マガジン

  • セオリーの検証

  • Rで野球データを分析する

  • トラッキングデータから分析した打ちにくいボール(球種)の分析

    MLBで公開されているトラッキングデータを用いて球種ごとにどんな球速・変化量でボールを投げると有効なのかについて検証します。

  • 打者

  • 外国人選手

最近の記事

  • 固定された記事

MLBで流行の球種、スイーパーとは

MLBでは現在、スイーパーと呼ばれる球種が流行している。流行の背景や球種の有効性などを調査した。 スイーパーとは スイーパーとはスライダーの一種で、横曲がりが大きく、沈まず、ある程度球速のあるものを言う。ドライブラインのアナリストであるChris Langin、Lance Brozdowskiの話を合わせると、スイーパーは128キロ以上の球速で、少なくとも25cm以上横に曲がり、縦の変化が-10cm以上(10cm以上沈まない)のボールと定義されるようだ。難しいように感じられ

    • データ見る佐々木朗希の凄さ

      今年のサイヤング賞、沢村賞の発表も終わりました。賞は記者の投票で決まるものであって、球界最高投手が誰であるかは人それぞれであると思います。 そんなわけで私が個人的に球界最高投手と思うのは佐々木朗希です。それも、NPBだけとかではなく現時点でも世界でナンバーワンなんじゃないかとすら思ってます。セイバーメトリクスの指標やデータでその根拠を見てきます。 セイバー指標で佐々木朗希を見る佐々木朗希はとにかく成績が傑出しています。そんなことは知っている、と思う方もいるとも思いますがさ

      • 空振り率の高い高速カーブ、"death pitch"

         メジャーリーガー、Andre Pallanteがアメリカの野球ジム、Tread Athleticsで"death ball"と呼ばれる球種を練習中で話題になっています。どのようなボールなのかをこのnoteで考察していきます。 "death ball"は高速の縦カーブ?"deatch ball"とこれまでのカーブ(左)を比較すると これまでのカーブはスピン量が多く縦の落差、横の変化量共に大きなものでした。球速は122キロと遅く、回転数も2920と非常に多いです。 新しい

        • 2008年以降ドラフトの考察(投手編)

          ドラフトについてのデータをまとめたtableauを作りました。これを使って色々考察します。 経歴と順位、ポジション別で集計投手よりチームの核となる野手を1位指名するべき、大卒投手は安定しているがスターが出ないので高卒を取るべき、などドラフト評論では色々言われますが実際どうなのかをざっくり検証します。 投手高卒投手は1位以外差がつかない? 高卒投手の順位別スタッツを集計します。100IP(投球回)到達者は順位に応じて右肩下がりになります。実戦で使える投手の比率や、使ってみ

        • 固定された記事

        MLBで流行の球種、スイーパーとは

        マガジン

        • セオリーの検証
          23本
        • Rで野球データを分析する
          5本
        • トラッキングデータから分析した打ちにくいボール(球種)の分析
          24本
        • 打者
          11本
        • 外国人選手
          15本
        • 変化球
          28本

        記事

          慣れない守備位置は打撃成績に影響を与えるか

          「守備位置を固定すれば打撃に集中できる?」今年の岡田阪神に代表されるように「ポジションを固定することは打撃に良い影響をもたらす」といったことはよく聞かれます。 しかし、実際そのような傾向はあるのでしょうか。 検証(メインとサブ、どちらが成績が良い?)1.02 Essence of Baseballには「各守備位置に就いたときの打撃成績」のデータがあります。 これを用いて以下の処理を行います。 1.各年度、各選手の守備位置別打席数を調べ最も出場した守備位置を「メイン守備

          慣れない守備位置は打撃成績に影響を与えるか

          回内・回外に応じたピッチデザイン

          ネットに書いてあることをまとめただけの記事です。 回外(Supination)・回内(Pronation)手のひら上が向くように腕がひねられるのがSupination。 手のひらが下を向くように腕がひねられるのがPronation。 フォーシームの速球(ストレート)を投げるときに最初から内側に入る投手はPronator、外側に一度入るような動作をすることで自然とカットするような動作をする投手がSupinator。 回内・回外の確認方法ハイスピードカメラでリリースを確認

          回内・回外に応じたピッチデザイン

          コンバートは打撃成績に影響を与える?

          守備の負担は打撃成績に影響を与える、とは言われますが実際どうでしょうか?大雑把に検証します。 コンバートした際の打撃成績を集計まずNPB STATSで2000年以降の各選手のシーズン打撃成績を集計します。 年をまたいでメインポジションを変更した選手について以下のような計算を行います。 結果結果としてみるとwOBAが10ポイント以上変動した組み合わせは 二塁手→遊撃手(10ポイントアップ) 三塁手→一塁手(14ポイントダウン) 中堅手→右翼手(10ポイントアップ) それ以

          コンバートは打撃成績に影響を与える?

          Hard Hit%(ハードヒット率)はなぜ95マイル(153km/h)?

          日本語での説明が意外になかったので。 ハードヒット率とはハードヒット率とは打球に占める打球速度95MPH(153km/h)以上の打球割合です。計算式はこのようになります。 この指標はMLBの公式データサイト、Baseball Savantでも扱われています。 また、最近ではSIS(Sports Info Solution)社がNPBでのHard Hit%をTwitter(X)で時々紹介してくれています。 (今季のNPBでは中日の細川成也選手がトップを維持し続けています

          Hard Hit%(ハードヒット率)はなぜ95マイル(153km/h)?

