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【どうする家康】石川数正は殿をナメてる?出奔フラグ?ドラマでカットされた“ろくでもない公家”とは。第11回「信玄との密約」もっと深掘り

NHK大河ドラマ『どうする家康』(以下、『どう康』)第11回のもっと深掘り感想です。
(※本記事は一部有料です。ドラマレビュー箇所はすべて無料でご覧いただけます)
前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)
(※本記事のセリフの引用箇所は一部ノベライズに準拠しており、ドラマのセリフとは異なる場合がございます)

徳川改名と三河守の叙任。家康はガチで源氏の末流だったのか?

今週3本目の『どう康』レビューです。今回は序盤で家康の徳川改名と三河守叙任が描かれていましたね。歴史初心者の方は「小ネタ的な?なんかよくわかんない」としてスルーされてたんじゃないかと思いますけど……意外と重要なシーンだったりします。

そもそも家康くん、今までは岡崎城のお殿様ではあったんですけど、彼が治める三河という国には、吉良やら大草松平やらといった別の勢力も台頭したりしてましたよね。三河っていうちっちゃい国の中でもずーっと争いが起きてたのですが。

それが第9回で一揆を鎮圧。さらには東三河に残っていた今川勢力も追い払って、ようやく三河を統一。第10回では左衛門尉も「東三河の旗頭」なんて言われていました。たぶん吉田城を攻略して城持ちになっているっていう話も前回のレビューに書いていましたね。

ただ三河を統一したって言っても、このままだと家康くん、ただの「お山の大将」みたいな感じです。

「あの家康とかいう若い殿様、近所のいろんな強いお武家さんたちを倒して、自分が三河のNo.1だとか勝手に言ってるけど」「なんであんな若い人に従わなきゃいけないの?勝手すぎない?」「ほんじゃあ、ワシがいっちょ懲らしめてやらぁ。そしたらワシが三河のトップじゃあ」とか、またわけのわからん連中から謀反を起こされんとも限らないわけです。

そこで、名実共に家康くんが三河のトップだよ~っていうことを示すために、都から認めてもらわなくちゃいけない。それが「国司」であり、三河の場合は「三河守(みかわのかみ)」と呼ばれる役職なんですが。こちら他のメディアでは、「現代で言うところの県知事」と紹介しているところもあったりします。

ただこの役職に就くためには、家柄も大事なんですよね。昨年の『鎌倉殿の13人』で三河守を務めていたのは、蒲殿(かばどの)こと、源範頼(みなもとののりより)でした。源頼朝の異母弟であり、まさに源氏の姓を持つ、家柄も立派な武士です。

だから今回、左衛門尉も「殿は、源氏の末流!何が何でも!」と、めちゃめちゃ家柄にこだわってたんですね。

と言ってもこの時代、家系を詐称することはたびたびあったようで……大樹寺のお坊さんたちといろいろ家系図を引っ掻き回したりして、なんとか源氏の流れをくむと言われる「世良田」やら「得川」やらといった姓にたどりつくことができたんですけど。そもそも家康くんの祖父の松平清康公だって、「世良田」という姓は勝手に名乗っていたようで。

「言ってよいのではないかと思わんでもない」という登譽上人の曖昧なセリフにだいぶ「怪しさ」も感じましたけど、まぁその清康公はとっくに死んじゃってますし、本人に確認も取れません。とにかく家系図さえ証拠として出せればOKと言いますか……まぁ戸籍とかもない時代だもんね。ザルなのよ。

家康は、公家の誰に金を払ったのか?本当に毎年300貫も出せたのか?

ただ、いきなり「源氏の末流だから三河守になりました!」なんて名乗るわけにもいかない。そこまでの勝手が許される時代でもないです。三河守を叙任されるにはお金もかかりました。しかも仲介してくれるお公家さまに、毎年300貫(約3,000万円)と馬一頭も払わなきゃいけないという。

その払った先のお公家さまというのが、ドラマではカットされていましたが、近衛前久(このえさきひさ)という人物。なんか聞いたことあるな……って思ったら、『麒麟がくる』でも出てたじゃん。本郷奏多さんが演じてたキャラだよ!

