空振り率の高い高速カーブ、"death pitch"
メジャーリーガー、Andre Pallanteがアメリカの野球ジム、Tread Athleticsで"death ball"と呼ばれる球種を練習中で話題になっています。どのようなボールなのかをこのnoteで考察していきます。
"death ball"は高速の縦カーブ?
"deatch ball"とこれまでのカーブ(左)を比較すると
これまでのカーブはスピン量が多く縦の落差、横の変化量共に大きなものでした。球速は122キロと遅く、回転数も2920と非常に多いです。
新しいカーブ("death ball")は球速が133キロと速く、縦変化は-16cmと落差がやや小さく、横にはほとんど変化しません。Total Spinも少ないです。
今までのカーブらしい"カーブ"に比べると"death pitch"は縦のスライダーに近いかもしれません。
ブレーブスの投手開発スタッフが"death pitch"と呼んでいるもの
過去にDavid Laurilaがfangraphsに投稿したSpencer Strider投手とのインタビュー記事を見てみましょう。ブレーブスの投手開発チームが"deatch pitch"の存在を指摘しています。 それによると"death pitch"とは
高速でかつ落差の大きいカーブのようです。この特徴はPallanteが開発中の球種の特徴と一致します。
"death pitch"は高い空振り率を期待できる球種
上記のインタビューでも言及されていますが、"death pitch"は打者にコンタクトを許さない球種のようです。実際にどの程度空振りを期待できるでしょうか。
上記の画像は過去にCammeron Groveが自身のサイト上で公開していたPitching Bot(機械学習を用いて球質や制球を評価付けるもの)です。
スライダーについて球速と縦変化でxWhiff%(期待される空振り/スイング)を算出すると40%を超えます。通常のスライダーが30%前後、カーブが25%前後なことを考えるとこの"death pitch"は非常に高い空振り率を記録する変化球と言えそうです。
投げ方
ここからは投げ方を考察します。
握り
まず上記動画にもありますが、スパイク(人差し指を立てる)のが特徴です。ナックルカーブと呼ばれるものに近いです。
リリース
リリースについてですが、手の平の向きが違うかもしれません。
通常のカーブは強い回転と変化をつけ、球速を落とすために、右投手なら手の平を一塁側に向けます。(画像左)
death pitchの場合は変化が小さくてもいいから速度を出すために、手の平を捕手側に向けたままにします。
リリース映像を比較すると
・通常のカーブは中指は付け根の一部が見えるだけです。
これは手の平を一塁側に少し向けているからだと思われます。
・death pitchは中指の全体が見えています。
これは手の平を捕手側に向けているからだと思われます。
他の投手の通常のナックルカーブとpallante以外にスパイクグリップを使って"death pitch"を投げている投手を見てもこれは共通しているようです。
イメージとしてはスパイクカーブの握りでフォーシーム(ストレート)を投げる、が近いかもしれません。リリースで操作しなくても立てた人差し指が軸を勝手に作り、勝手に変化を生み出すという感じで。
通常のナックルカーブ(中指が一部しか見えない)
"death pitch" (中指の大部分が見えている)
Jose Ruiz
Luke Jackson
James Karinchak