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★【戦術】戦術選択の考え方(走者が0人・1人のケース)

ケースに応じた戦術選択

攻撃は相手投手との兼ね合いもあり、常に打って点が取れるとは限りません。しかし、得点を取らなければ勝つことはできません。特に1回負けたら終わりとなるトーナメントでは、相手投手が素晴らしい投球をしていても少ないチャンスで効率良く得点を取ることを考える必要があります。

野球は”間”が多いスポーツのため、その都度次のプレーについて考える時間があります。この時間を有効活用し、現在のケースではどの戦術が有効か?考えて選択することで、得点が取れる・取れない は大きく変わってきます。


出塁・進塁のケースは全部で8通り(アウトカウントでさらに分類すると24通り)あり、それぞれ考え方が変わってきます。
選手がいざという時に迷わないよう、シーンごとの考え方をまとめミーティング等の場を使いながら認識を深めていくと戦術の精度を高めることができます。(約束ごと 共有事項)


走者なし のケース

◉ 打席の立ち位置を変える

相手バッテリーに考えさせる
打席の立ち位置は個人ごとにきめて立つケースがほとんどですが、

一般的には
  捕手寄りに立つ … 直球を狙う(変化球は見極めてから打つ)
  投手寄りに立つ … 変化球を狙う(変化球の曲がり始めを打つ)
            フェアゾーンが広がる(バント狙い)

となります。

この一般的な考え方を利用し打席の立ち位置を個人でなくチーム全体で変えることで、相手バッテリーに「何か狙いを変えてきたのか?」等考えさせリズムを崩すことが狙うことができます。特に相手投手がリズム良く投げているときの”揺さぶり策”として有効です。

≪本当の狙いは読み取らせない≫
立ち位置を変えると上記のように相手も察しますが、戦術面で特に何の変化もないと立ち位置への警戒心は徐々に薄くなります。
(例 セーフティバント狙いで投手寄りに立っても、警戒心を薄く
  なっていると一塁手・三塁手は前に出てこないため決めやすくなる)
このように、本当の狙いを立ち位置から読み取れなくすると有効です。特に序盤・中盤で立ち位置変化の”粉まき”をし、終盤に生かせると理想的です。

◉ 初球を狙う

特に試合序盤では、投手は”初球はストライクが欲しい”という気持ちで甘い球が来るケースが多くなります。そこで積極的に初球(ファーストストライク)を狙って打つことで、相手バッテリーに”初球から気が抜けない…(かんたんにストライクを取りに行けない)”という印象を与えることができます。
  ボールを見てくる  ⇒ 初球は簡単にストライクが取れる
                 有利な配球の組み立てができる
  積極的に打ってくる ⇒ 初球は簡単にストライクが取れない
                 際どいコースを突くため球数が増えるただし、初球をやみくもに打つわけではなく以下のように考えます。

≪ストライクゾーンを狭くし、狙い球を絞る≫
初球はストライクボールを見逃しても三振とはならないため、難しい球に手を出す必要はありません。
ストライクゾーンを狭くし、狙った球が来た場合は打つ ことを意識します。特に相手投手の制球が定まっていない場合は、この意識(好球必打)が重要です。
※ 試合終盤・走者がいるときは考え方が変わってくる
試合終盤で相手に揺さぶりをかけたいときや、走者がいて戦術の(盗塁・エンドラン…)可能性がある場合は、ボールを見るほうが良いです。

◉ セーフティバント

相手投手を打ち崩せず得点が入らない状況で試合が進み、ただ打つだけでは難しいときに有効です。

セーフティーバントは必ず成功しなくてはいけない…ことはなく、アウトになっても相手を揺さぶりゲームの流れを変えるきっかけとなることがあるので、失敗を恐れずトライして構いません。
またセーフティバントは基本ストライクのときに行なうため、相手投手の制球が定まらない場合はセーフティバントの構えをするだけ…でも投手を前にダッシュさせ意識させる・制球を乱す・守備陣にプレッシャーをかける ことができます。

投手・一塁手・三塁手の動きを把握しておく
セーフティーバントは投手・一塁手・三塁手が打球処理をするのがほとんどなので、バント処理でどのような動きをするか?把握しておくと有効です。一塁手・三塁手の打球への反応(ダッシュ)、投手のフィールディングなどをチェックしセーフティーバントをするときどこに転がすと有効か?を見極めておきます。
一般的には送球距離が長くなる3塁方向に転がすことが多いため、特に三塁手の動きをチェックします。