そして藤原氏のトップの前久だから、あんなに「源氏の末流」と騒いでたのに、最終的に「藤原」と付いていたのもナルホドという展開だったのです。

前久たちはある旧記からある系図を“発見”します。その系図によると、家康の家柄は源氏であるが、その中に藤原氏になったものがいる、として由緒があるところに系図をつなげていきます。そうして由緒を形成し、また藤原氏のトップである前久が推薦しやすくしたのでしょう。

# 12 徳川三河守家康に「源氏の末流じゃ!」│ステラnet

前久、残念ながら今回のドラマでは出てきませんでした。それどころか名前も出てこず、石川数正からは「ろくでもない公家」扱い!

まぁ、その方が初心者の方は整理しやすかったところもあるとは思いますが。大河ファンの我々はここで、まんま前の大河のキャストのイメージで、本郷奏多さんに松本潤さんがカネ払ってるところを想像したりしてニヤニヤしていましたね……オタク、きしょいなぁw(←自分に言ってる)

ちなみにここのお金もドラマでは「なんだかんだ、三百払った……あと、馬も」なんて言ってましたが、実際には払っていないという話も……。

前久には、百貫文を献上したうえで、毎年銭三貫文と馬一疋が献上されるとの約束であった。しかし、百貫文どころか、実際には二十貫文が進上されただけだったという。馬も随時、献呈されたようだが、年が経つにつれて、徐々になくなっていったようだ。

源氏になりたかったのに藤原氏に…「どうする家康?」│WANI BOOKS News Crunch

それでも「源氏の末流」であり、「三河守」ですよ。とうに父も祖父をも超える地位へと成り上がりました。これでもうただのヘタレとは言わせない!

信玄に比べて家康をだいぶ格下に見積もった数正。殿を舐めすぎなのか、それともフラグ?

ただ、ですよ。左衛門尉、信玄とその格の差を比べるときには、信玄を肩の高さ、殿を腰の高さに見積もっていました。でも、これは仕方ない……「源氏の末流」と言ったって、「言ってよいのではないかと思わんでもない」レベルのだいぶアヤしい話です。

一方で武田信玄と言えば、甲斐源氏の流れを組む、「誰がどう見ても立派な源氏の家系」。そう言えば『鎌倉殿の13人』でも、序盤の方で武田信義(演:八嶋智人)なる武将がでていましたね。まさしく彼の子孫なわけです。

それと比べてしまっては、さすがに左衛門尉の言い分もわからんでもない……と思いきや、石川数正は左衛門尉の手をつかみ、殿を太ももの高さまで下げさせていました。

って、数正、殿をナメてんの?家臣だろ⁉……と、SNSでの感想を拝見していると、ここで将来、数正が家臣団から出奔するフラグだと思われた方もいらっしゃったようですが。

それを言うなら第1回から、殿が大高城を一人抜け出したときから数正、「逃げおったかー!」なんて叫んでたんですよね。殿に向かってそんな言葉遣いします?当時はまだキャラも把握できてなかったので、松重さん、敵役か?なんて僕も勘違いして見ていたほどですけど。

要はここも、左衛門尉は年上ながらも、ちゃんと殿のことは慕っている。一方で数正は、殿とはいえまだまだ若造と見ているところはあるような気がします。そもそも、駿府で殿と共に過ごしてきたのは数正の方ですから。ドラマでは割愛されていましたけど、ノベライズでは殿と瀬名の幼き日の逢瀬を数正がこっそり見ていた、なんてシーンも描かれていました。

そしてそんな数正から言われたら、殿も「えぇぇ……」なんて不満の声は漏らすものの、「無礼であるぞ数正!」なんてブチ切れたりはしないわけです。第9回で、鳥居忠吉の爺さんが寝室に入ってきたときは「ぶ、無礼者!」と怒鳴りつけてた殿がですよ……まぁ、あれとは少し緊迫度が違うというのもあるのでしょうけど。

にしても数正、ずっとしかめっ面だよね。武田臣下の山県昌景、穴山信君と対面した時には、一人だけ何か食ってたし。今回、唯一笑っていたのは、「私もヤマトタケルの末流かもしれん」なんて大樹寺で言ってたときですけど。冗談と言いますか、ヤマトタケルなんて『日本書紀』の時代ですから、そこまで辿ったら皆何かしらつながっとるだろうよと思わんでもないような話です。

そして数正、えびすくいもやらんのよ……平八郎だってやってるのにさ。しかも平八郎、今回は目隠しをして、「どこじゃ!殿、どこじゃ!」なんて言って必死に探してましたね。ツンデレの平八郎に、ただのツンの数正だな。

今後も、数正のツンな態度に期待ですかね……。

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