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天使と悪魔のシネマ

今年の夏は本当に異常な暑さが続きました。その余韻は残っているけれど、季節は移ろい、台風の季節へとやってきました。台風10号は、どれくらい被害が出るのか心配です。

8月も終わりに近づいて、まだ暑さが残るのでこの作品を読んでみました。

結婚を控えた地下鉄の運転士、酔って駅のホームに立つDV男、仕事を辞め恋人も失った無職の若者……狙いをつけた人間の行動に絶妙なタイミングで介入し、運命の調整をはかる天使と悪魔。関りがないように見えていた登場人物たちを背後で接近させ、より合わせ、人間たちが気づいていないもうひとつのドラマを浮かび上がらせていく――。怖いのにちょっと笑ってしまう運命の舞台裏、天使と悪魔がつむぐ「ふつうの人たち」の物語。

Amazon内容紹介

この物語にはいろんな人物が登場する。みんな明日があると思って生きているが、天使や悪魔から見ればそうではない。運命の岐路に立っているとも知らず、彼らが次の一歩を歩みだすとき、天使と悪魔は現場に急行するのだ。独立した読み心地をそなえる10話からなるこの小説は、進むにつれ、遠くにいた人間が近づき、裏が表になって、物語は新たな相貌をあらわす。なぜなら、これは天使と悪魔がつむぐ物語だから。日常なのに異界、温かいのに容赦ない。2019年本屋大賞2位のベストセラー『ひと』とはまた違った味わい、小野寺史宜の新たな傑作エンタテインメント小説。

帯の紹介文


紹介に書かれている「ひと」は私も好きだった作品です。その著者が傾向の違った作品を書いているのを知って手に取りました。

印象的だった短編は2編

わたし(悪魔)の世界には、三回ルールが存在する。早死にすることが決まっていた人間が三回死ななかったらもう早死にしない、といったルールだ。

「悪魔と園田深」p66

そして今守宮(ヤモリ)に守られた。(中略)僕は守宮くんに守られ、背中を押されたのだ。立て直せと。やけに晴れ晴れとした気持ちで、そんなことを思う。目の前でアパートにトラックが突っ込んだばかりだというのに。

「今宵守宮くんと」p99

物語は理路整然値していますが、どこか暗く、影があり、背中がゾクゾクっとするものばかりです。そんな物語をあの暗い映画館で見ているのだと表現した題名は、さすがだなと思います。

10編の短編集、好みの作品、これはどうかなという作品、読む時間、読んだ心持ちで違ったのも私自身不思議な感覚でした。

夏におすすめの作品ですね。

イラストはカシワイさんのもの

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

#シニア #田舎暮らし #今日のつぶやき #毎日note #連続投稿669日目 #小野寺史宣 #ポプラ社 #短編集 #読書感想文

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