プロ野球、"2年目"に成長した選手
1年目が終了した時点で1年目を振り返る、ってのはよくある印象だけど2年目ってあまりない気がする。
というわけで2023年のここまでのプロ野球2年目で成長した野手をピックアップして振り返ります。
見ていく指標
二軍→一軍の成績変化は以下のnoteが参考になります。
基本的に多くの指標で一貫性がないですが三振(K%)やISO(長打)は維持されやすいです。
梶原 昂希
昨季よりOPSが大きく上昇。これはBABIPが上昇した影響が大きい。
大学時代から三振率が非常に高い割になぜか打率は高い(≒BABIPが極端に高い)選手だったがプロでも同様の傾向。
ここまで高いと打球速度が速かったり、打球角度がタイト(極端に確度の低いゴロやポップフライが少ない)など何かしらの要因があるのかもしれない。
ブライト 健太
個人的に2年目で最も急成長したと思う選手。
1年目のOPS.600はドラフト1位の大卒選手と考えるとかなり厳しい数字だった。だが今季はOPS.960とファームとはいえ破格の数字を残している。
打席内容で見ても1年目の超高三振率(28.1%)をリーグ平均よりやや多い(21.1%)程度に減らすなど急成長。それ以上に驚きなのが、ISO(純粋な長打力を図る指標)を.106→.250と大きく上昇させていることだ。
コンタクトと長打は表裏一体で当てに行くと長打力が落ち、長打を狙うとコンタクトが低下するものと思われる。ただブライトはコンタクトを良化させつつ長打を増やしている。これは驚くべきことだ。
ただ一軍ではK%が29%とまだ一軍レベルの投球には苦労している。
まだ適応に時間はかかるかもしれないが打席での精度が上がれば、将来的に他球団にアドバンテージを築ける可能性のある選手。
岡田 悠希
前年のOPS.697から.852と大きく数字を伸ばした。
三振率は24%台と高いままだが四球率、BABIP、ISOが向上した。
BABIPについてはブレの大きい指標ではあるもののISOが.200近いのは好材料。
岡田が優れているのは長打を生かした打撃だけでなく、高い身体能力を活かした守備力だ。
ファームレベルではライトでは守備指標が良くないもののセンターでは高い守備指標を記録している。成功のイメージとしては三振が多いものの長打である程度の打撃成績を記録し守備で貢献を稼いだ陽岱鋼や大田泰示か。
小森航太郎
1年目は40打席とはいえ三振率32.5%とアプローチ面でかなり厳しい数字だった。
今季は積極スイングの導入とコンタクト能力の上昇で三振率を21.8%と平均よりやや多い程度に低下させた。
OPS.776は高卒2年目の選手にしては好調だが、特に良いのがISO。.208と長打力がかなり高い。三振を減らしつつ長打を伸ばせたことは良い傾向。
身長が172cmと大きくないのにこれだけ長打を打てるのは驚きだ。
打撃面はここまで好調だがファームで主に守っている遊撃守備は指標が低調。俊足と評判の選手だがRngR(守備範囲)の数字がかなり悪い。まだプロの打球に対応できてないだけで伸びしろを残している可能性もあるが将来的にはコンバートの可能性あり?
ISO.208の長打力を維持できればコーナーでも通用すると考えられる。また俊足ではあるので他ポジションなら守備範囲の数字も改善する可能性あり?
打撃も気になるがどこを守るのか、といったことにも注目したい選手。
野口智哉
1年目のOPS.758という数字は大卒1年目のセンターラインを守る選手としては悪くない数字だった。だが2年目の今季はOPS1.002と驚異的な数字。
これはBABIPの上昇も大きく影響しているがISOの大幅な上昇(.142→.242)の影響も大きい。BB%は減ったがK%も大きく減らしており、打球の価値が元々高いことを考えるとインプレーを増やすアプローチも悪くない。
一軍レベルでは三振率が28%近くを記録するなど苦戦している。しかしISO.168とセンターラインの選手にしては高い長打力を持っているため打撃の貢献は現時点でも悪くない。今後、一軍レベルの投球に慣れて長打を減らすことなく三振を減らせれば他球団にアドバンテージを築ける強打のセンターラインの選手になりうる。
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