≪ラインギリギリを狙う≫
セーフティーバントは送りバントのように必ず決めなくてはならない…というものではなくファールになったら打ち直すだけなので、ファールになっても良い…という考えでラインギリギリを狙います。
結果1塁でセーフになればOKですが、アウトになっても相手を揺さぶる効果はあります。(ファールになっても投手をダッシュさせる・野手を警戒させ前に出させることができ、ヒットゾーンが広がる)
特に基本は1塁送球までの距離が長くなる3塁側に転がすようになるので、3塁線のラインギリギリを狙う練習をすると良いです。

※ プッシュバント

セーフティーバントの構えをし相手野手が前にダッシュしてきたところに意図的にバットを押し出しボールに強くぶつけるプッシュバントをすると、相手守備陣の意表をつき成功する確率が高くなります。

≪野手の正面には転がさない≫
プッシュバントは野手の正面に転がすと、かえってアウトに取りやすくなります。ダッシュしてきた野手を少しずらした方向に転がすことで、野手が素早く対応できず(前にダッシュしており急な方向転換ができない)捕球できない確率が高くなります。

走者1塁 のケース

◉ 送りバント

送りバントは自分はアウトになっても走者を前の塁に進めることで、チームを勝利に結びつけるために行なう戦術です。
相手守備陣も走者をアウトにとるべくバントシフトを敷いてくることが多いので、そのプレッシャーの中で決める必要があります。”絶対にできる!”という技術の裏打ちがここぞの場面でモノをいうので、十分な練習量を積むことが重要になります。

また、特に高校野球では0アウト(1アウト)のときに送りバントをするケースが非常に多いので、バントの技術にプラスして考え方も頭に入れておきたいところです。

≪まず相手の守備位置を確認≫
打席に入りバントの構えをする前に、相手の守備位置を確認します。

≪基本は1塁側へバントする≫
バント対応でどのような守備位置を取るか?確認するのは一塁手・三塁手になりますが、
● 三塁手は3塁ベースにこだわる必要がなく、思いっきり前進できる。
● 一塁手は1塁走者がいるためベースについており、
               前進が三塁手よりも遅れ気味になる。
ことから、基本は1塁側に転がすほうがバントの成功率が上がります。

≪初球決めることに集中する≫
送りバントは初球で決めると味方の攻撃にリズムを与えます。またバントに対する走者の動きはなかなか難しいため、何球もかけずに早めに決着をつけたほうが良いです。
送りバントはストライクバントになりますが、基本は初球に1球で決めることを意識します。

≪極端なバントシフトのときは1球見送る≫
相手守備陣が極端に前進するバントシフトを取ってきたときは、バントの構えで初球を敢えて見送る(エバース)ことも有効です。1球見送られたことで、守備側は「次はバントでないかもしれない…」と考え極端なバントシフトが取りにくくなります。
見送るときのポイントは、見送った際一塁手と三塁手がどのくらい前進してきたか?を確認することです。また、戻った後の守備位置が初球よりも下がるようならバント以外の作戦を警戒している…となるので、次の球でバントしやすくなります。

◉ バスター

相手守備が極端に前進するバントシフトを取ってきたときは、バスターが有効になります。

サインで行なうときもありますが、打者の判断でバントからバスターに切り替えることも有効です。

≪打つ方向の狙いを定めて打ちに行く≫
バスターは一塁手・三塁手が前進してきたところを打ちに行くため、正面に打つと余計にアウトになる確率が高くなります(場合によって併殺の可能性)。どの方向に打つか?事前に考えを決めバットを振ります。

走者1塁のときのバスターは、三遊間を狙うと安打になりやすいです。
下図のとおりバントシフトで三塁手は前へダッシュ、遊撃手は2塁ベースカバーに動くため三遊間のヒットゾーンが広がります。

三遊間は完全に空く

2塁ベース右側(二塁手側)も広く空きますが、この方向は遊撃手が捕球し併殺になる可能性があります。

また、一塁手・三塁手が極端に前進してきた場合はその足元を狙って打つのも有効です。

◉ プッシュバント

相手守備が極端に前進するバントシフトを取ってきたときは、プッシュバントが有効になります。
試合が接戦のとき・試合終盤で走者を2塁に進めたくないとき 等は、2塁封殺を狙いバントシフトを取ることがあるので、プッシュバントが成功すれば0アウト1・2塁とチャンスを広げることができます。

