の観過ぎだつて?

勝手にさせよ、
己の何を
統制するつもりか。

©都築郷夫

【雑詠③】

(才能は消耗すると)訳もなくお茶を飲みなんて惨めな唄だな

巫山戯ろと江戸つ子文士歯切れ良くだが思惑は深きか読めん

寺の庭の方丈に棲み世に出ればれつきとしたる乞食で通る

©都築郷夫 短歌 tanka

【ひとりごと】

俳句の事を言ふと、私は自分を師とし弟としてきた(独学を指してゐるのだ)ので、結社にも属さないし、病人には病人の毎日があるゆゑ吟行と言ふ結構な催しにも参加した事がない。この現代に於いて、短歌には独学者はまゝ見かけるが、俳家として大成した人で独学..となると、寺山修司くらゐしか思ひ当たらない。もし、他にさう言つた大成者がをられたら、私の寡聞が悪いのであつて、その人のせいではない。さて、吟行だが - 真似事なら私のやうな者にも出来やうが、それは飽くまでも真似事である。それぞれの流派には各派しきたりがあらう。要するに私は、残暑の扱ひに困つて、吟行に行けるご身分を憧れてゐるのだ。この時期わが家の狭庭には、これと言つた景物がない。あとはひたすら残暑!ワンパターンに陥る毎年だ。如何にせんかな、こんな愚痴である..。

青柿や熟したる實が華である
(©都築郷夫)俳句 kigo

因みに寺山は、結社について「フリーメイソンのやうで興味深い」と言つてゐた、と記憶してゐる。熟柿(じゆくし)の句、私の性的嗜好の影が。都築。

【偽物五言絶句】

片附立去者 片をつけ立ち去る者
其實態豪奢 その實態は豪奢
邸恰似巨社 邸あたかも巨き社(やしろ)に似
舞櫻花困捨 櫻の花舞ふは捨てるに困る

また、偽物五言絶句である。今回も作者自身で「困」な一作に仕上がつた。主人公は流れ者・無法者のやうに見えて豪壮な邸に住んでゐる。何者だらう、このミステリアスな男は。

つーやうな感じ。飽くまでも感じ。恥づかしいのである、こねくり回した者としては。おしまひ。ちやんちやん。

©都築郷夫 漢詩 chinesepoem

【詩③】

髪洗ふ
と言つたら
夏の季語だ
三夏いづれなのか
知らん、
恐らくは
夏も盛りだらう。

私の長髪は
扱ひには色々と
手間かゝるが
或る思ひ出に
引つかゝつてゐ、
なかなか
短くする氣にも
なれぬ。

この時代に於いて
戀愛
とは、
色ごと とは違ふ。
あつちが遊びなら
こつちはマジだ -
遊びせんとや
とも言ふが、ね。

かくて現代の
世之介よ
船出せよ。
おまへを待つ
約束の地もあらう、
誰ぞ
おまへには
居るからさ。

©都築郷夫

【後記】

短い!とお叱りを受けさうだが..まあ甘んじて受けまひよ。實際短か過ぎるキライがある。act 1から、どんどん短くなつて行つて(來て)ゐるから、尚更なのだ、その感覚は。作者としては、サボりつゝ、より讀み易くしてゐるのだから二両得、井月流に言へば千両千両。なんにも拘泥する事はない。くどくど書いたが、本当にさうならば、「これでいゝのだ!」。お後が宜しいやうで。都築拝。

シャワー浴び下だけ履いて口笛など吹いてゐるから情移りさう
(©都築郷夫)短歌 tanka

20/8/15深夜。

敗戦の日の「朕」さんや宙ぶらりん
(©都築郷夫)俳句 kigo

【オマケ】

己には追つかける勇氣も
また狂氣もなくて
SNS上の戀愛など無理
それよりも敗戦忌だ
世界がおまへを試さうとしてゐる
五祖・弘忍の如く
文盲であつても
愛を運んで來る事は出來る
かつておまへに
文章を與へた自然が
今はおまへの助け -
「清き一票」を待つてゐる!
こゝからが思考の踏んばり処だ
自然また政治、
まあさう言つておけ。

©都築郷夫 20/8/15.

ぢや、チャオ!

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