          プロ野球、"2年目"に成長した選手

          1年目が終了した時点で1年目を振り返る、ってのはよくある印象だけど2年目ってあまりない気がする。 というわけで2023年のここまでのプロ野球2年目で成長した野手をピックアップして振り返ります。 見ていく指標二軍→一軍の成績変化は以下のnoteが参考になります。 基本的に多くの指標で一貫性がないですが三振(K%)やISO(長打)は維持されやすいです。 梶原 昂希昨季よりOPSが大きく上昇。これはBABIPが上昇した影響が大きい。 大学時代から三振率が非常に高い割になぜか打率

          プロ野球、"2年目"に成長した選手

          意外に重要?先発6枚目以降の投手

          日本のプロ野球の先発投手を語る時、基本的にはローテーションを回る登板数上位6名に注目されがちです。例えば中日と阪神はこんな感じ。 この2球団はどちらも非常に強力な先発ローテーションです。イニングで中日のが30イニングほど多いとはいえどちらも強力な6枚が揃っています。 しかしチーム全体で見ると阪神が大きくリードします。 両者の差は上位先発6枚以外の投手の貢献値の違いです。 中日は7枚目以降の先発は119イニングで-11.7と大きな損失を出しています。 一方、阪神の7枚目以

          意外に重要?先発6枚目以降の投手

          投球のテンポは援護に影響を与えるのか

           投球のテンポについてMLBでは2023年に大きな変化があった。ピッチクロックの導入だ。試合時間が30分近く短縮されるなど時短への影響は凄まじいようだ。  Baseball Savantではピッチクロック導入にあたって2022年にはPitch Tempoが公開されるようになった。  投球のテンポについて日本では昔からある説が囁かれている。それは「投球のテンポが打線の援護に影響を与えるのではないか」というものだ。投球のテンポが良い投手は野手の集中力を切らさない効果があるなど

          投球のテンポは援護に影響を与えるのか

          星知弥、坂本光士郎の行った韓国のSSTCとは?

          今年から球速を大きく上昇させた星と坂本ヤクルトの星知弥が今年に入ってから球速を大幅に上昇させている。 オープン戦で最速154キロを計測するなど周囲を驚かせ、シーズンに入ってからも安定して球速を出せている。 昨季のストレートの平均球速は145.8キロだったが、今季の平均は152.3キロ。7キロ近い球速アップをしている。 (データ出典:1.02 Essence of Baseball 閲覧日 2023/4/3)  星がオープン戦で球速を大きく上昇させた時期、ある動画がTw

          星知弥、坂本光士郎の行った韓国のSSTCとは?

          Rで野球のデータを分析してみよう5(フレーミング得点を算出)

          この記事は一連の記事を読んでることを前提としたものです。そのため、まだ未読の方はそちらを読んでから読むことをお勧めします。 フレーミングとはフレーミングとは捕手が捕球によって球審にストライクを多くコールさせる技術のことを指します。野球のルール上、ストライクゾーンは定義されているものの、実際にストライクかボールかを判断するのは球審に任せられています。球審がどのようなジャッジを下すかについては、捕手だけでなく投手や球審ごとの癖といった多くの要素が絡むと思われますが、捕手による影

          Rで野球のデータを分析してみよう5(フレーミング得点を算出)

          Rで野球のデータを分析してみよう 4(ストレートを再定義して指標を算出)

          この記事は一連の記事を読んでることを前提としたものです。そのため、まだ未読の方はそちらを読んでから読むことをお勧めします。 ストレートを再定義する今回はストレート(フォーシーム)を再定義します。 一言にストレートと言っても伸びるストレート、沈むストレートなど色々あります。それらを球種別特徴で再定義したうえで、各種指標を算出しそれぞれのストレートの特徴を見ていきます。 MLB平均ストレートの球質を調査再定義するにはまずMLBの平均的なストレートの球質を知ることが必要になりま

          Rで野球のデータを分析してみよう 4(ストレートを再定義して指標を算出)

          Rで野球のデータを分析してみよう 3(打球の速度と角度の価値を算出)

          前準備とりあえず上記を参考に2022年のStatcastデータを集めておきます。 上記の記事は読んだことを前提で進めます。上記の記事で既に説明した関数の詳しい説明はしません。 打球の速度や角度別の価値とは?今回は打球の速度と角度別の価値を出していきます。 statcastには以下の列があります。 これらを一定の値で区切ることで打球価値を算出します。 下準備まず下準備。 #statcast2022のデータをdfに入れるdf <- read.csv("statcast2

          Rで野球のデータを分析してみよう 3(打球の速度と角度の価値を算出)

          Rで野球のデータを分析してみよう 2(Statcast2022のフルデータを取ってくる)

          ぶっちゃけやり方はこの動画を見れば十分です。とはいえ英語ようわからんって人向けに日本語でも書いてみます。 今回はここに書いてあることを2022年verにしたものをひたすら書くだけです。英語わかるならそちらで十分。 devtoolsをインストールまずはRにdevtoolsをインストールします。以下のコードを実行します。 install.packages('devtools') devtoolsはgithubからパッケージをインストールするためのものみたいな解釈でOK

          Rで野球のデータを分析してみよう 2(Statcast2022のフルデータを取ってくる)