≪狙いを定めてバントする≫
プッシュバントは、前進してきた守備陣の前に転がすと余計に2塁封殺の確率を上げるリスクが伴った戦術です。そのため、コースをしっかり狙って行なう必要があります。

バントシフトは一塁手・三塁手(・投手)が前進してきます。特に投手・一塁手は三塁手に比べスタートが遅れるためその分勢い良くダッシュしてするので横の動きに対応しにくくなり、その間となる二塁手の方向を狙ってプッシュバントをすると成功の確率が高くなります。

しっかり狙いを定める

仮に二塁手が取りやすいバントになったとしても、二塁手がボールを捕りに行くと1塁ベースカバーがいなくなり打者走者をアウトにすることができません。
そのことを踏まえ、投手と一塁手の間に転がし二塁手に捕らせるイメージで転がすと良いです。

◉ バントエンドラン

送りバントの際、投球と同時に走者がスタートするヒットエンドランのバント版になります。

≪仕掛けやすいケース≫
相手守備が
   2塁盗塁のとき、ベースカバーを右打者のときは二塁手、
           左打者のときは遊撃手として固定 
としている
場合に、打者が右打者であれば仕掛けやすいです。

ベースカバーを上記のように固定している場合、打者が右打者で1塁走者がスタートを切ると2塁ベースには二塁手が入ります。そこで一塁手に捕らせるようなバントをすると、二塁手が1塁ベースカバーに入ることができないためベースが空きます。

1塁走者・打者走者とも生きる(オールセーフ)の形になる可能性が高く、0アウト1・2塁とチャンスを拡大できます。

ここで相手守備が
     2塁盗塁のとき、ベースカバーを遊撃手として固定
している場合バントをした打者走者はアウトになる確率が高いですが、1塁走者は安全に2塁に進塁できます。
また、相手が守備に自信を持っており”バントをさせてアウトに取る”ような投球(ストライクを取りに行く)をしてくるようであれば、安全に1塁走者を進めるためにもバントエンドランは有効です。

≪打者は必ずバントをする≫
バントエンドランはヒットエンドランと同じ考え方になるので、投球のストライク・ボールに関わらず必ずバントをします(見送ると単独盗塁の形になり、アウトになる可能性が高い)。
もし投球がフェアにしにくいボールの場合は、ファールにして逃れます。

≪3塁まで狙うことも可能≫
相手守備の状況により、1塁走者が一気に3塁まで狙うよう仕掛けることができます。
バントを3塁側に転がすと、バント処理は投手・三塁手が行ないます。このとき捕球しなかった方が3塁ベースカバーに入りますが、その対応ができないと3塁ベースが空き1塁走者が一気に3塁進塁することができます。もし打者走者が1塁でアウトになってもチャンスが広がります。

≪フィルダースチョイスを狙うバント≫
フィールディングに自信のある投手はバント処理でタイミングがギリギリであっても2塁送球することが多いため、あえて投手の正面に転がし2塁送球させフィルダースチョイスを狙う 方法もあります。
試合の中で相手投手の動きを事前に確認しておくことがポイントです。

≪警戒している場合は戦術を切り替える≫
相手守備が盗塁・バントエンドランを警戒して場合はきた場合、二塁手が2塁ベース寄りに守り一二塁間が空くため、そこを狙ったヒットエンドランに切り替える方法も有効です。

◉ 盗塁

”いつでも盗塁してくるチーム”というイメージがあると、相手バッテリーは常に走者に気を配る必要があり打者に集中できなくなります。
アウト・セーフが試合の流れを変える影響もありますが、試合のイニシアチブを握るために有効な戦術です。

≪カウント・配球を見て仕掛ける≫
盗塁を仕掛けるタイミングは、カウント・配球から判断することが多いです。
 カウント ⇒ ストライクを取りに来るカウントを狙う
ボールが先行したカウントでは投手はストライクを欲しいため、盗塁を警戒していてもウエストが出来なくなり仕掛けやすくなります。
逆にストライクが先行しているとボールを投げる余裕があるため、仕掛けにくくなります。
 配球 ⇒ 緩い変化球・捕手が送球しにくい球種のときを狙う
投球が捕手に届くまで時間がかかればかかるほど盗塁は成功しやすくなるため、緩いボール(変化球)のときは仕掛けやすくなります。
また、落ちるボールは低め・ワンバウンドになることが多く捕手が捕球後スローイングの体制を作るのに時間がかかり、仕掛けやすくなります。

≪投手のクセを見抜いて仕掛ける≫
投手のクセは、特に初見の投手と当たることが多い高校野球では見抜くのが難しいですが見抜くことができれば大きな武器となります。
投手のセットポジションをベンチ入りメンバー全員で観察し、何か特徴はないか?探っておくことが重要です。

◉ ディレードスチール

通常の戦術よりも、意表を突く奇襲の色合いが強い戦術になります。

≪捕手・二塁手・遊撃手の動きを見て仕掛ける≫
成功確率を高めるために、試合の中で捕手・二塁手・遊撃手の動きをチェックしとっさの動きが出来なさそうなときが仕掛けるタイミングです。
また、捕手の2塁送球がバラついているようであれば乱れる可能性が高いので有効になります。

≪失敗したときはすぐ1塁に戻る≫
もし早い段階で捕手に気づかれてしまったときは、そのまま2塁に進み2塁送球をさせます。送球と同時に1塁に戻ればほぼセーフになるので、失敗のときはこの方法で仕切り直しをします。
ただしこのとき捕手が送球の”ふり”をすることがあり、1塁に戻っても送球されアウトになるので注意が必要です。

◉ ヒットエンドラン

決まれば効果が高い戦術ですがその分リスクも高く(例 ライナーのときは併殺になる)、チャンスをつぶす可能性もあります。
試合が膠着状態でゲームを動かしたいとき・流れが悪くその流れを変えたいとき に仕掛けることがが多い戦術です。

≪バットに当たやすいボールが来るカウントで仕掛ける≫
ヒットエンドランは必ずバットにボールを当てる必要があるため、当てやすいボールが来る可能性が高いカウントで仕掛けると良いです。
 ● ストライクが欲しいカウント
   ⇒ ボール先行のカウントは、ストライクが欲しいでチャンスです。
 ● 直球を投げるカウント
   ⇒ 上記同様ストライクが欲しいときは直球が増えチェンスです。

≪(事前に)打球を転がすコースを決めておく≫
ヒットエンドランは打球のコースが成否に大きく影響するため、打席で構える前に”どこを狙って打ちに行くのか?”事前に決めてから構えるようにします。
ヒットエンドランでは1塁走者がスタート切るため、二塁手・遊撃手は盗塁の対応で2塁ベースカバーに走ります。そのため二遊間は狭くなり一二塁間・三遊間は広がります。この広がったゾーンを狙って打つと良いです。
(逆に狭まったところに打つと併殺になる可能性がある)打球はゴロを転がすようにします。

またこのときに、盗塁を仕掛けた場合二塁手・遊撃手のどちらが2塁ベースに入るか?事前にわかっていると、2塁ベースに入る方のコースに狙って打てばヒットの確率がより高くなります。

◉ ランエンドヒット

ヒットエンドランと違い、打者が必ず打つ必要はありません。1塁走者のスタートを視野に入れ、
     スタートが良ければ打たない・悪ければ打ちに行く
また、
  ボール球なら打たない・ストライクでも狙い球でなければ打たない 
と選択することができます。
そのため、通常は1塁走者の動きが見えやすい右打者のときに仕掛けます。
          (左打者は1塁走者の動きが見えないため難しい)

≪(事前に)打球を転がすコースを決めておく≫
ヒットエンドランと同様に、打席で構える前に”どこを狙って打ちに行くのか?”事前に決めてから構えるようにします。転がすコースはヒットエンドランと同様です。

≪1塁走者は盗塁と同様のスタート≫
打者は打たない可能性があるため、1塁走者は盗塁と同様の意識でスタートします(打者が見送れば単独盗塁となる)。
ただし打球がフライ・ライナーのときは戻らなくてはいけないため、打者のインパクトの瞬間・打った打球を見るようにします。

≪確実にゴロを打つ≫
ランエンドヒットは打てるボールのみ打てば良いため、確実にゴロを転がすようにします。逆にフライやライナーを打たないよう注意が必要です。

走者2塁 のケース

◉ 送りバント

送りバントは自分はアウトになっても走者を前の塁に進めることで、チームを勝利に結びつけるために行なう戦術です。
相手守備陣も走者をアウトにとるべくバントシフトを敷いてくることが多いので、そのプレッシャーの中で決める必要があります。”絶対にできる!”という技術の裏打ちがここぞの場面でモノをいうので、十分な練習量を積むことが重要になります。

また、特に高校野球では0アウト(1アウト)のときに送りバントをするケースが非常に多いので、バントの技術にプラスして考え方も頭に入れておきたいところです。

≪送りバントをする場面≫
走者2塁のときのバントは
 ● 接戦で、走者を3塁に進塁させ相手にプレッシャーをかけたい
 ● 相手投手の制球力が悪く、ワイルドピッチで生還を狙いたい
     ⇒ 相手投手はワイルドピッチを恐れ低めに投げにくくなる
ような場面でバントを行ないます。

≪まず相手の守備位置を確認≫
打席に入ったら、バントの構えをする前に相手の守備位置を確認します。
確認するのは一塁手・三塁手になりますが、特に3塁側に転がしたいので三塁手をチェックします。

≪3塁側へ強めにバントする≫
三塁手にバントを捕らせると自然と3塁ベースが空くため、2塁走者は確実に進塁することができます。
 ● 一塁手は1塁ベースにこだわる必要がなく、思いっきり前進できる。
                   (1塁ベースは二塁手がカバー)
 ● 三塁手は2塁走者の進塁があるため3塁ベースと打球を
     両方ケアする必要があり、判断(投手との連携)が難しくなる。
ことから、基本は3塁側に転がすほうがバントの成功率が上がります。

また、打球は確実に三塁手に捕らせたいので強めにします。弱いと投手がマウンドを下りて打球処理できるためです。通常のバントと違いバットの芯に当てても良いです。
※ 1塁側にするケース 一塁手が前進してこいない・フィールディングが上手でない 場合は1塁側に転がすことも考えます。このときは通常のバント通り打球を殺します。

≪ストライクゾーンは広めに考え早めにバントする≫
送りバントは初球で決めると味方の攻撃にリズムを与えます。特にバントに対する2塁走者の動きは難しいため、何球もかけずに早めに決着をつけたほうが良いです。
走者2塁のバントで状況で最もやってはいけないことは
      ”バントの空振り”と”ストライクの見逃し”      です。

2塁走者は投球がはっきり見えるので、ストライクと思ったときはバントをするもの…と思い第2リードをとります。ここで空振り・見逃しをするとすでに大きく飛び出してしるため、2塁送球でアウトになる可能性が高いです。
少しストライクゾーンを広くとり、きわどい球であってもバントにいったほうが良いです。

≪(走者の立場)飛び出さないよう注意する≫
2塁走者はバントのサインが出たら”早く3塁に到達したい…”気持ちが強くなります。少しでも早くスタートを切りたいため投球がストライクと見ると大きくリードを取ってしまいがちですが、ここで打者がバントを空振り・見逃したとき2塁に戻りきれずアウトになってしまうことがあります。
このような形で飛び出してしまうことがないよう、以下の点に注意しておきます。
 ● 必ずバントすると決めつけない
   ⇒ 「ストライクだから必ずバントする」と決めつけず、
        打者がバントするまでは打者から目を切らない
        バットに当てるまでは飛び出し過ぎない ようにします。
 ● 変化球の軌道を頭に入れる
   ⇒ 変化球はストライクからボールになるものも多く、
     コースだけで打者がバントをしてくるか?判断が難しいです。
     変化球の球筋を頭に置いて見極めることが必要です。
 ● 飛び出してしまったら先の塁へ
   
⇒ 挟殺になる可能性が高いため、もし守備側にミスがあり
     アウトにならなかったときに1つ塁を進めることができるよう、   
     先の塁の方向へ進んでいきます。

◉ 盗塁

”いつでも盗塁してくるチーム”というイメージがあると、相手バッテリーは常に走者に気を配る必要があり打者に集中できなくなります。
アウト・セーフが試合の流れを変える影響もありますが、試合のイニシアチブを握るために有効な戦術です。とくに2塁走者の3塁盗塁は相手バッテリーに大きなプレッシャーを与えることになります。

≪100%セーフのときのみ走る≫
走者が2塁にいることは、チームにとって得点圏に走者がおりワンヒットで1点取れるチャンスの状況です。ここで盗塁を仕掛けアウトになると、大事なチャンスをつぶし試合の流れを相手に渡す可能性があります。
3塁盗塁は、絶対にセーフになる!という100%の自信(投手をクセを把握している・まったく警戒していない・次の配球が読めている…)があるときのみ仕掛けます。
※ 変化球(ゆるい球・落ちる球)のときが狙い目
2塁走者は相手バッテリーのサイン・投手の握りが見えるので、ある程度球種・コースを把握することができます。
ゆるい変化球・ワンバウンドしやすい落ちる変化球のときは狙い目になるので、サイン・握りで読み取ることができたらその球のときに狙うと成功の確率が上がります。また、配球がワンパターンになり次の球が変化球になる確率が高いタイミングで狙うのも良いです。
また、盗塁するときでなくても変化球はワンバウンドなどで捕手が捕球できない場合があるので、そのときに素早くスタートし3塁を狙えるよう準備しておくことも必要です。

≪投手のクセを見抜いて仕掛ける≫
投手のクセは、特に初見の投手と当たることが多い高校野球では見抜くのが難しいですがわかれば大きな武器となります。
投手のセットポジションをベンチ入りメンバー全員で観察し、何か特徴はないか?探っていきます。

≪盗塁の気配を出さない(不意をつく)≫
2塁走者は、盗塁を狙っていないときは相手バッテリーを揺さぶるようリードを大きく取る・偽走する 等したほうが良いですが、盗塁を狙っているときは警戒されないよう逆に揺さぶりをせず、気配は出さない状態から仕掛けると成功の確率が高くなります。

≪打者の盗塁補助も有効≫
盗塁をより確実に成功させるため、打者が補助を入れるもの良い方法です。一般的な例としては”セーフティーバントをするふりをする”補助になります。
● 投手が投げ始めるタイミングで
   打者は、セーフティバントの構えをする。
       (通常のタイミングか通常より一瞬早め くらい
                  本当にするかのように演技する)
   走者は、第2リードを取るようにシャッフルしてからスタート。
       (セーフティバントの構えより一瞬遅め くらい
               早いと三塁手がベースに入ってしまう)
   これにより、三塁手はセーフティバントを処理するため、
      数歩前進する(2塁走者がおり、思い切った前進はしない)。
● 投球が打者のところまできたタイミングで
   打者は、ギリギリでバットを引くか空振りをする。
   走者は、そのまま3塁に向かって盗塁する。
   三塁手はすでに前進していたため、
               戻りながら3塁送球を受けることになる。
● 三塁手の捕球・タッチの動きが通常よりも遅れてしまうため、
       2塁走者のスタートが遅めでも、盗塁成功の確率が高くなる。
この補助を入れ盗塁を成功させるためには、
 ○ 相手投手の2塁牽制が上手でない
        ⇒ 2塁走者が第1リードを大きめにとれる
            (スタートの遅れをカバーすることができる)
 ○ 三塁手の打球への反応・前進が早い
        ⇒ セーフティバントの構えをしたとき前に出やすい
                      (ひっかかりやすい)
ことを事前に確認しておくと良いです。

◉ 進塁打(右打ち)

2塁走者は、打球が右方向へのゴロであれば基本3塁進塁が出来ます。そのため、どうしても2塁走者を進塁させたいときは打者は意図的に右方向にゴロを打ちます(進塁打)。

≪(右打者の場合)アウトコースを狙う≫
右方向にゴロを打つには右打者の場合アウトコースが打ちやすいので、そこを狙います(球種は絞らなくてOK)。
逆に左打者の場合はインコース狙いとなりますが、コースでなく遅い変化球(カーブ等)を強引に引っ張って引っ掛け気味の打球を打つ狙い方も有効です。
≪できれば安打にし1・3塁を作る≫
進塁打はそれ自体がベストな結果というわけではなく、できれば打者も生きるよう安打にしたいところです。
右方向を狙う際には、一二塁間に安打を打って1・3塁の状況を作ることをイメージし打席に入ると良いです。その上で結果右方向のゴロ・進塁打であれば最低限の仕事はOKとなります。
≪相手の警戒が強い場合≫
相手バッテリーが右方向へゴロを打たれることを警戒し、インコース中心に配球してくることも十分想定されます。
右方向に打てそうな球が来なさそうであれば無理に打とうとするのではなく、思い切り引っ張って打ちに行っても構いません。

走者3塁 のケース

◉ スクイズ

スクイズはどうしても1点が欲しい場面で使用する戦術で、特に負けが許されないトーナメント戦では非常に有効です。
ただし相手も当然警戒し投球の際ウエストボール(外す)を投げてくることもあるため、どのタイミングでスクイズを行なうか?判断が非常に難しいです。
また、失敗すると試合の流れを大きく失う可能性もあるリスクが高い戦術でもあります。

≪サインが出ても通常通り≫
スクイズは上記のようにリスクの高い作戦のため、サインが出ると打者・走者ともに緊張感が高まり、それが表情・動きに出てしまうことがあります。このような変化は相手(特に捕手)も敏感に察知するため、スクイズであることを見破られてしまいます。
打者・走者だけでなくベンチ含め全員が表情に出さず通常通りでいることを心掛けます。また、
   打者は、バントに構える動作を速くするためグリップを下げる
   走者は、リードを大きく取り過ぎる
動きにならないよう注意が必要です。あくまでも”通常通り”で投手の投球を待ちます。
≪(打者)バントの構えはギリギリまで遅らせる≫
スクイズしようとバントに構える際、早く構えすぎると投手がボールを離す前にスクイズに気づきとっさにウエストボール(外す)を投げてくる可能性があります。
せっかく仕掛けたスクイズが失敗することがないよう、バントの構えはギリギリまで遅くするようにします。目安は、投手がテイクバックを終えてトップを作る辺り(肘が90度になるところ)から構えるイメージです。素早くバントの構えをするのでどうしても体に力が入ってしまいますが、できる限りリラックスし体の力を抜いて構えます。
≪(走者)スタートのタイミングは早すぎないよう≫
走者のスタートも打者の構え同様、スタートが早すぎるためにとっさに外されないよう注意が必要です。特に右投手は走者の動きがハッキリ見えるほうを向いております。
スタートの目安は、投手が本塁方向にステップしたときになります。このタイミングでは、投手はすでに打者に集中している状態のため問題ないです。打者がバントの構えを始めるタイミングよりは若干早めです。
どんなボールでも必ずバットに当てる フライを上げない
スクイズは3塁走者がスタートするため、打者は投球を見逃すことあ絶対にあってはいけません。必ずバットに当てるようにします。ウエストボール(外す)を投げられた場合は飛びついてでも何とか当てにいきます。ファールになればOKです。
次に注意するのはフライを上げないようことです。3塁走者が戻り切れず併殺になる確率が高くなります。特に投球が高めにきたときはフライになりやすいです。目線以上の高さのボールのときは、バットを立て気味にしてバントをします。
≪真正面以外に転がす≫
バットに当てる・フライを上げない の次に考えるべきことをバントを転がす場所になります。
バントの構えをギリギリまで遅くするため、打球の強さを調節するのはなかなか難しいです(そこまで余裕を持ってバントができない)。そこで出来る限りアウトになりにくい方向に転がすことを意識すると良いです。
転がす方向は”投手の真正面以外”になります。打者から近い投手は通常の送りバント同様前進してきますが、一塁手・三塁手通常の送りバントと違い前進のスタートが遅くなります。投手真正面を避け少しでも左右に転がせば、ギリギリを狙わなくてもスクイズはほぼ成功させることができます。

◉ 犠牲フライ

NPB・MLBと違い、高校野球では犠牲フライを打つのは簡単にはできません。フライを狙って打った結果、内野フライ・浅いフライでは1アウトをあげるだけになってしまいます。
もしサインや指示により犠牲フライをねらうことになった場合は、以下のポイントを意識して打ちに行くと良いです。
≪高めを狙って強く打つ≫
フライを上げるためには高めに来たボールを狙ったほうが良いです。狙うボールとして高めのコースに張っておきます。
ただし、犠牲フライは外野へある程度の飛距離を飛ばす必要があるため、打球に強さが必要になります。あくまでヒットを狙うような強い打球を打つように(加減せず)バットを振りにいきます。
≪引きつけて打つ≫
強い打球を打とうとすると力が入ってしまい、手首をコネる・引っ掛ける等の打撃になってしまいがちです。これではフライが上がりません。
犠牲フライはどの方向に飛んでも構わないので、出来る限りボールを引きつけて打つイメージでバットを振ると良いです。

◉ 内野ゴロで”ゴロゴー”

走者が3塁のときに打者が避けるべき打撃は”内野フライ”・”浅い外野フライ”・”三振”になります。内野ゴロは状況により3塁走者がスタート本塁生還できる可能性もあるので、事前に内野ゴロのときには”ゴー”なのか?”ストップ”なのか?ベンチの指示を徹底する必要があります。
内野ゴロで本塁生還できるかどうか?は相手守備陣の守備体形により決まっていきます。
前進守備をしていない
0アウト・1アウトのときに相手守備陣が前進守備をしていないときは、”仮に内野ゴロでも1塁でアウト。1点は与えてもOK”というチームの意思表示になります(点差が開いている・試合序盤だとこの守備体形が多い)。
そのような場合は内野ゴロ=1点がほぼ決まってくるので、打者は”内野ゴロでOK”という気持ちで打席に入ると良いです。
前進守備のときの狙い方
前進守備を取ってきたときは内野ゴロで本塁生還が難しくなりますが、逆にヒットゾーンが広がっているため強いゴロを打てばヒットになりやすいです。しっかりミートし、強いゴロを打つことを心がけます。

※ ヒットエンドラン

スクイズは   3塁走者スタート・打者はバント   ですが、同じ考え方で   3塁走者スタート・打者はヒッティング(ゴロを打つ)   のがヒットエンドランの考え方になります。   
当然スクイズ同様のリスクが伴うため、打者は 空振りできない(必ずバットに当てる)・フライやライナーは打てない というプレッシャーの中で打つようになります。走者よりも打者に厚い信頼がないと取りにくい戦術です。
上から叩いてゴロを打つ
内野ゴロを打つときは、上から叩いて大きなバウンドの打球にすることがポイントになります。
大きなバウンドになれば打球を守備側が捕球するまでの時間が長くなり、その分3塁走者の本塁生還の確率を高くすることができるためです。

※ セーフティーバント(2アウト時)

2アウト3塁のケースでは、守備陣はスクイズをされる可能性がないためバントに対する警戒心が薄れ、逆にヒットを警戒し通常位置より若干深めになることがあります。
三塁手も3塁ベースにつかずベースより後ろに位置取ることが多いため、セーフティーバントが決まる確率が高くなります。

≪選手の判断で行なったほうが良い≫
一般的に2アウト3塁の状況でベンチからのサインを出すことはほとんどないため、ここでサインを出していると相手守備陣が”何かある…”と警戒してしまいセーフティーバントの成功率が下がってしまうため、実行は打者の判断で行なう形のほうが良いです。打者に鋭い観察力・判断力を求められる戦術になります。
もしベンチからサインを出すときはブロックサインでないあっさりとしたサイン(フラッシュサイン等)にし、相手守備に気づかれないうちに伝達できるようにしておきます。
≪三塁側に転がす≫
上記のように三塁手は守備位置を取るため、三塁側(ライン近くを狙う)へ転がすようにバントをすると良いです。
もし三塁手の守備位置があまり深くない場合は、プッシュバント気味に一二塁間に転がす方法もあります。相手守備陣を見てよりセーフになりやすい方向を狙うと良いです。

※ ホームスチール(盗塁)

通常の盗塁と同様のタイミングでスタートしても成功する可能性はほとんどないので、相手守備陣のスキをついて仕掛ける必要があります。
≪投手の警戒が薄い≫
セットポジションが苦手な投手は、走者が3塁のときにワインドアップ・ノーワインドアップで投げることがあります。ワインドアップ・ノーワイドアップに入るとそこからけん制球を投げることは出来ないため、2ステップほどシャッフルし本塁に向かってスタートします。
この場合、投手が慌てて投球が乱したり投球動作を中止しボークになるケースもあります。
≪捕手の警戒が薄い≫
捕手が3塁走者を警戒していないと、投手への返球時3塁走者の動きを見ずに山なりの送球で返球することがあります。このときはホームスチールのチャンスなので、第2リードを通常より大きく取り捕手が返球をしようとしたタイミングでスタートします。
返球を受けた投手が慌てて捕手に投げるため送球が乱れる可能性も十分考えられます。


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